ヒア アフターのレビュー・感想・評価
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後味の良さ
先に書きたいが、東北大地震の前に観た時は、津波CGのリアルさを感じた。
しかし今は全くそう思わない。
現実の凄まじい津波の映像を見たら、しょせん作り物なのだ。
それで本当は☆4.5つけたのを、ちょっと減らしました。
でも、この映画は大変気に入っています。
マット・ディモンがいい。一見地味だが、苦しみを癒すために、横になり大好きなディケンズの朗読を静かに聴くシーンは深みを感じる。
運命的な3人のいる、サンフランシスコ、パリ、ロンドンと場面は変わるが、何の違和感もなく入って行ける。
3人ともきっと幸せになる…そんな予感が、非常に良い後味を持たせる。深みのある名作といえる。
また音楽もよかった。
う〜ん
イーストウッド作品が好きで期待していただけに点が辛くなってしまった。
死語の世界より生きている人へのメッセージ、というのはわかるのですが
やたらと無駄なシーンが長くダラダラとしていて話が動かない。
さぁやっと話が動くのかと思ったら終わっていた。
やたら宣伝していたが、あれがすべてだった。
身近な人が死んでるだけに「ああだったらいいな」というのはありますが拍子抜けした。
長い・・・
初めの津波のシーンが一番の盛り上がりで、あとはダラダラ。
と思ってたら、途中でいきなりドカーン!!!の爆発シーン。
あのテロは必要ないと思う。
途中で飽きてしまい、2時間の映画なのに3時間以上観てた感覚になりました。
話はずっと単調だし、感動モノとしても中途半端。
メインの3人が出会う設定も無理やりで、ラストは意味不明。
今まで見たイーストウッドの映画で一番面白くありませんでした。
うーん、残念。
おだやかな感動
最初の津波のシーンに圧倒された。あまり自然災害系の映画は見ないので他の映画はどうなのかわからなかったが、他の人の感想を聞いても同じくびっくりしている人がいたので、やはりすごい映像だったのかなと思う。人なんてちっぽけで簡単に飲み込まれてしまう。まさに死も人の力でなんとかできるものでもない。
死んだらどうなるのか、今ここにあるわたしの意志(心?魂?)はどこにいくのか。
ふたごの弟が兄を求めて、偽霊能力者たちに会いにいって、落胆する場面はせつない。一緒にいて当然の人が急にとなりからいなくなってしまい、頼るべきものもなく不安定な気持ち。自分にぽっかりと穴が開いてしまったような。その穴をふさぐものがなくて辛いならなにかに頼って良いとおもう(スピリチュアルでも何でも)。そしてぽっかりあいた穴に、いつかは別のなにかがはまれば良いと思う。
本作は派手にスピリチュアルな世界を描くわけでもないから胡散臭くないし、また料理教室の場面はふつうにラブストーリー。最後もえっとおもうほどロマンチックな描き方をするのでびっくりしたほど。
死の世界のことばかり考えてないで、今の世を楽しんでいきなさいと言っているような気がした。
死後の世界をみた女性がその世界を「おだやか」だと表現したことが印象に残っている。「恐ろしい」世界じゃないんだ。だったら安心して生きることができるような。むしろ生の世界のほうがいろんなことがあって大変。そう思えば、この世をもっと一生懸命生きることができる気がするとちょっと勇気をもらえた。
まだまだ現世で映画作りを。
ついにイーストウッド卿も、この世界に足を踏み入れたのかと^^;
幾度も予告編で眺めてきた、あのややスピリチュアルな世界観。
まさか…出たがりインド人(恒例の)みたいな作品じゃないよねぇ?
