「夫婦の愛の変遷を想う・・・」終着駅 トルストイ最後の旅 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
夫婦の愛の変遷を想う・・・
ずっと観たいと思っていたのだが、近くのレンタル・ビデオ店に置いていなかったので、封切りから1年以上経ってやっと観れてうれしかった。思いのほかおもしろく観たし、涙もこぼれた。配役順では最後のWITHジェームズ・マカヴォイが意外に中心的役割を果たしていて、彼から観たトルストイ夫妻像となっている点が客観的に描かれる遠因になっていて良かったと思う。世界三大悪妻の一人ソフィアはどんな悪妻なのか楽しみだったが、意外にかわいい女に描かれていた。アカデミー賞主演女優賞受賞のヘレン・ミレンが演じていたからなのか、わがままというより、たくさんいる子どもたちの行く末を心配していたからだけなのかなと思う。夫婦はお互い愛し合ってはいるのに、夫の理想についていけなくてすれちがってしまう。これって、トルストイみたいな偉い人じゃなくてもそうじゃないかな。いくら夫婦だってすべて同じ考えなんて無理だと思うから。トルストイは読んだことはないけど、作品の名前だけは知っていた。映画化もされているし「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」など・・・ でも作家自身のことはほとんど知らなくて、貴族だったこととか、晩年の活動とかには驚いた。自分が妻でもソフィアの立場になってしまうと思う。それに逃げるのはずるいとも思った。だからワレンチンの恋愛は一種の清涼剤のような初々しさが感じられた。この作品のそれが救いといえるかもしれない。
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