「正しい漫才映画。」漫才ギャング ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
正しい漫才映画。
昔は好きだったのに、最近はお笑い番組を見たことがない。
こんなこというと…歳!?のせいかとも思えるので難だが^^;
最近のお笑い芸人のネタを見ても笑えたためしがない。
とりあえずお笑い芸人出身のタレントが撮った映画も観るが、
これまた…面白い♪と笑えたためしがない。
で、今作の監督の品川ヒロシ…よく彼をTVでは見かけるが、
彼らの漫才をきちんと見たこともなかった。
ただ…前作の「ドロップ」あれは大変面白い作品だった。
このヒト監督の才能あるかも?と思ったことは覚えている。
前作に続き、自伝モノ…?という感じのストーリー。
そもそも冒頭からボケとツッコミの嵐、佐藤隆太がまぁ巧いこと!
本業であるピースの綾部祐二を相方にボケる、ボケる(爆)
あっちへ飛んだり、転がったりと、ステージ狭しと演じきる。
芸人がそのまま芸を披露すれば、そりゃ面白いのはお墨付き、
普通の俳優にやらせたところがまたスゴイ。そしてそれを見事に
モノにした佐藤隆太もこれまたスゴイ。といったところ。
悪いけど?今作で使われたギャグやネタには、ゲラゲラ笑えた。
劇場のほとんどのヒトが笑っていた。品川のネタなのだろうが、
(劇中で佐藤も言っているが)プロの考えるネタって凄いですね。
そして今作は、下らないお笑いに終始するというのでもなく、
芸人ってこうやって生きてるんです。的な飛夫の生活に密着する。
お金もない、コネもない、人気もない、コンビが解散すれば
行くあてもない、ないない尽くしの下っ端芸人が注目されるには
やはり努力と根性なんだ、というのが分かる。これはどの世界でも
一緒。おそらく俳優業だって似たようなものかと思うのだが…
たまたま留置所で出逢ったギャングもどきのヤンチャ坊主、上地
演じる龍平のツッコミに惚れ、彼とコンビを組むことを決意する。
しかし彼のケンカは周囲が放っておかず、芸に打ち込もうとする
龍平に何かと邪魔が入る。せっかく人気が出始めた二人だったが…
脇を固めるのは前作からのゲストで成宮寛貴をはじめ、新井浩文、
金子ノブアキ、など若手(ケンカ)俳優と、お笑い芸人多数で占めた
感が大きいが、特に!!このヒト、ロバートの秋山竜次がスゴイ^^;
ガンダムオタクの引きこもり変態住人をこれでもか★のパワーで
見事に演じきっている!佐藤隆太も凄いが、秋山はもっと魅せる!
だって絶対いそうなんだもん、こういう奴…^^;よく研究してるなぁ。
お笑いパワーが突っ走る感じが冒頭~かなり続き、観ていて飽きない。
中盤~後半で、ややパワーが落ち散漫な感じ、長いかなと感じるが、
最後の最後まで(誰なのかしら?と^^;)スクリーンに釘づけにさせる。
まぁ…結果は最後まで観てください。なんですが。
芸人さんていうのは頭がいいんだろうな、と思う。
だからそつなく演出ができたり、脚本が書けたりするんだろうが、
それをそのまま笑いに繋げることは難しい。
かの大御所たちが(また作ったみたいだけど)ぜんぜん笑えない作品
ばかりを作っては世に出すところを観てきた私には、
こういう単純でストレートな笑いこそ何より、漫才映画だ!と思える。
漫才芸人が描く、正しい漫才映画、といったところかな。
震災を経験した日本は今、ひっ迫した危機的状況にあるのだけれど、
不安やストレスを抱えたヒトにこそ最適な作品。これでまた頑張れる!
(どうも石原さとみだけが私的に浮いて見えた^^;あれは芸人の理想?)