なんて不安を抱きつつ、蓋を開ければ…あぁ~いつもの卿の作品。
良かった、そしてホッとした。…何気にユーモアも効いているし。
別に一人の監督が死後の世界をどう描こうが、それはそれ、だけど
今作は死後や来世がどうの…ではなく、今を生きる人間たちへの
メッセージとなっている。死者と繋がることにより、彼らからの伝言が
意図する・せざるを得なくして伝わってくる。それが救いになった者も、
悪夢になった者もいるだろう。少し手を握られただけで自分の過去が
知らない相手に見えてしまうなんて、、、と訝りたくもなるところだが、
霊能者って、本来そういうものなんでしょう?^^;
それよりなにより今回は、とてもささやかなM・デイモンがいい。
髪をきっちり七三に分け^^;地味に暮らす、工場労働者である。
ところが兄の友人?とやらが「見てくれー!」とやってくる。すると、
彼は霊能者へと早変わり…(やりたくてやってるわけじゃないんだけど)
知らないことをバンバン言い当てる。そして…死者からのメッセージを
伝える。…ただ、それだけである。もちろん凄いことなんだけど、でも、
彼が相手にしているのは本当にただ、それだけ。その霊能力のために、
兄の儲け話にのっかるも、すでに疲れ果て、もう普通の人生を歩みたい
と(簡単にいえば彼女が欲しいの^^;)願う、ささやかな男なのである。
霊能者が恋したっていいじゃないか!と応援したくなるこの不思議^^;
そして…冒頭で巨大津波に飲まれ、九死に一生を得たジャーナリスト。
その時に見た死後の世界?が忘れられず…今の仕事に身が入らない。
一念発起して独自にリサーチを進め、体験を出版するまでこぎつける。
ロンドンでは、双子の兄が母のドラッグ治療薬を買いに出て帰る途中、
不慮の事故で亡くなってしまう。いつも兄に頼っていた弟は立ち直れず、
霊能者を使って兄とコンタクトをとりたいと考えるようになる。
この3人が奇しくも…?ロンドンのブックフェアで出逢う。
ここまでの話がわりと普通に在りがちな構成で描かれているところへ、
一気に卿はこの3人を取り込み、交わらせていくのだが、ここが一番
スピリチュアル!?なところかな、と思った。そう、絶対に出逢うはずの
ないところで、誰かと出逢ってしまったり、何かに遭遇することってある。
まさか?が起こるから運命なのだ。こういう偶然は映画ではよく起こる^^;
でも、それがあるから映画もドラマも人生も、俄然面白くなるのである。
不慮の事故や悲しい出来事も不測の事態として起こるが、それも運命。
人間はこんな風に出逢いと別れの波間を漂って生きているものなんだと
実に映画的で^^;出来過ぎた^^;運命にも、ささやかな幸せを感じとれる。
その偶然を必然に変えて将来を夢見ることは、生きていればこそなのだ。
卿ってすっごいロマンチストね…^^;とさえ感じた。
今までの彼の作品と比べると、ラストがとても穏やかで神秘的。
あの料理教室での、目隠し食べ当てクイズ…のまぁ官能的なこと!!(爆)
なんであのシーンだけ、あんな長いんだ?(って皆さん思いませんでした?)
イタリア人を褒めているのか馬鹿にしているのか分からない卿の演出も^^;
トマトばっかり切っていて悲しい顔をするマットを見るにつけ、印象深い。
いや、でもあそこまで通わせたんだから、なんか完成させてほしかったなー。
あと偽霊能力者たちの面白いこと、胡散臭いこと。面白すぎ(特にヨシ)^^;
さらにはここぞ!というシリアス場面で(マットが弟くんに言う台詞)
「大丈夫、急に変わったりしないから。」には心の底からウケてしまった。
こういうユーモアが、卿の健在さを伺わせ安心できる。やたらと霊能力を
題材にした作品が多く作られてきたが、実際今この世で生きている人間に
来世のことなんて分かるはずがない。もしその世界に触れることができる
のなら、確かに逢いたい、話したい人は存在するが、多分向こうも忙しくて
現世に云々…言っている場合ではないかもしれない^^;と思うことにして…
与えられた空間で出逢いと別れの波間を漂いつつ、明日も生きてゆくのだ。
(たまには映画で美味しそうな料理を出して下さいよー。今度こそは^^;)
「死」に向かい合った孤独な3人の「再生」の物語
大津波により臨死体験をしたフランス人の売れっ子女性キャスター、
死者と会話ができるアメリカ人の男性労働者、
最愛の双子の兄を事故で亡くしたイギリス人の貧困層の少年、
この3人の物語がオムニバス形式で映し出されていく。
