「テレビドラマ版より好きだ。観たことないけど…」白夜行 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
テレビドラマ版より好きだ。観たことないけど…
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封印した過去を葬るべくいかなる手段を用いてひた隠しにしようとする常にクールな堀北&高良とは対照的に、定年退職後も執拗に真実を求め追い続ける船越の熱い刑事魂。
対峙する両者の温度差が印象的だった。
3人同士が交わる場面はほとんど存在せず、各々が背負う皮肉な運命を丁寧に紐解いていく事で、明らかになる接点に説得力を生ませ、暴かれる全容に打ちのめさせてくれる。
底辺だろうがセレブだろうが、人が成功するには踏み台になる犠牲者と、生け贄を踏みつけ、のし上がる覚悟が必要となる。
孤独感に病む幼き日の堀北が熱心に読みふけっていた『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラは、階段を駆け上った女性の象徴で、氷の如く澄み切った微笑みを浮かべながら、ベッドで次なる獲物の前にて全裸となり、露わとなった背中が更に冷たい美しさを放っていた。
男と女がネチネチと交差する情事の大河ドラマは見応えあったけど、2時間半はチョイと長い。
2時間サスペンスの帝王・船越英一郎が刑事役だったから、脳が勝手に2時間以内の賞味であるとインプットしたため、ズレに戸惑ってしまったからかもしれない。
個人的には高良健吾の人生にもっとスポットを当てて欲しかったが、サスペンスとして損はない一本やと感ずる。
では最後に短歌を一首
『刻む闇 情事の渦を 悪戯に 憂う氷は 過ちを編む』
by全竜
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