「自己犠牲と投降の狭間」太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0自己犠牲と投降の狭間

2020年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

原作より映画の面白さを出すため史実とは違うエピソードを加えたというが、作品の目的とする敵味方双方を平等に描く点は守られているように観た。”玉砕”が当然であった日本軍が生きて投降した奇跡を今描ける時代の証明と、平山秀幸監督の堅実な演出が特徴。”歩兵の本領”の軍歌を唄いながら投降するラストシークエンスの、竹野内豊演ずる大場大尉が米軍司令官の前で披露する軍刀の儀式がいい。生死を賭けた戦争の日米の価値観の違いを象徴する。俳優竹野内豊の存在価値を見せる場面にもなっている。

Gustav