「イライラしてしまいましたよ」アデル ファラオと復活の秘薬 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
イライラしてしまいましたよ
やっぱり僕はベッソン監督と相性が悪いらしい。あんまり……というか107分のうち7分間くらいしか楽しめなかった。
他の方のレビューでもさんざん言われている事だが、フランス版『インディ・ジョーンズ』を連想させる予告編は忘れるべし。あれは……ええ、誇大広告です。
フランス版『ナイトミュージアム』みたいな、アドベンチャー要素ありのヌルめのコメディくらいに思えば良いかと。
とはいえコメディとして観ても、僕個人の笑いのツボとは合わず。
何て言うかな、真剣にならなきゃいけない状況でも冗談ばかり飛ばしてる人間っていますよね。
そういう人間と対面した時のイライラみたいなものを感じてしまうんですわ、この映画からは。
まあ『この位でイライラするなんて心が狭いね』と言われてしまえばそれまでなんですが、言わせてくださいな。
翼竜の出現にあたふたする人々をのほほんと映すばかりで物語は遅々として進まず、登場人物も『おばか』を通り越して『おろか』に思えてくる。
凄腕ハンターとかいう男は場を掻き乱すだけの不愉快野郎だし、研究員の兄ちゃんは一番大事な時に役に立たないし、最も悪党っぽいデュールヴーとかいう博士は結局本筋には殆んど絡んでこないし(よくこんな役引き受けたな、アマルリックは)、とにかくイライラする連中のオンパレード。
だいたいね、妹があんな状態になった原因ももう馬鹿馬鹿しすぎてですね。1時間以上引っ張ってそれかよ!と。
笑えばいいのか? 悲しめばいいのか? いっそ怒っていいですか!?
ああ、いかん。熱くなりすぎた。
救いは主演のルイーズ・ブルゴワンだ。本業はお天気キャスターとの事で、毎日のTV出演で肝が座っているのか、映画初出演というのが嘘のように生き生きとしている。
竹を割ったような性格の超アクティブ娘を嬉々として演じている感じがステキ。
脱獄のくだりでの七変化や復活した〇〇〇を顎で使ってみせる様子は特に楽しい。
あとはアデルに顎で使われる〇〇〇も良いキャラしてます。見た目に反してジェントルマンだ!
怖いはずの翼竜も、なんだか可愛いくていい。
けれど……それだけじゃキツいっすよ、107分間は。
フランスじゃヒットしたらしいし、続編出るのかなぁ。劇中でも露骨に『次回に続く』な終わり方だったし。
続編を出すなら、ベッソン監督、次は製作に回ってください。監督はピエール・モレルで!……なんてあんまりか。
<2010/7/10鑑賞>