全編を通じての「キーワード」は誰もが将来経験する「死」。
そして、「死」に向かい合った孤独な3人の物語が優しくかつ
ドラマティックに綴られてゆく。
物語は決してシリアスではなく、「死」を意識した3人最後に
偶然に出会い、そして「再生」していくファンタジーでハッピーな
ドラマに心打たれた。
この映画の強さと優しさに震えた。
このような素晴らしい映画は語りにくい。語るにはその作品を分解し、部分について語る他はないからだ。全体を語ろうとすれば「素晴らしかった」またはそれと似たニュアンスの言葉を選ぶしかない。そして素晴らしい映画を分解してそれと同じような感動と興奮を与えることは不可能である。
なので簡単に感想を。
「死後の世界」は口にしただけで人に腰を引かせるには十分な言葉だ。
いわゆるオカルト・・・それを受け止めきれる知的体力と時間を持つ人間は現代社会において決して多くない。オカルトは、耳にした、目にした瞬間に何らかの形で抑圧されるものだと考えていいだろう。
この映画はその「死後の世界」に呪われた、魅せられた、またはそれと接触しないことには人生を続けることができない人間たちの物語である。
社会から抑圧されるその世界と接触することで、彼らが何を得て(失って)、どう変わっていくのかを見てほしい。
人生で大切なことは、前を向いて生きていくことである。その為に社会的に認められていない世界と接触することに何の問題があるだろうか。
この映画が語っている生きることの辛さや素晴らしさに心を震わせて欲しい。そしてこんな映画を撮れる人間がいることに驚愕して欲しい。
生き残った者のヒーリングプロセス
映画「ヒア アフター」、原題「HEREAFTER」観た。
クリント イーストウッド監督。彼が作った32番目の映画。イーストウッドが監督をして、ステイーブン スピルバーグが製作、指揮をした。二人の 映画界における巨匠による作品だ。
監督: クリント イーストウッド
製作指揮:ステイーブン スピルバーグ
キャスト
マリー:セシル デ フランス
マルコス:フランキー マクレラン
ジョージ:マット デイモン
ロケーションごとの映像が美しい。イーストウッドが作る作品は いつも彼が作曲したり編曲したり選曲した音楽と、映像とが 実に巧みにマッチしている。そこに映像があるだけで 説明が要らない。字幕で「ロンドン」とか「パリ」とか「1年後」とか「半年後」とか字幕など入れない。彼はひとつひとつの画面を芸術と捉えているから野暮なことはしない。それでいて、観ているだけで そこがロンドンだ、パリだということがわかる。ロンドンの空気、ロンドンの人々の動き、ロンドンの喧騒が画面から濃厚に立ち上がってくる。パリでも サンフランシスコでも それが起こる。そんな彼の画面を見ていると魔術のようだ。
パリ、サンフランシスコ、ロンドンに住む3人の人物が それぞれ日々の生活をしていて 笑ったり 苦しんだり悩んだりしていて、一見それらが何の脈絡もないように思えるが 最後に一挙に つじつまが会うように作られている。映画作りでは完全主義者のイーストウッドの腕のみせどころだ。
そこに 「ラブリーボーン」のスピルバーグのテイストが 散りばめられている。
ストーリーは
テレビジャーナリスト マリー リレイは テレビ局のダイレクターの恋人と一緒に東南アジアの島で 休暇を過ごす。海辺の露店で買い物をしていたマリーを大津波が襲う。津波に流され沈んで いったん死ぬが 地元の人々に助けられ 息を吹き返す。そのときに体験した臨死体験を 恋人や友達に話すが 誰も信じてくれない。事故によるトラウマか 幻想にすぎないと笑われて、孤独の底なし沼に落ち込んでいく。誰の共感も得られず たどり着いたのは スイスアルプスの山麓にあるホスピスだった。そこで毎日 死に向かい合っているドクターの理解を得て、彼女は死の世界について本を書く。フランスで、出版はかなわなかったが、ロンドンの出版社からそれが出版されることになる。
ロンドンの下町に住む、マルコスとジェーソンは12歳、双子の兄弟だ。12分間先に生まれた兄、ジェーソンに、内気なマルコスは いつも頼りきっている。父は家族を捨て 母はアルコールと薬物中毒で、家庭が崩壊寸前、市の生活教育指導員の姿に脅えている。しかし、母親のお使いに街に出たジェーソンは 不良にからまれ 逃げようとして 車にはねられ死亡する。一人きりになったマルコスは 母親から引き離されて 里親に引き取られる。唯一頼りにしていた兄を失ってマルコスは立ち直ることが出来ない。兄の霊を求めて霊能力者を訪ねて回るが 皆ニセモノだ。マルコスの喪失感と孤独は深まるばかりだ。
