「美味しい作品を。」洋菓子店コアンドル ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
美味しい作品を。
確かバレンタインデーあたりに公開されて、チョコレートに
触発されてケーキも♪という狙いは当たったか外れたか^^;
残念ながらスイーツの美味しさまでは伝わってこなかった。
実はもう少し、ケーキを巧く撮っているかと思っていたのだ。
せっかくの題材を生かしきれない作品は、観ていても辛い。
臼場なつめ役の蒼井優。特に顔は好きじゃないが(ゴメンね)
演技はなかなか巧いなぁといつも思っていたが、今回の役、
思い切り鹿児島弁で頑張ってはいるが、如何せん性格悪すぎ。
ケーキ屋の娘というが、そこになんのリアリティもない^^;
長い髪をバッサバッサと(束ねはするが)振り、その手さばきも
ケーキ職人とはとても思えない有り様。しかしこのコアンドル、
なぜそんなに人気店なんだろう?オーナー・戸田恵子の話を
聞いていても、そこまでこだわりのある店にして、あの人数、
お客様が満足するものを出せているとは思えない。ここにも、
リアリティがない。そして伝説のパティシエ十村役・江口洋介。
彼が伝説といわれた所以、そこに見合う腕の見せ場がない。
スイーツ評論家となってケーキを食べ歩いているだけ。
辛い過去から立ち直れず職人の仕事に就けない、だとしても
ケーキに対する思い入れがあるのなら、あのタバコはなんだ?
ここにもまったくリアリティがない。これ…実際の職人さんが
観たら怒る映画なんじゃないだろうか?なんて思ってしまった^^;
不機嫌な同僚・江口のりこは巧いなぁと思っていたのだが、
彼女のケーキ作りに対する情熱も、今ひとつ中途半端なまま、
あれじゃあただの不機嫌で嫌味な女になってしまうじゃないか。
なつめを成長させるのが今作の目的なら、人物の描き分けが
もっと丹念に為されるべきだろう。皆の熱演が空回りし、纏りに
欠けてしまった群像劇は、一体誰がメインで、どうしたいのか、
味に調和のないスイーツなんて、そりゃ美味しくはならないわ^^;
他、かなり豪華な役者を端役で使っているこの作品。
最高の食材を揃えても、肝心のレシピ(脚本)が粗末なおかげで、
美味しいスイーツにありつけなかった。かなり残念な仕上がり。
(じゃ、次は和菓子店で再チャレンジ?つられて観るな多分…^^;)