預言者(2009)のレビュー・感想・評価
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刑務所の中‼️
いやー、これは本当に面白い‼️「刑務所サスペンス」の新なる傑作ですね‼️主人公は警官を襲った罪で、人種間の対立が激しい刑務所に送られた19歳の青年‼️彼が様々な経験を経て、ボスの座にのし上がっていく・・・「ゴッドファーザー」とか「グッドフェローズ」などのギャング映画の名作でも語られてきた物語なのですが、今作が素晴らしいのはそこに「刑務所の壁」という要素がプラスされていることですね‼️刑務所のボスの子分となることで勢力を伸ばしたり、外出許可を得て外の世界に出るたびに違法薬物の取引等で成果を出したり・・・そのディテールがホント興味深いです‼️アクションの緊迫感、対立する人種間のテンションも凄惨でハンパないのですが、ラスト、出所した主人公を待ってるのが、収監中に信頼を得、先に出所した部下たちと、亡くなった兄の妻とその息子‼️このラストシーンはホント爽やかさと幸福感に満ちていて、芸術作品としてはもちろん、エンターテインメントとしても一級品だなぁと思わされました‼️
観てほしい
フランス映画祭で上映された際に鑑賞しました。
観た後もしばらく興奮さめやらず、
周囲の友人たちにも勧めまくってました。
当時は日本公開が見込まれておらず
国内で観られる機会はないのかもと残念でしたが
公開されるとなり大変嬉しい。
ところどころ暴力描写があるため、
それが苦手な人は避けたほうがいいかもしれないですね。
ゴッド・ファーザーが好きな人なら気に入るはず。
19歳の何の力もない青年が自身の知略でのし上がり、
映画ラストでは冒頭と同一人物と思えないほどの
表情の変貌をみせる。
主演の無名のアラブ系青年はこの映画でオファーがひっきりなしになり
シンデレラボーイになったそうです。
最高。
完全にノックアウトされました。
そして清々しい
個人評価:3.8
なんだろう。見終わった後のこの清々しさは。
監獄の中でのサクセスストーリー。人はどんな環境でも学ぶ事は出来るし、這い上がる事が出来る。
タハール・ラヒムも素晴らしい演技だ。
口の中にカミソリ
コルシカ・マフィアやアラブ系にジプシーまで、人種間対立が激しいフランスの刑務所でアラブ系フランス人青年が生き延びながらも這い上がる姿を、危機感が迫る痛々しさや時には痛快にフレンチ・フィルム・ノワール色漂うサスペンスとして楽しめる要素、フランスに於ける人種問題や宗教など複雑な人間関係を織り交ぜた展開に娯楽性と知的な印象も。
嫌々ながら引き受ける使いっ走りの連続ではあるが、人生の終わりに思える刑務所に入ったお陰で知恵や知識に力までも身に付け優雅に暮らす様はスコセッシの「グッドフェローズ」でも描かれたマフィアやチンピラのあるある描写。
復讐心や出世欲は微塵も感じられないながらも大胆に目的を遂行する主人公にハラハラする反面、スカッとしたりある意味、勧善懲悪モノとしての痛快さが心地良い。
痛々しい
主人公の生きて行く為の優先順位は何だったのだろう?
金、地位、友人、人種、復讐、よく分からなかったです。
この映画みたいに、犯罪の連鎖から逃れられない人たちは
世界中に沢山いるんだろうね。
カミソリを口に入れるシーンが痛々しい・・・
【3.48点】いい映画でした
いい映画でした。
結構長いなと思ったのですが、19歳の少年がアクのボスへと上り詰めていくストーリーは飽きることなく見ることができました。
様々な動作や小道具がうまく生かされていて、良かったです。
グロすぎず、暴力ばっかりでもなく、時々不思議で、時々スリリング
とてもバランスが良く、映画っぽい映画だなと感じました。
個人的には、有名な人もいなく、そこがまたおしゃれな雰囲気がしました。
究極の社会の縮図
舞台は刑務所の中だが、話の軸はサクセスストーリー。
生きるための自分のポジションや価値を、駆引きや友人の支えなどによって確立していく。
犯罪のオンパレードではあるが、刑務所という過酷な環境の中である意味究極の社会の縮図を見せてくれる。
飽きさせないストーリーに最初から最後まで目が離せませんでした。
ニエル
コルシカ人のために仕事をするアラブ人青年マリク。囚人間のネットワークが素晴らしい。プッシャーとマフィアとテロリストが同じ場所にいるのだからどこまでも広がっていく。青年の顔の薄〜い傷が良い感じ。
ジャンル分け出来ない映画
どえらい映画を観てしまったなーというのが、第一の感想。
この映画、観る人によってジャンル自体がかなり変わってくるのではないか。
タフでリアルな映像を、バイオレンス、ノワールと捉える人もいるだろう。
かなりしっかりと構築されたストーリーラインを、社会派と見る人もいるだろう。
また、預言者「A Prophet」というタイトルにも象徴されているように、神話的・宗教的要素も含んでいる。
監督ジャック・オーディアールは、多様な鑑賞のされ方を全て想定して作っている。そういう意味では観客へのサービスがもの凄く行き届いた映画だと思う。
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ノワールに欠かせないのが、男くさい男の「濃い顔」だったりするわけだが。
このおっさん、どっから連れてきた?
