「ナンツ軍曹の男気に泣かされる」世界侵略 ロサンゼルス決戦 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
ナンツ軍曹の男気に泣かされる
まず、ブレる画面に悩まされる。
手持ちのカメラが、ドキュメンタリータッチを意識したのかクイックなズームとパンを繰り返す。おまけに顔のアップが多く、それが小刻みに揺れるから堪らない。
中盤からの戦闘シーンでは、かなり落ち着いてくるが、普段より1~2列後ろの席で観ることをお勧めする。
軍は、ほとんど占拠されてしまったロサンゼルスを異星人もろとも空爆するという、起死回生の作戦に出る。空爆開始の時間までに、逃げ遅れた民間人を爆撃圏外まで待避させるというのが大筋だ。
まず、見どころのひとつは、派遣される海兵隊2-5小隊の陣容。
小隊を率いるのは、ほとんど実戦経験がない士官学校出のマルティネス少尉。その配下に実戦経験豊富なナンツ軍曹が就くが、彼は退役届けを出したばかりのところを駆り出された。その下が問題で、過去にナンツの指揮下で兄を失ったロケット伍長がいる。
非常事態のなか、即席で組まれた小隊が抱える問題が浮き彫りになるが、徐々にチームワークを発揮し、強いプロフェッショナル軍団へと形成されていく。
キャストに名がある「アバター」や「マチェーテ」でもお馴染みのミシェル・ロドリゲス。相変わらず戦闘服がよく似合う女優だが、彼女が2-5小隊にどう絡んでいくのかは観てのお楽しみ。後半の展開に於けるキーパーソンとだけ言っておこう。
もうひとつの見どころは、これはなんといっても異星人との戦闘場面だ。ここでは手持ちカメラの持ち味が存分に出て、戦火の中を駆け巡る臨場感が凄い。人類とは圧倒的な差で破壊力を見せる異星人に、真っ向から近接戦に臨む2-5小隊の勇気に釘付けだ。
かつて誰も経験したことのない非常事態に遭遇したとき、それに立ち向かえる勇気と統率された行動力は一朝一夕で養えるものではない。アメリカという国の底力を見た思いだ。
「必ず国を守り、国民を守る」というナンツ軍曹の言葉の裏には、それができるのは、その時その場で上に立つ者の判断力に掛かっているという自負を感じる。
そんなナンツに、かつて兄を彼の指揮下で亡くしたロケット伍長が問いかける。
「我々は、そのための消耗品ですか?」
この問いに答えるナンツに泣ける。
この映画いちばんの見どころはここだ。