「「自分、不器用ですからこんなレビューになってしまいました」←うそ!「厚顔無恥にもほどがあるレビュー」」幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ 野球十兵衛、さんの映画レビュー(感想・評価)
「自分、不器用ですからこんなレビューになってしまいました」←うそ!「厚顔無恥にもほどがあるレビュー」
ネタバレもクソもない名作中の名作。『猿の惑星』の「ここは地球だったのか!」みたいな?
ファーストシーンの欽也(武田鉄矢)の部屋。スーパーカーのポスターまみれで「あぁ、時代だなぁ。懐かしいなぁ」と思いました。
どうでもいい話なのですが。私は『サーキットの狼』の劇中で登場する車の中では、トヨタ2000GTシルエットフォーミュラーという架空車が一番好きでした。カウンタックのGr.5も。主人公のフェーリディノRSとかの“でっちあげ”車って、外連味とロマンあるじゃないですか。
スーパーカー♪スーパーカー♪スーパーカー♪スーパーカー♪ランボルギィーニ!カウンタ―ック!ポルシェー!ナイ―ンワンワンターボォー!フェルッラーリ!ヴェルリネッタボクサァ!マセラッティボーラァ!イッツナンバァーワーン!スーパーカー♪スーパーカー♪スーパーカー♪スーパーカー♪僕の憧れ♪僕の恋人♪スーパーカー♪
ごめんなさい。当時を懐かしんで、ついYouTubeで『対決!スーパーカークイズ』のオープニングテーマを聴いてしまいました。スーパーカー♪スーパーカー♪スーパーカー♪力は機関車よりも強く!高いビィルディングもひとっ飛び!(もうええっちゅうねん!)
挿入曲にピンクレディーがいくつか流れていたり。キャンディーズの話題がでてきたり。懐かしぇ。どうでもいい話で500文字以上を浪費してしまいました。
ごめんなさい、本題です。オープニングクレジットの“原作=ピート・ハミル”で初めて知ったのですけれど、元はアメリカ新聞誌掲載のコラムだったのですね。いかにもな人情話なので、かなり意外です。米国人に人情がないって言ってるわけじゃないんですが。
武田さん、ロン毛にテンガロンハットよく似合っていました。「百姓みたい」(笑)な白のジャンパー、結局は気に入って買っちゃったんだ。
勇作(高倉健)の初登場、食堂でビール一気に飲み干すシーン。出所後あるあるですよね。私はアルコールがさっぱりダメですし、幸いにもまだ収容されたことがないので、その格別の美味さはよくわからないのですが。
ふっかふかのおふとぅんに感激するシーンも「きっとそうなんだろうなぁ」と胸が締め付けられる思いでした。
この作品、記念すべき第1回日本アカデミー賞では最優秀主演男優賞で故・高倉健さん、最優秀助演男優賞で武田鉄矢のお名前が挙がっていますよね。
私が思うに、この映画の主役って、むしろ欽也(武田鉄矢)だったと考えたんですよ。
贅沢にも、高倉健さんが演ずる勇作を狂言回しにして、武田鉄矢が演ずる、うだつの上がらないダメ男の成長譚を描いたのだと感じたので。
鉄矢さん、映画初出演に関わらず、ド素人とは思えない好演技でした。すっとこどっこいでお調子者でドスケベなんだけれど妙に憎めないヤツ。そういうヤツっているじゃないですか。ここに。“憎めないヤツ”だかどうかは別として(笑)そんな欽也を見事に演じ切っていらっしゃいました。
もちろん健さんの唯一無二の存在感のサポートあってのことなのですが。
桃井かおりの、情に厚いけれどちょっとトロい朱美のキャラ設定も活きていたのも勿論なのですが。←言い方!
そんな3人の珍道中が、この上なく面白くて感動的な物語として描かれていました。
勇作、欽欽、朱美の奇妙な凸凹トリオが、いつしか本音でぶつかり合える間柄になっていく過程が微笑ましくて、涙ぐましかったです。
勇作の欽也への説教に痺れました。
「おまえそれでも九州の人間か」
「いいか…女子(おなご)ちゅうのは弱いもんなんじゃ。男が守ってやらにゃいけん」
これって、いくら年月が過ぎようとも、男女間の普遍的な価値観だと思うのですが。昨今のポリコレて何様のつもりなんですかね?
かつて住んでいた我が家を目前にして、怖気づく勇作に欽也の活が入ります。
「ここまで来たんだろう、なんだよ今さら女々しいこと言うなよ。この間俺に偉そうに説教したくせにさ」
ここでの欽也の成長っぷりに思わず頬が緩みました。
朱美の慰めの言葉も、とことん優しくて涙が出ます。
テレビ放映などで何度も観ているはずの映画なのに、ラストもわかりきっているのに。今回観直してみても、黄色いハンカチが上がっているかどうか、三人の目線でハラハラしながら観ている自分がいました。
なので、黄色いハンカチの列を見つけた時の欽也と朱美の喜びようが、他人ごととは思えなくて。
勇作を送り出してやる時の幸せな気持ちが、じーんと胸に染みて。
邪魔しないようにさっさと車を出した後、陰に隠れて勇作と奥さんの再会を見守っていた二人の優しさが素敵でした。
たった数日間の出来事なのに、何だか長い長い旅だったように思えた勇作の旅がハッピーエンドで締められてとてもよかったです。
欽也と朱美のハッピーエンドも含めて。愛車のファミリアは結構ポンコツになっちゃいましたけれど。
欽也、朱美に惚れられてもいい、素敵な男になりましたよね。
借り物の言葉を使えば、“ロードムービー”の傑作中の傑作だと思いました。
ロードムービーって言葉、この作品について調べるまで知らない言葉でした。←マジでΣ(oдΟ;)!!
一個だけ難点があったんですね。それ、今さら言っちゃダメなんですが。さすがに音楽が古すぎるなぁと思って。
これだけは仕方ないからマイナス点にはしないです。
2011年の日本テレビドラマ版ではどうだったんだろう?テレビ観なくなって久しいから、観逃しています。
阿部寛の勇作役、かなり興味があります。1982年TBSドラマ版の菅原文太さん版もあったのですね。
この映画、海外でのリメイクあってややこしいことになっているんですよね。
アメリカが原作発祥の地→日本にて映画化→アメリカでリメイク。って逆輸入映画なの?
タイトルは『イエロー・ハンカチーフ』っても蓋も無いの(笑)
「まさか!」と思ってアメリカ版をアマプラで探すと!ありましたありました!これも“観なきゃ映画”の候補に入りました。
タイでも、リメイクがあったそうで。『もしあなたがまだ私を愛しているなら』こちらもかなり観てみたいかも。独特の宗教観が色濃く出ていそうで興味あります。「仏様を大切にしろ!大切にしないヤツは死ぬべきなんだ!(名言)」とかの台詞がありそうで怖そうですw