と思わず訊きたくなるような濃い顔のおっさん、お兄さんたちが、この映画には大集合している。
主要キャストからエキストラにいたるまで、過酷な世間に揉まれすぎた顔の人ばかり。
濃い顔度を、フィルム・ノワールの名作「シシリアン」と比べてみても遜色ない。リアル度からいったら、むしろ勝ってるかも。
作品の要所要所で入ってくるバイオレスシーンも、タフでリアル。派手さはないけど、本当に痛そうな場面が多い。(映像をリアルに作り込むと、大抵、画が汚くなっちゃうんだが、これは何故か汚くない。監督の計算し尽くして作り込んだリアルさに、ちょっと可愛げがないと思ってしまうほど。)
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咽せ返るようなノワール臭に、個人的にはそれで充分満足なんだが、それだけで終らないのがこの映画。
ストーリーには幾十もの読まれ方があるのではないか。
19歳のアラブ系青年マリクは6年の刑期で刑務所へ。彼は孤児で学もなく仲間もいない。魑魅魍魎が跋扈する刑務所で、どう生き延びていくか?
マリクは、その刑務所を裏で取り仕切るコルシカ系マフィアから、庇護してやるかわりに、同じ刑務所にいるアラブ人を殺してこいと命ぜられる。命令に背けば自分がやられる。マリクは深く葛藤しつつも、そのアラブ人を手にかけることに…。その後マリクは殺した男の幻影を度々見ることになる。
マリクは、コルシカ系マフィアたちにいいように使われながらも、徐々に力を持ち始め、刑務所内またそれにコミットする外の世界で、のし上がっていく。
このストーリー、孤独な青年が新しきリーダーとして頭角を顕していく成長潭としても充分に面白い。どうやって仲間を増やしていくか、サスペンシフルで筋を追っていくだけでも楽しめる。
それだけではなく、様々な人種が渦巻く刑務所内は、フランスの縮図。移民を受け入れる政策をとりながらも、奥深いところでは対立や差別が横溢しているフランスの現状を、弱肉強食度合いがよりくっきりと浮かびあがる刑務所内というシチュエーションを使って告発していると考えることも出来る。
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もう一つ、別な見方をすれば。
主人公のマリクMalikという名前。
訳すと共同体のリーダー・族長という意味もあるが、イスラムの神話では「地獄の番人」の名前でもある。
コルシカ系マフィアが従来の「裏切り者は殺せ」的な恐怖支配で刑務所内外を仕切っていたのに対し、マリクは、対立するグループ間を調停し信頼しまとめていく。
また、コルシカ系マフィアは、マリクの友人にまで殺人を命じるのだが、マリクは自らの手を汚し、友人には罪を犯させない。罪人を拡散させない。
マリクは、自らは地獄に身を置きながら、対立と罪の拡散を食い止める「地獄の番人」なのではないか。
作中にマリクが殺した男の幻影が度々出てくる。
その幻影は、マリクの罪の象徴でもあり、救済の象徴でもある。その幻影の預言に導かれるように、マリクは「地獄の番人」へと成長していく。彼の成長は罪の贖いの道程のようにも思える。
リアルな犯罪社会を舞台にしながら、ギリギリのところで救済を描き性善説を信じている映画なのではないのかなあと思う。
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様々な要素をぶちこんだ本作。
最初にも書いたが、観る人によってその印象は全く違うものになると思う。(海外のレビューサイトなどでは、イスラム教の預言者を描いた映画だとしているものもあり、本当にいろんな見方があるなあと思った。)
どの見方が正解というのも無いと思う。
だからこそ、いろんな人(バイオレンスが苦手な人以外)に観てもらいたいなあと思う。
男の成長
チンピラがムショに入って辛酸をなめつつも学問を覚えて一人前になっていく様子がとても自然に描かれていてさりげなく感動させる素晴らしい映画だった。サスペンスシーンがリアルでスリリングでよかった。
