ぼくのエリ 200歳の少女のレビュー・感想・評価
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厳寒の冬景色のなかに、ぽつんと小さな恋の温もりを感じる
同じくヴァンパイアと人間の恋物語を描いた『トワイライト・サーガ』シリーズとはかなり趣が違う。本作はファンタジーではない。幼い恋をとりあげながらダークだ。
陰惨な事件は、生きるための狩であり、夢とか希望とは無縁の現実的な行為だ。
クラスの仲間からいじめを受ける少年と、世間の目を欺きながら生きながらえる少女、このふたりが徐々に惹かれ合っていく様は、社会に対する反発の裏返しであり、社会からの逃避だ。その出会いと恋の芽生えは大人たちの目から見れば危ういが、幼いふたりにとってはたったひとつの逃げ場所なのだ。テーマとしては「小さな恋のメロディ」(1971)の趣である。
本作のトーマス・アルフレッドソンもマーク・レスターに負けないくらい、透明感のある瑞々しさがあり、幼い少年のナイーヴさもよく出ている。リーナ・レアンデションの方も、姉さん女房的なしっかりした顔立ちだ。血の飛沫が妙に美しく似合う表情をしている。血の味がするファースト・キスも衝撃的だ。
ふたりの恋の行方がどうなるのかは伏せておくが、厳寒の冬景色のなかに、ぽつんと小さな恋の温もりを感じる、そんな作品だ。
だが・・・、もうひとつの見方もできる。少女はヴァンパイアとして本能的に新たな保護者を欲していただけだとしたら、少年はゆくゆく映画の冒頭に出てくるような老人になってしまう。この受け取り方だと、この作品はロマンスではなく、とてもとてもダークなSFということになる。
原題は〈正しき者を中に入れよ〉
日本語タイトルは、どうかな。原題は〈正しき者を中に入れよ〉
吸血鬼の言い伝えに〈初めて訪ねた家の中には、その住人に招かれないと入れない〉というのがあるらしい。
この映画では、主人公の少年が吸血鬼の少女を受け入れるかどうかが描かれる。
舞台は、1982年のスウェーデン。テレビニュースで、ソ連のブレジネス書記長の名前が出てきたり、レコードやカセットテープの時代。ちょうど、ルービックキューブが世界中でブームになった頃らしい。
12歳の金髪の美少年オスカーは、いじめられっ子。母子家庭で、家で一人のオスカーは、ナイフを手にして、いつかいじめっ子へ仕返ししてやりたいと思ってる…。
小さな町に、殺人事件が起こる。町が騒がしくなる中、いつも通り、夜のアパートの中庭で一人遊ぶオスカーは、黒髪で青い瞳の美少女エリと出会う。最近、父親らしき中年男とオスカーの隣室に越してきたという。
オスカーは妖しげなエリに心惹かれる。美少年だけど、気弱だったオスカーだが、エリとの交流でしだいに男らしくなっていく。
しかし、まわりでは凄惨な事件が次々と起こる。
スウェーデン人作家の原作をもとに、スウェーデンで作られた映画。
世界中で映画賞を受賞し、ハリウッドでのリメイクも決定してるという。
あと、映画ではわかりにくいが(日本版ではモザイクかかってる…パンフ読んで知った)エリ には、もう一つの秘密があります。
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