「本当に酷い・・・」岳 ガク flying frogさんの映画レビュー(感想・評価)
本当に酷い・・・
笑うしかないよ、これ。
登山歴も長く、救助活動にも何度も携わった経験があるが、これほど有り得ないシーンのオンパレードだった山の映画は初めて。
原作の主人公の三歩がそもそも現実にはちょっといない設定の人物で、そのキャラクターもちょっとあり得ないくらいおおらかなのだが、それをさほど演技力があるわけでもない役者が演じると壊滅的に非現実的なキャラクターになってしまう。
他にもほぼ2分おきに「うそっ!」って叫んでいた。こんな酷いのは初めて見た・・・
これ見て「山は怖いから登りたくない」と思う人が多いのは無理もないけど、虚しいことです。実際はこんなにデタラメじゃないから。
(追記)
ほぼ全編、あり得ないデタラメなシーンの連続とはいえ、特に酷い超ド級のあり得ないシーンを挙げる。
(1)冒頭とクライマックスのクレバス
日本の山にあんな深いクレバスはない!
ヒマラヤの氷河か(笑)
(2)遭難死亡者を岩壁から落とすシーン
落とすか!担いで懸垂下降で降りれば良い話で、自分も何度も経験がある。
殴られて当たり前じゃ。
(3)遭難者を置き去りにするシーン
隊員を1人残して、遭難者と一緒にビバークさせれば済む話でしょ。目の前に要救助者がいるのに、時間切れだって置き去りにするやつはいない。
(4)ピッケルで足の切断ができるか!!
(5)そもそも足の切断なんてするな!
ちゃんとした医療処置なしに足を切断したら、確実に失血死するぞ。
(6)遭難者より先に事切れる久美
ヘリで上がってきて何も体力を消耗していない久美がなぜ遭難者より先に息絶える??
(7)クレバスに飛び降りる三歩
中の人間の位置も確認せずに!!
飛び降りた下に人がいたらどうするんだ?
このあたりは既に三歩が知的障害者にしか見えず。
(8)さ、帰ろうか
そこで動かず救助を待てよ。
遭難者は片足切断されてるし、久美は一時は心肺停止状態だったんだろ?
一歩も動くなよ。
怒りすら覚える1本でした。