Lost&Foundのレビュー・感想・評価
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探し物は、見つかりましたか?
題材が上手いよなぁ
最後の最後のワンカットで
突然涙が溢れ出たんだけど、なぜ??
~~~
作品タイトルからして絶妙だと思うのですが、
物語の舞台は鉄道の駅にある落し物・忘れ物預かり所になっています。
だれかが失くしたものを届ける場所
だれかが失くしたものを見つけに行く場所
私も定期券や傘などを置き忘れてしまい
お世話になったことがありますが、あまりにも
豊富な忘れ物の種類に驚いた記憶があります。
それだけの種類と量があるということは
それだけのタイプの人々が訪れるということにも
なるわけでして、脚本を執筆する上での着眼点に唸らされました。
◇ ◇
〈 大事なものほど、なくしてしまうものだ 〉
低予算の作品ですから、スクリーンに描かれる世界は狭いです。
その狭さを逆手にとって、登場人物を深く描くことにより、
ファンタジー系の作品じゃないはずなのに、幻想的な雰囲気を醸し出していました。
登場人物に誰一人として余分な人がいないのです。
全員、この先、どうなっていくんだろうと気になる人ばかり。
落し物預かり所の担当者、
菅田俊さんが作品上扇の要のような存在には
なっており、全員と一度はかかわるのですが、
それは文字通りかかわるだけ。次々に失くしたものを
届けてあげるような、スーパーヒーローではない。彼は、責任を持ってただ預かるだけ。
失くした人も、捜す人も
必死で探す人もいれば、
たまたま寄ったからと、温度差がある。
失くしたものを、そこで取り戻すことは
できないのに、居心地がいいからと、毎日のように訪れる人もいる。
落し物預かり所を通して、
喪失⇔発見
若者⇔熟練
勝者⇔敗者
信頼⇔不信
障害者⇔健常者
内向的⇔社交的
人生の対が繰り返され、
狭い世界で、狭い部屋なのに無限の広がりを感じさせる。
ラスト、
失くしたものを取り戻す人もいれば、
失くしたものを取り戻せない事実を見つける人もいる。
ハッピーエンドに見えるのだけれども、
登場人物全員に、これからも続いていく
人生で一体どうなっていくのだろうと、
エンドロールが流れ始めてからも考えさせられる。
最後、涙が溢れたのは
大事なものを見つけた喜びの笑顔と
大事なものに気づいた安堵感の振る舞いの
コントラストが、私の琴線に触れたからかもしれない。
☆彡 ☆彡
お目当ての2人の役者さん
見せ場も多くて大満足させてもらいました(笑顔)
特に菅田さん、
終盤の長ゼリフは拍手喝采ものです!
今作の三宅監督。
これが初長編作品だそうですが、
プロフィールを観ると今月公開を控える
『掌の小説』の監督も務められていました。
4編からなる映画で
4編とも監督が異なるのですが、
自己満足系の作品が多くて辛口のレビューを書いてしまいました。
ただ、実は4編のうち1編だけ大好きな作品がありまして、
『有難う』調べてみると、こちらを三宅さんが監督、寉岡さんも出演されていました。
う~ん、ちょっとこれは
次回作、期待大ですね(笑顔)
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