「あまりに高尚すぎて評価できない」白いリボン あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
あまりに高尚すぎて評価できない
2009年ドイツ・オーストリア・フランス・イタリア・ドイツ合作映画。144分。2010年52本目の作品。カンヌの最高賞であるパルムドールを受賞したミヒャエル・ハネケ監督の最新作。
内容は;
1,第一次世界大戦の前夜、ドイツの厳格な因習が残る農村で男性の落馬による死亡事故が起きる。
2,それから村には「不可解な」事件が立て続けに起きる。
3,事件の解決で調査する青年は、村の異様な人間関係を目の当たりにする。
テーマ的にはハネケ監督の前作「隠された記憶」につながる「子供」です。違う点は前作が現代劇だったのに対し、今作は今からほぼ1世紀前のお話。都会ではない、周縁の農村で厳格な因習のもとに暮らす人々の屈折した異様な人間模様が描かれています。
ラース・フォン・トリアー監督あたりが同じテーマを映画にして「田舎=良いところ」という世のステレオタイプを見事に崩してますが、本作はそれだけじゃ留まらない(これ以上言ったらネタバレになるので伏せときます)。
正直、この作品がつきつける「現実」を知って得になるのかどうかはわかりません。それだけ、本作はリアリティがあり、そして残酷な作品です。
ハネケ監督の空の上を突き抜けようとする探求心と集中力、巨視的な視界はお見事。わたくしは、ただただ感嘆と畏怖を抱くしかありませんでした。
いつか腑に落ちるまで観てみたい作品です。
コメントする