ぼくのエリ 200歳の少女のレビュー・感想・評価
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大人向けバンパイアサーガ
いや~久々に来ましたね。これを観てしまうと
何だか「トワイライト サーガ」が子供騙しに観えてしまいます。本格的な大人向けバンパイア映画が出来たと思います。(それにしても、本編に登場するのは12歳の男女2人だというのに大人向けって不思議ですけどね)
スウェーデンに住むいじめられっ子のオスカーはある夜不思議な少女エリと出会う。エリは自分が何百年も生きてきた正体を隠したままオスカーと友達になるのですが、何と二人の間には恋心が芽生えてしまいます。
注目はゆっくりとした作品のテンポとダークな世界観です。特にテンポがいいですね。時間が進むにつれ明らかになって行く新事実の数々。その明かし方が実に素晴らしい。観いてる側はとにかくハラハラドキドキさせながら観てしまいました。もうはっきり言って吸い込まれそうでした。
それから、世界観もお見事でした。最近いいホラー映画を観ていない私にとってはこのくらいダークで不気味な世界観がちょうど良かったです。逆にここまでやらないともはやホラー映画とは呼ばないと思います。つまり怖いと感じないとホラー映画とは呼ばないということです。
私的にはこの映画は大満足だったのですが、弱点というか欠点があるとすれば、オスカーの反撃が遅すぎるという事とエリの協力者は何者だったのだろうという点です。
それから、くれぐれも言っておきますが、この手の作品が苦手な人は何が何でも避けてください。人によっては“グロテスク”という言葉でこの作品を簡単に片付けられてしまうでしょう。私としてはそれが非常に残念です。しかし、最近いいホラー映画を観ていない方やバンパイア物が大好きという方にはオススメの一本です。是非、ご覧ください。
永遠に続く孤独な旅の道連れ
「血と薔薇」のようにぞくっとする程美しく、「シベールの日曜日」のように
せつない映画を期待して、夫と娘と親子3人で見た。
映像は美しかったが耽美的というほどではなく、生き血をすする姿などリアル過ぎるほどで
狩猟民族の悲哀さえ感じられるし、
最後の場面、幸せそうなオスカーとエリは長い2人旅に出るのだから、
孤独な魂が呼び合うせつなさも無い。
少し物足りない思いで劇場を後にした帰り道、夫が「あの男の子は自分で硫酸をかぶった男
の代わりになるんだな」とぼそっとつぶやいた。
そうだったんだ。言われてみればその通りだ。それなら面白く、恐ろしい。
男が木に吊るした獲物から生き血を抜く場面で、こんなやり方で集め続けられるのだろうかと
余計な心配をしてしまったが、
エリの世話をしていた彼は疲れきっていて、終わりの時を待っていたのかもしれない。
「考えすぎかもしれないが」と夫が続けて言う。
「エリはオスカーに催眠術をかけたんじゃないだろうか。
死んだ男にもかかっていたが、エリに病室で血を飲ませた時に男の催眠術は解かれ、
彼は本来の自分を取り戻して死んでいったんだろう」
永遠に12歳のままで旅を続けるエリは、絶え間なく続くいじめに苦しむオスカーを
次の道連れに選んだ。
エリは彼に恋をしたのだろうか、オスカーは便利な世話人として洗脳されていくのだろうか。
映画ではオスカーの心情しか描かれていないので、エリの本心は読み取れない。
しばらくは、2人の蜜月が続くのだろう。
その後、どんな苦しみが彼に訪れようと、至福の時を過ごした記憶が彼に残るのだろう。
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余談ですが、ウチの娘は映画を見た夜、エリにかみつかれるのではないかと恐くて
眠れなかったらしい。
「日本には雪女や座敷わらしは居ても、吸血鬼はいないから大丈夫」と言うと、
「魔物だから海ぐらい飛んで来れるかもしれないよ!
