マネーボールのレビュー・感想・評価
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華やかな世界の日陰者。
○作品全体
ブラウン管で見るヤンキース対アスレチックス戦から始まり、照明の落ちた球場でラジオ越しに観戦するビリー。メジャーリーグという華やかな舞台が中心にある作品で、その舞台にはいない、陰の物語として決定づけられる作品冒頭がまず印象に残る。
作品内での野球シーンは終盤のみ存在し、舞台として映されるのは球団事務所やクラブハウスの風景だ。そこで進むチーム編成の努力が、照明の落ちた球場や年季の入った蛍光灯の下で静かに彩られる。落ち着いたBGMもあって、作品に漂う独特な空気感がビリーの「したたかさ」にも思えるし、チーム編成上の冷徹な判断に対する「侘しさ」にも思える。陰の物語としての世界観の作り方というべきだろうか。この雰囲気がとても良かった。
○カメラワークとか
・影を作る演出がほんとに良い。階段下のスロープ、一人きりのトレーニングジム、ビデオ室、照明の落ちたグラウンド。ピーターやビリーがいる場所には影が多く存在する。縁の下の力持ち、といえば聞こえはいいが、チームが低迷すれば矢面に立たされるし、かといって功労者として評価されることは少ない。そして古い考えが蔓延るMLBの中で、ビリーやピーターの考えはインドアの日陰者として考えられている。こうした2人の立ち位置を描くのにあたって、自然と画面に存在する影だった。
・当時の実際の映像と繋ぎ合わせる野球シーンの照明がバラエティとかの再現ドラマっぽくてちょっとチープ。いっそ野球シーンは全て実際の映像だけで良かったのでは?と思った。作品全体は影の落とし方が凄く良かった分、なおさら浮いてる。
○その他
・ブラットピットのガッツポーズの仕方がちょっとダサくて笑った。子供っぽい感じ。『ホームアローン』のマコーレー・カルキンのガッツポーズを思い出してしまった。
・ピーター役のジョナ・ヒルは好きな役者だなあ。一見抜けてる部分がありそうで、芯はある。そういうキャラクターが良く似合う。
スポ根ものだと思っていたら全然違った、でも そこがまた良かった
私は野球には全く興味がなくTVでも全然観ませんが、そんな私でも楽しめるほど野球の話ではありません
弱小球団を統計学的なデータ分析手法で勝利に導き、MLB史上に残る当時20連勝という記録を達成、セイバーメトリクスと呼ばれる現代では当たり前になったている(までに至った主人公の男2人が古い文化や風習を捨てられない古参達や自分の経験と勘コツしか信じない監督などと真っ向勝負しながら改革を推し進めていく様が力強く描かれ見ごたえのある骨太なドラマ
主人公の男2人というのは両者とも実在の人物がモデル、ブラッド・ピットさんが演じるのはオークランド・アスレチックスのGM ビリー・ビーン、相棒で実質 セイバーメトリックスの礎を考えたピーター・ブランド(実在の方はピーター・デポデスタ氏がモデル)をジョナ・ヒルさんが印象的に演じています
とにかくブラッドさんが時に活火山の様にキレまくり、時に苦悩に満ちた表情を見せ、富と名声にこだわらず自らの望む道に邁進する男気のあるキャラクターを演じていて、とてもカッコイイです
ガツンとカタルシスを感じるサクセスストーリーものかと思いきや、違う所も逆にリアルで印象深く、観ていて気持ちよかった
決して大成した人達ではありませんが、知る人ぞ知るMLBの歴史に名を残す熱い物語、とても余韻を引くいい作品でした
背後にはビリーの鬱屈があり、苦悩もあったと思う。
<映画のことば>
ここは、ヤンキースではない。
だから、ヤンキースと同じことはできない。
本作についてのネット上では、「マイケル・ルイスによる『マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男』を原作とし、オークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャー(GM)であるビリー・ビーンが、セイバーメトリクスを用い経営危機に瀕した球団を再建する姿を描く」(Wikipedia)とか、「メジャーリーグ「オークランド・アスレチックス」のGM(ゼネラルマネージャー)、ビリー・ビーンの半生を、ブラッド・ピット主演で映画化。全米約30球団の中でも下から数えたほうが早いといわれた弱小球団のアスレチックスを独自の「マネー・ボール理論」により改革し、常勝球団に育てあげたビーンの苦悩と栄光のドラマを描く。」(当映画.comサイト)とか、解説されているのですけれども。
観終わって、評論子には、別の感慨がありました。
それは、ひと言でいえば、「スカウトに人生を狂わされた悲運の男・ビリー・ビーン」といった感じでしょうか。
著名大学に、奨学金を得て進学できるほど優秀だったビリー。
その「シナリオ」どおりにコトが進んでいれば、ビリーは、たとえば大学でMBA(経営学修士)を取得するなど、企業のエグゼクティブ層(経営者層)として、オークランド・アスレチックスにGM(ゼネラルマネージャー)として「使われる(雇われる)」立場ではなく、むしろオークランド・アスレチックスを「経営する」側に立っていたかも知れない人物。
現実は「名センター」への夢も絶たれて選手への夢を絶たれ、球団のマネージャーとして、野球界の片隅で、もがき、苦しみながら息をしているビリー。
