「""過去を記憶できない者は同じ過ちを繰り返す"」ハーツ・アンド・マインズ ベトナム戦争の真実 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
""過去を記憶できない者は同じ過ちを繰り返す"
「我々は何を学びましたか?」
「目を背けてる…」
ドキュメンタリー映画の金字塔の本作品。しかし、作品自体は一切の主張をしない。爆撃命令を淡々とこなす元兵士のインタビューの後には、爆撃を受けたベトナム人の怒りの声を映す。
戦争捕虜として英雄扱いを受け、帰国後には様々な講演をこなす英雄捕虜。戦い国を守る事が大事と説く。その為にも国に対する忠誠心を教え込む教育が大切…と言う。
その前後には、意味も無い戦いに翻弄された事に気が付いた元兵士達の意見。その為にどの様な仕打ちが自らの身体に刻まれてしまったのか…。
元々はフランスとベトナムとの争いに介入し、共産主義の脅威を如何に排除するか。《正義》とゆう大義名分の名の基に集い、不毛な争いを今日も続けているアメリカ軍。
その真実は、「汚らしいネズミ」と例え。差別用語や「東洋人の命の値段は安い」等の発言に代表される様に、我々こそが優れた民族で有る…とゆう、アメリカ人の多くに共通する意識の現れと言える。
あれこれと理由をこねて説明しては、世間を洗脳しようとするお偉いさん。「どことやってるんだっけ?」と、ノー天気なトラック運転手。彼はいずれ真実に目覚めるのか?それともこれまで同様に、政府に洗脳されたまま生きて行くのだろうか?
数多くの映画に影響を与え、その存在でベトナム戦争終結を早めたとも言われる本作品。
特に車○子に座りインタビューを受ける元兵士の姿は、『帰郷』や『ディア・ハンター』に多大な影響を与えたのは明白。『プラトーン』や『地獄の黙示録』その他数多くの作品や、映画人がリスペクトしている。
インタビューに答える多くのお偉いさん達が、自分達の立場からこの無意味な戦争を擁護をし。では何故?無駄に死んで行った多くの一般人の人々は、一体誰の為に?何の意味が有って死んで行ったのか?
何の主張も持たない製作者の淡々と描く映像だが、やがて映画の最後には観た人の多くが、「じや!一体誰の責任なんだ!」との、激しい怒りが湧き上がって来る。
今アメリカは新たなベトナム戦争の泥沼に突入している。
“過去を記憶できない者は同じ過ちを繰り返す”
(2010年6月27日東京都写真美術館大ホール)