「エコ文化華やかし江戸から今の東京を眺めるとその目に映るのは何?」ちょんまげぷりん Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
エコ文化華やかし江戸から今の東京を眺めるとその目に映るのは何?
中村義洋監督の「ポテチ」が今週の週末から公開される予定なのだが、私はこの監督作品を今迄1本も残念な事に観ていなかったので、まずはストーリー的に自分の好きなタイプの話の映画から入ってみようと考えてこの「ちょんまげプリン」を選んでみたのだ。
その理由は、自分が大の甘党で、ケーキを焼くのが好きで、映画とお茶のある生活をこよなく愛していると言う事と、第2番目の理由は、タイムスリップとか、異次元空間にハマり込んでしまう話しのような、ファンタジー映画が好きな理由から、中村監督の近作を観るなら、「怪物くん」か「ゴールデンスランバー」など注目の話題作品を観るべきところをあえて、タイムトラベラーものにしてみたのだが、少しだけ今回は予想と選択が外れたかなって思えたのだ。
中村監督は約20年のキャリアがあり、監督としてだけでは無く、むしろシナリオ作家としての実績も沢山有る方なので、この「ちょんまげプリン」を観ているとストーリー展開などの話の運びとか、カット割りとか上手いし、良く出来ているなと思えるのだが、何故だかこの話は良く出来ていて面白い筈なのだが、今一つ乗れなかったのは何故だろうか?
180年前の江戸時代に生きている安兵衛が、今の巣鴨に突然タイムスリップしてしまい、シングルマザーのひろ子の自宅に居候する事となった彼は、今の東京の人達のマインドが理解出来なかったり、生活習慣の違いからくる家族観などに疑問をもったり、現代の都会を有る意味江戸のサムライの目を通して風刺する安兵衛が面白いし、はっと気付かされる点もあるのだが、何故か、心から楽しめなかったのだ。今でもその理由はこれだ!と指摘が出来ないでいるのは、単なる自分の主観と言うか、嗜好、好みの問題だけなのだろうか?
ともさかりえ演じるひろ子がシングルマザーとして仕事と家事や子育てに於ける公私の両立問題や、女性が働く環境としての、我が国の社会の理解の不足な点などをコミカルに描いていて面白いし、それなりの問題提議があって社会風刺コメディー映画としては作品的には納得の出来る作品なのだが、きっと、何故ここまで安兵衛が菓子作りにハマっていったのか、そのプロセスが全く描かれていない為か、異和感が残りシックリと出来ないでいたのだろうか?
もともとタイムスリップなどと言う有り得ない出来事は、初めから話のつじつまが合うはずがない様に出来ているので、目くじらを立てて屁理屈を言う私が問題なのだろうか?
「バックトゥーザ・フューチャー」シリーズや「バタフライエフェクト」シリーズ好きな私としては、残念なのだ。日本でも「時をかける少女」は面白いし、そう言えばジョニーディップのもう直ぐ公開する「ダークシャドウ」はこれも、或る意味タイムトラベラーものと言えるだろう。タイムトラベラーと少し違うが、時間との緊迫感があるサスペンス映画として思わぬ拾い物をしたと記憶している作品で、やはりジョニーが出ている「ニックオブタイム」も大作では無かったけれど、充分に楽しめる面白い映画だった。
話が脇に逸れてしまったけれど、この「ちょんまげプリン」B級コメディーとしては充分に楽しめる範囲の作品であると思う!お茶とお菓子を食べながら家族団らんには良い映画だ。