「70年代の日本を強く感じる」幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ いもりりさんの映画レビュー(感想・評価)
70年代の日本を強く感じる
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車、歌、飯、服、街並みから貞操観念まで、あらゆる部分でその時代の日本特有の事柄を強く描いた作品。
常に70年代を感じさせるため一過性のミーハー作品っぽいのに、歴史の1ページとしての普遍性も感じるという不思議な作品。
主人公の考え方もまさに時代そのもの。
妻が流産した直後に、妻を慰めるどころか、過去の流産を知って逆ギレして暴力的に振る舞った挙句、怒りにまかせて通りすがりの赤の他人を撲殺して刑務所に入ったうえ、妻に離婚届を叩きつけ離婚を強制させ、しかしその数年後の出所時にやっぱりヨリを戻したいと復縁の手紙を送る。更には、手紙を送ったはいいが結果を見るのが怖くてできず、たまたま出会った観光客に結果の確認を任せる、と。
どうしようもなさすぎて鼻血が出る。不器用なんてレベルじゃない。一昔前のステレオタイプのチンピラのほうがまだマシである。
しかし、こんな主人公の行動も、本物の愛ゆえだというのである。しかもそれでも、健さんパワーなのか時代のせいか知らないが何故か説得力があるから不思議である。
最後の、ハンカチでいっぱいの竿をみたら涙腺が…。
あの描写は卑怯だ。なんで一杯あるかなー…愛の深さなのかなー…悔しい。
武田鉄也と桃井かおりの関係もよかった。山田洋次っぽい、日本の大衆的というか少し下品な描写が、幸福をリアルに感じさせてくれた。
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