日本で映画撮るなら、12歳頃のAKBのあっちゃんと神木隆之介君がいいな!」
と、結構気にいったようだ。
エリの映像のモザイクは、パンフレットに答があると聞き、楽しみにしていたが
売り切れでがっかり・・。
もしかして両性具有かと思っていたが、エリは人間として生きていた時は男の子だったらしい。
身震いするホラーに出来る内容だが、ホラーは全くダメな私でも大丈夫だった。
ハリウッドリメイク版の方は、ホラー映画になっているのかも。
イノセントとバイオレント
この映画で描かれてることって、道徳や正義や人の道や、そんなところとは全く無縁ですよね。
正直言って、残酷です。誰かを犠牲にしてでも生き永らえる吸血鬼の物語。
ヒロインのエリは吸血鬼で、人を襲うし、人を殺す。
彼女に魅入られた中年男性を従えて、街から街へと渡り歩く。
そんな200歳の少女に、少年オスカーは出会う。
お互いの孤独と寂しさにシンパシーを抱き合う。
切ないまでのボーイミーツガール。
やがて、2人の間に絆が生まれる。
オスカーはエリのおぞましい姿を目の当たりにしても、彼女を愛すと決めた……
そして、あのラストですか。
何とも云えない余韻が残りました。
舞台には延々と雪が降り積もります。その純白の世界に、凄惨極める血しぶきが飛び散る。
白と赤。無垢と残虐のコントラスト。イノセントとバイオレント。
この世界を、一体どう受け止めたらいいんでしょうね。
自分なら、エリの生きるルールを受け容れられないでしょうし。
もう一度、12歳に戻れば、オスカーの様な考えに及ぶんでしょうか。
無理だなあ。あのモザイク(賛否あるそうですが)に込められた意味全てひっくるめて…
答えなんか、きっとないんですね。
美しくも恐ろしい無垢
すみませんが『トワイライト』なんて目じゃないよ…
『トワイライト』ファンには申し訳ないけど、この『ぼくのエリ』を見たら『トワイライト』はほんと子供だましっていうか、言葉は悪いが相手じゃないって感じです。モチーフは全く同じなのに。まあ、ターゲットも違うわけですし、別に『トワイライト』をおとしめるつもりもありませんが、どうしてもそう思ってしまう。それほど唸るのがこの作品。
恋ではあるけど、甘いロマンスじゃない。あくまでもダークに、そして残酷に。ラストはすがすがしいカットとは裏腹に、少年がやがて最初の老人のような運命をたどることになるのではと思うことは想像に難くない。雪の降る北欧の寒々しい雰囲気が物語にベストマッチ。
厳寒の冬景色のなかに、ぽつんと小さな恋の温もりを感じる
同じくヴァンパイアと人間の恋物語を描いた『トワイライト・サーガ』シリーズとはかなり趣が違う。本作はファンタジーではない。幼い恋をとりあげながらダークだ。
陰惨な事件は、生きるための狩であり、夢とか希望とは無縁の現実的な行為だ。
クラスの仲間からいじめを受ける少年と、世間の目を欺きながら生きながらえる少女、このふたりが徐々に惹かれ合っていく様は、社会に対する反発の裏返しであり、社会からの逃避だ。その出会いと恋の芽生えは大人たちの目から見れば危ういが、幼いふたりにとってはたったひとつの逃げ場所なのだ。テーマとしては「小さな恋のメロディ」(1971)の趣である。
本作のトーマス・アルフレッドソンもマーク・レスターに負けないくらい、透明感のある瑞々しさがあり、幼い少年のナイーヴさもよく出ている。リーナ・レアンデションの方も、姉さん女房的なしっかりした顔立ちだ。血の飛沫が妙に美しく似合う表情をしている。血の味がするファースト・キスも衝撃的だ。
ふたりの恋の行方がどうなるのかは伏せておくが、厳寒の冬景色のなかに、ぽつんと小さな恋の温もりを感じる、そんな作品だ。
だが・・・、もうひとつの見方もできる。少女はヴァンパイアとして本能的に新たな保護者を欲していただけだとしたら、少年はゆくゆく映画の冒頭に出てくるような老人になってしまう。この受け取り方だと、この作品はロマンスではなく、とてもとてもダークなSFということになる。
原題は〈正しき者を中に入れよ〉
日本語タイトルは、どうかな。原題は〈正しき者を中に入れよ〉
吸血鬼の言い伝えに〈初めて訪ねた家の中には、その住人に招かれないと入れない〉というのがあるらしい。
この映画では、主人公の少年が吸血鬼の少女を受け入れるかどうかが描かれる。
舞台は、1982年のスウェーデン。テレビニュースで、ソ連のブレジネス書記長の名前が出てきたり、レコードやカセットテープの時代。ちょうど、ルービックキューブが世界中でブームになった頃らしい。
12歳の金髪の美少年オスカーは、いじめられっ子。母子家庭で、家で一人のオスカーは、ナイフを手にして、いつかいじめっ子へ仕返ししてやりたいと思ってる…。
小さな町に、殺人事件が起こる。町が騒がしくなる中、いつも通り、夜のアパートの中庭で一人遊ぶオスカーは、黒髪で青い瞳の美少女エリと出会う。最近、父親らしき中年男とオスカーの隣室に越してきたという。
オスカーは妖しげなエリに心惹かれる。美少年だけど、気弱だったオスカーだが、エリとの交流でしだいに男らしくなっていく。
しかし、まわりでは凄惨な事件が次々と起こる。
スウェーデン人作家の原作をもとに、スウェーデンで作られた映画。
世界中で映画賞を受賞し、ハリウッドでのリメイクも決定してるという。
あと、映画ではわかりにくいが(日本版ではモザイクかかってる…パンフ読んで知った)エリ には、もう一つの秘密があります。
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