劇場公開日 2010年4月10日

「リアリティ欠如はなんのその、映像芸術の魅力を遺憾なく発揮したエンディングに…」幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0リアリティ欠如はなんのその、映像芸術の魅力を遺憾なく発揮したエンディングに…

2023年6月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

山田洋次のキネマ旬報ベストテン第1位作品
がTV放映されたので改めての鑑賞。

NHKの再放送ドラマ「男たちの旅路」での
桃井かおりの特異な名演技を見ていたので、
彼女の魅力にも注目して観始めたが、
そんな想いなどは
すぐに消し飛んでしまうような、
ただただ、高倉健のたたづまいに魅了される
作品だった。

口数の少ない演技は
スティーブ・マックイーンにも
通じるものがあるが、
特に、刑務所を出たばかりの所作は、
まるで、高倉は経験者であるかのようだ。
そして、
押し殺したような女性への深い愛情表現は
この作品に限ったことではないが、
見事な“高倉健的”名演技に感じた。

そして、
エンディングの分かっての鑑賞ながらも、
事前に配されたタンポポや道路の車線境界線
等の黄色い映像シーンを改めて目にすると、
自然に涙腺が…。

あの多過ぎる数の黄色いハンカチは、
もちろん、妻の愛情の表現として
毎日コツコツくくり付たとか、
彼女に同情する近所の方々に
お手伝いしていただいた結果だとか、
ある程度の理由付けは可能だろうが、
あそこまでしなくても、と感じさせる
描写ではある。

しかし、原作ではどのような
記述になっているのかは分からないが、
そんなリアリティ欠如への邪推などは
消し飛ぶような、
映像芸術としての利点を生かし切った
山田洋次監督の見事な演出だったのでは
ないだろうか。

KENZO一級建築士事務所
りかさんのコメント
2023年9月10日

あき240さん、
説得力あるコメント、ありがとうございました😊

りか
talismanさんのコメント
2023年7月30日

🔺おお、素敵な光枝の思い!確かに高倉健はそうかもしれない

talisman
あき240さんのコメント
2023年6月11日

あの満艦飾のハンカチ
あれは光枝が、夫の性格を良く知っているからこそ、そうしたのだろうと自分の中では思っています

「ハンカチを一枚ぶら下げたところで
町のそばまで戻ってきても、やっぱりあの人は家の前にきてハンカチがあるのを確かめもせずに帰ってしまうに違いないのよ
遠くから見てもハンカチがあると分かるようにしないと絶対に帰ってこない
そんな人だもの
だから手紙をもらってすぐに生協で黄色い布地を何メートルも買ってきてあれを作ったの」

自分にはそんな光枝の声がするのです

あき240