「意欲と挑戦」白夜行 ダックス奮闘{ふんとう}さんの映画レビュー(感想・評価)
意欲と挑戦
TVドラマ化もされた東野圭吾原作のミステリー大作を、「60歳のラブレター」「半分の月がのぼる空」などで知られる深川栄洋監督が重厚に仕上げた。
息苦しいまでにオフビートの静けさの中で、ある一つの事件に心を巣食われた人間の光と影を、丁寧に追いかけていく。
様々な形の闇と葛藤を抱え、生を疾走していく人物の魅力を、堀北・高良・船越の現代を代表する俳優陣が結集し、見事に体現することに成功している。大げさに「泣き」の演出に走る事無く、演じる俳優から滲み出てくる悲しみ、虚しさを拾い上げることに映画の成功を掛けた深川監督の覚悟。全員野球で本作を盛り上げていこうとする意欲と挑戦が感じられ、観客としても心地よい。
堀北のセミヌード披露という隠れた挑戦も注目された本作だが、それを抜きにしても観客を満足させるに十分な持ち味を見せる本作。老若男女、何はともあれ必見の一品となっている。
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