サンフランシスコの港湾労働者ジョージは 生真面目で誠実な青年だ。偏頭痛の手術をしたことを契機に 死者を見たり話をすることが出来る能力がついてしまった。兄は 彼が心霊療法家としてビジネスをして 人助けをするべきだと信じている。しかし亡くなった人からのメッセージを身内の人に伝えることが 必ずしも生きている人の苦痛を取り去ってくれる訳ではない。頼まれても 死者に会うことを断ってきた。そんなまじめ一方のジョージが 社会人向けの料理教室で知り合った女性に恋をする。しかし、彼女に望まれて 彼女についている死者の霊を読むうち 彼女のが父親から虐待されていた過去を知ってしまう。彼女は自分の心の傷をジョージに知られて 黙って去っていく。ひとりジョージは 疲れきって、旅に出る。文学を愛するジョージは ロンドンで、ブックフェアに出かけていく。そこで パリからきたマリーと ロンドンの12歳の少年と、ジョージが、、、。
というお話。
最初の15分がすごい。
東南アジアのリゾートを津波が襲うときの 不気味な音と高波の恐怖。水が迫ってきて 人々が流される様子を撮影したシーンがとてもリアルだ。人工的に高波を作って撮影したそうだ。マリーが必死で走って 高波に追いつかれ 沈む様子、柔らかな人の体を 流されてきた車や屋根や鉄板がぶつかっていく姿は ドキュメンタリーフィルムのようだ。
サンフランシスコの港湾労働者の姿。組合との軋轢、一日として休みを取らずまじめに働き、チャールス デイッケンズが好きで 小説をテープで聞きながら眠るジョージ。ボーイスカウトをそのまま大きくしたような好青年が ひとり小さな台所で 大きな体を丸めるようにして食事をする姿で、イーストウッドは 上手にジョージの心象風景を語ってくれる。こんなジョージの人柄に、マット デイモンは適役だ。他にこの役を出来る人はいないのではないかと思う。
この映画を見ると 人はみな傷を持って生きているのだということが実感できる。子供の時に虐待されていたり、親が親としての能力を持たなかったり、学校時代に理解者がいなくて孤独な子供だったり、友達が居なかったり、信頼する人に裏切られたり、職場で自分の能力をわかってもらえなかったり、自分を利用しようとする人ばかりだったり、恋人が他の相手に走ったり つらい気持ちをわかってくれる人が居なかったり、、、本当に人は孤独で傷だらけだ。生きるだけでも大変なのに、ある日 大切な人に突然死なれてしまったら、残された人は途方に暮れるばかりだ。
悲しみを持っていく場を 持たない人にとって、死者から お別れの言葉を受け取ることができるなら それが 救いになり、許しとなって、残ってもなお、生きていける力になる。死者からのメッセージは、傷心の治癒に向かう為の過程 ヒーリングプロセスとしてなくてはならないものかもしれない。
この映画、80歳にして意気軒昂、強い男の代名詞であるイーストウッドから 弱者へのいたわりのメッセージを捉えることが出来る。
ちょっと残念・・
試写会にて・・
『グラントリノ』でファンになり、
今回も期待を倍くらいにして鑑賞。
悪くはないけど、すっごくいい!とまでは行かず。
死に触れて前を向く・・
臨死体験したジャーナリスト・マリー
双子の兄を事故で亡くした弟・マーカス
子供の頃の手術(のせいか?)で、死者の声が聞ける男・ジョージ
この三人が、ある日出会い、それぞれの心が癒されていく。
それまでの時間が、ちょっと長く感じてしまった。
津波のシーンなどは、めっちゃドキドキしたんだけど・・。
最後のマリーとジョージのシーンも
「あ、何か起こるんじゃ・・」と思ったら、ラストだったw
ジョージの苦悩や、マーカスの悲しみ、マリーの来世への想いと
心の琴線は、とてもよく出ていたと思います。
でも、んーっ、なんだか、んーっ・・という感じ。
まさか、スピルバーグが絡んだせい?・・なんて事はないだろうけど(笑)
マーカスとジョージの交霊?シーンでは、涙してしまったけど
期待が大きすぎたのか、なんだか物足りない。
可もなく不可もなくですが、個人的オススメの域に達せず。
ちょっと残念でした。。
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