「アスキックじゃないキックアスだ!」キック・アス kskさんの映画レビュー(感想・評価)
アスキックじゃないキックアスだ!
この映画は当時日本での知名度はとても低かった。
今作の知名度を確固たるものとしたのはやはり口コミ。TSUTAYA独占でレンタルが開始され、瞬く間に人から人へその面白さが伝わっていった。
その後、一部全国区のテレビでも取り上げられるようになり、私もこの作品を知ることとなる。
主人公は冴えないオタクの青年
そんな彼がヒーローに憧れ、自作の衣装を身に纏い街に蔓延る悪と戦うことを決意するのだが…
特別なパワーを得て冴えなかった日常が人から尊敬され期待される日常に!とはいかず、どこまでいっても冴えない彼は変態コスプレ野郎として罵られてしまう。
そんなある日、深夜のとある事件をきっかけに彼の存在は街中に知れ渡り、彼が思い描いたヒーロー像を確立させるものとなった。
そこには青年の勇気の結果が見て取れる。
視聴者はここで彼に感情移入してしまうのだ。
至って普通の人間が、偶然ヒーロー活動を目の当たりにした若者が発信したSNSをきっかけに瞬く間に有名になって人気者の仲間入り、そんな現実味のある展開がこの作品に親近感を持たせてくれる。
そしてこの作品のテイストでもある「ヒーローアクション(+コメディ)」は崩れることなく随所でその本領を発揮
クロエ・グレース・モレッツが演じるヒットガールが相棒の武器を手に悪い奴らをバッサバッサと斬り殺していくシーンで流れるリズミカルなBGMはその象徴とも言えるのではないだろうか。
人が死んでいる、血が噴き出しているのにも関わらずついつい体が動き出しそうになる軽快な音楽、観ている私たちも思わずクスッと笑ってしまう
とにかくアクションが秀逸、そこらのアクション映画よりも良いアクションをしている
にも関わらずどこか抜け感のあるコメディ要素が時々顔をみせるため比較的残虐な描写のシーンも目を覆うことなく観ることができる…(人によるかも。笑
同時に暗いテーマも存在する
ニコラス・ケイジ扮するヒットガールの父親のバットマン風ヒーロー
あることがきっかけで妻を失っており、以来一人で娘を育ててきた
日常生活を送りながらヒーロー活動を行う彼
なぜ彼がヒーロー活動を行うのか?
それは亡き妻の存在が関わっている。
復讐のため娘に銃の扱いや人の殺し方を教える一方、娘を虐待するようにもなってしまった
娘のヒットガールは自身の中に闇が植えつけられていることを知る
そしてキックアスと出会って少しした頃、父のビッグダディは娘の目の前で焼き殺されてしまうのだった。
彼女はそれ以来心に植えられた闇と現実の問題に囚われ自暴自棄になり、やがて心を閉ざすようになってしまう
そんな彼女を救うのが冴えない主人公なのだ。
今まで救われてばかりだった頼りない主人公が自分よりも遥かにたくましく強いヒットガールの支えとなる。
かくしてヒットガールは父を殺した組織に復讐するべく、そして自らの過去と決別するために主人公と共に敵陣に乗り込むこととなる。
このような登場人物たちの葛藤や成長もアメコミらしい要素であり、映画としての魅力の一つとして役立っている。
起承転結といったオーソドックスな展開で万人ウケするストーリー
飽きを感じさせない展開が続きあっという間にエンディングを迎えるのでどの世代にも楽しめる作品となっている。
廉価版DVD、そして続編もリリースされているので未見の方はぜひ。
あとがき
冒頭のシーンは一番の笑撃でありまさに出落ち
その時点で、私の脳には「この映画は面白い」と思ってしまっていた。
何度でも観たくなる、あのシーンだけでも。笑