「心を殺した子供。」白夜行 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
心を殺した子供。
まるで胸が張り裂けるような…って、こんな時に使う
表現なんじゃないか。と思うくらい、切ない話だった。
原作、TVドラマ、いつもの如くまったく知らず^^;
東野圭吾のミステリーは好きだが、今作は題名のみで
内容はまったく知らなかった。だから衝撃も大きい…。
いやはや、何といえばいいんだろう。まさにそれ。
チラシ裏面で作者が語っていた、この話を読んだ人は
皆何かしら定義付けようとするがそれは不可能である。
彼らの気持ちを理解することなんて、誰にもできないと、
まさにその通りだと思った。こんな体験、しようったって
できるもんではないし、語れったって誰に話せるだろう。
なんだかもう、一人間の選択ギリギリのところを描いて
見せられたようで、本当に何とも言い難く辛い話だった。
でも。。決して気持ち良いとはいえないその展開の巧さ、
これは原作ありきだな、と思えた。
ドラマ版は知らないが、この映画版もおそらくそれぞれ、
演出する側の「定義付け」によって作られたものだから
観る側の捉え方も様々だろうと思う。良いか、悪いかで
バサッと斬れる話でもないところが難しく、好きか嫌いか
と聞かれてもどう答えればいいのか、戸惑うような感じ。
巧い。でも、気持ち悪い。みたいな…^^;
子供の頃に体験した凄惨な記憶が、その後の人格形成に
多大な影響を与える…って、言葉で語ると簡単になるが、
まさしくそれをまざまざと見せつけられるのがこの作品だ。
ともあれごく普通の家庭に育った子供達にしても、親が
子供に与える影響の、いかに大きいことかを教えられる。
さらには子供達の、生きていくための知恵とその能力にも
驚かされる部分が多い。今作を観ているとまるで大人が
バカみたいに思えてくる。単純で、欲に忠実で、理性の
かけらも感じられない。傷の深さを測れば、断然子供達に
軍配が上がりそうな雰囲気にできている。刑事以外は。
キャストの構成も悪くなかったと思う。
堀北真希のゾゾっとさせる部分もあまり厭らしくなく、
高良健吾は相変らず地味な役がよく似合う^^;気が。
子役たちの熱演も(こっちのが重要?)なかなかなもので、
その事件性はツッコミ所も多い気がするが、雰囲気は十分。
一見なんの繋がりも見せない部分がぐんぐん真相に繋がる
ラストの種明かしは観応えがあるが、最後ってああなるの?
元刑事と青年のクライマックスが、ちょっと肩透かしだった。
(船越英一郎を出すんなら、自供はビルより断崖の方が^^;)