最初、こんな顔で19歳はないだろうと思っていたけど、成長していく様子を描くためにしかたがないのかと思った。最終的におじいちゃん可哀想だった。
あのように人生修行が体験できるならフランスの刑務所はいいなと思った。運動も勉強もかなり自由にできるし、テレビやタバコも吸えるし酒も飲めるし、売春婦も呼べていた。いいのか。
出所した途端、家族持ちになれてしまうのが大変ファンタジックでよかった。
より悪に生まれる
150分。
長いですが、見ごたえがあって飽きません、最後まで見れます。
自分がコルシカなのか、アラブなのか、
最初に話した言葉もフランス語とアラブ語が同時と答える彼は、
少年から青年への過渡期、アイデンティティの確立にもがく時期に刑務所に入ります。
刑務所内でも何とか認められようと、言われたことは素直にやり、どんな仕打ちを受けても許す振る舞いを続けるのですが、やっぱり軽視されます。
コルシカ人にはアラブといわれ、アラブ人にはコルシカと罵られる。
人種の狭間ですね。
これでよかった、とは言い切れない終わりです。
なにせ刑務所でたくさんの悪いことを学んでいますから、社会にはより悪の存在が解き放たれたのです。
でも彼にとっては、自分の存在を確固たるものにできて、良かった、のかも知れません。
無用に長いシーンもあって、もう少しシェイアップしたほうが、緊迫感が際立ったものと思います。
2時間半と長かったフレンチ・ノワール。
不満なのが邦題の付け方ですね。確かに主人公は殺人を経験することで、殺した相手の幻覚に惑わされて、その幻覚の語ることが預言にはなっていました。それが主人公を助ける一面にはなっていましたが、あくまでエピソードの一部。なぜ幻覚がつきまとうのか。なぜ幻覚の語ることが当たるのか、ネタバレしないで終わってしまいました。
メインストーリーは、主人公はアラブ系の青年が獄中で闇社会の人脈を拡げてのし上がった行く成り上がりの物語です。ノワールにしては、派手なアクションやバイオレンスシーンが少ないということです。それでも本作を熱心に推薦するレビューワーが多い理由として、登場人物の感情描写が凄いことと、義理人情に縛られない主人公の処世術をドライな視点で描く新鮮さが評価されていることではないかと思います。
ノワールとして斬新なのは、主人公がアラブ系移民の青年であること。これまでは、こうしたアラブ系は敵役で登場することが常でした。けれども本作は、それを主役すえ、しかも囚人たちの勢力争いが激しい刑務所内で、アラブ人のグループでなく、コルシカ・マフィアの幹部に気に入られて、そっちのグループに組み込まれてしまうのですね。
コルシカ・マフィア幹部の言いつけ通りに、アラブ人のグループに潜入して情報収集している主人公の姿を見ていると、幹部の犬に成り下がっているように見えます。けれども、主人公のなかに徐々に民族としてのアイディンティと自尊心が芽生え始めると、奴隷のようにアゴで濃き扱う幹部に対して、復讐心を密かに抱いていったのです。
巨大なマフィア組織を手玉にとって、鮮やかに幹部に対して復讐を成し遂げる主人公の手口には喝采を送りたくなりました。
長い尺の中では、事細かに刑務所内の日々が描かれます。面白いのは、模範囚のに特権。主人公は、「外出」や「外泊」の許可を利用して、娑婆のマフィア組織のサポートもあって、短時間に外で様々な幹部の指示をこなしていきます。調子に乗って、独自に麻薬の取引に手を出したりすることも。
全体としては、無用に長いシーンもあって、もう少しシェイアップしたほうが、緊迫感が際立ったものと思います。
●Intr
見逃せない傑作
本格フィルムノワール、ヘビーな内容ながら豊かで爽快な読後感、しばらく劇場ロビーで放心状態でした。雑な言い方ですが映画を構成する全ての要素が素晴らしい!暴力や性描写を扱う邦画監督に観て欲しい、いや、ご覧になっていますよね。★5.0 http://coco.to/4034
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