「言葉は要らない。」幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉は要らない。
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なん十年ぶりに観たのだろうか。
映像派には分類されない山田洋次監督だが、やはり映画の手練れは映像で魅せる。
この作品は、黄色いハンカチがはためくあのシーンのためにある映画。
それ以降は台詞がほとんどなく、役者の動きだけで語っていく。
映画演出の妙技。
高倉健と賠償千恵子の会話が聞こえてくるようだ。
もう分かっているのでそれほど感動はしないかな、と想っていたが、やはりあのシーンには胸が熱くなる。
賠償千恵子はどんな思いで6年間を過ごしていたのか。
なぜ一度も面会に行かなかったのか。
そもそも、離婚届に署名捺印して送った時、それからどうするつもりだったのか。
高倉健からのハガキを受け取った時、どう感じたのか。
彼女の心理はまったく語られないまま、
映画は幕を閉じる。
武田鉄矢と桃井かおりの仲が急接近する様子を画面は追うが、今頃高倉健と賠償千恵子の二人は6年間の溝を埋めるために、溢れ出るようにお互いの思いや体験を語り合っているんだろう…。
いやいや、あの二人はお互い黙して語らず、ただ肌を寄せ合うばかりなのかも。
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