上掲の映画のことばは、そういう鬱屈の中のビリーの、苦悩の一端を吐露することばでもあったと、評論子は受け取りました。
ガラス玉を「ダイヤモンドだ」と言ってスカウトするような無能なスカウトに「(ビリーのような)5拍子揃った選手は他にいない」などとおだて上げられ、「(進学と野球選手として活動との)両立は無理」と言われて進学を棒に振ってしまった結果は、選手としての夢を絶たれた挙句に、オークランド・アスレチックスに「使われる(雇われる)」立場になってしまた―。
当のスカウトにしてみれば、「磨けば光ると思ってスカウトしたが、けっきょくは磨いても光らなかっただけの話」なのかも知れませんけれども。
結局は、本作のビリーも、「ダイヤモンドを買うつもりで、大金を叩(はた)いてガラス玉を買ってしまう」ような無能なスカウトにそそのかされて、名門大学への奨学生としての入学を棒に振ってしまった一人と断ずるべきだと、評論子は思います。
(ひとりの人間の転落(あえて「転落」といいます)の背中を押した―ひとりの優秀な人間の将来を潰した責任はどうなるのかと、その無責任さ(?)には、腹立ちすら覚えました。)
そしてらそういう境遇の中でも、いわゆるマネーボール理論に基づいて、這い上がるもがきら、足掻(あが)くビリーの姿が胸に痛い一本だったというのが、むしろ本作の真髄(裁判例に含まれるエッセンスに例えて言えば「レイシオ・デシデンタイ」ともいうべきもの)と評論子は考えます。
そのことを描いたドラマとしては、佳作としての評価が充二分に可能な一本と評したいとも、評論子は思います。
(追記)
<映画のことば>
野球で何を把握すべきか誤解している人が多すぎる。
メジャーリーグを運営する人たちが、選手やチームを理解していない。
球団の人々は金で選手を買おうと思ってる。
だが、本当は選手ではなく「勝利」を買うべきだ。
それには、得点が必要だ。
レッドソックスは、デーモンを750万ドル以上の価値とみた。
僕からみれば、彼は、得点の取り方がよく分かっていない。
彼は、守備はいい。
一番打者で、盗塁もうまい。
だが年俸750万ドルも払う価値があるか。
野球界は古い。
求めるものを間違えている。
…
デーモンを放出したのは、正解です。
おかげで、あらゆる可能性が出てきた。
「マネーボール理論」―それまでは、GMや監督の「経験」と「感(第六感)」に依存してきた野球チームの勝利策に、初めて経済学・統計学的理論を導入した。
そういう意味では、プロ野球史上、画期的な出来事なのかも知れませんけれども。
しかし、実際のプロ野球の興業には、勝敗を争うスポーツ(プロスポーツ)としての要素のほか、観客を楽しませるエンターテインメントの要素…つまり、ある種の「ショー的要素」も、含まれていると、評論子は思います。
他に例えれば、プロレスが、「プロ」の「レスリング競技」としての要素の他に、意図的な「ヒール役(悪役レスラー)」や「隠し凶器」、そしてヒール役の「反則技」によるヒーロー役(ベビーフェイス=正義派レスラー)の流血(人間の額は、頭蓋骨との薄い隙間を通っている血管があり、そこが切れると、体に対するダメージの割には、出血量が多いとも聞き及びます)。
加えて、それらの「不正」に「うかつにも」気づかないふりのレフェリーといった「ショー的要素」が、観客の正義感を刺激して、ひとつのエンターテインメント興業として観客を引きつけるように。
ひと頃はマンガ(作・水島新司)の「あぶさん」こと景浦安武に惹かれて南海ホークス(当時。、現・福岡ソフトバンクホークス)のファンだったことがあった程度の評論子の意見ではありますけれども。
やはり、有力選手のトレード、戦力外通告など、いろいろな要素で、シーズンごとに、勝ったり負けたりするのが、プロ野球観戦の醍醐味であって…。
常勝理論の導入で、パーフェクトな球団を創り出す―。
そんなプロ野球は、実は、見ていても楽しくないのではないかと考えるのは、案外、評論子独りではないとも思います。
何事も定量的に表すとわかりやすいよね
野球はフィジカルと経験だ!
気合いで勝つのだ!
そんな事はない!データで!確率で勝てる!
出塁率、打率とか全てデータ化したぞ!
人間性なんかどうでもいい大事なのはデータだ!
数字は嘘をつかんぞ!
勝とうとするな!負けないようにするんだ!
敵のミスを待つのだ!確率だ!数字で勝つぞ!
金がなくてもデータで勝てるんじゃい!
これがマネーボール理論じゃいい!
この理論が正しいことを証明してやるぞい!
貧乏チームのアスレチックスがデータで優勝だ!!
最終的にこの理論は別チームによって証明されました
金持ちチームのレッドソックスが同じことして優勝しました
金のないアスレチックスが優勝手前まで行ったんだから、金があるチームが同じ理論やれば優勝するわな
やっぱ世の中金なんやねー
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データ野球の先駆けを見たね
実際の話なんでしょ?すごいね、データ!
都合よく優勝はできなかったけど、いいとこまで行ったのは物語として面白かったよ
野球のGM目線で展開する野球物語って新しいなって思いました
もっと"野球"を楽しんで
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かつてお金で人生を棒に振った男が、腐った球界を変えるために、「確率」で戦う巨譚。
ハーティのホームランは、作中1の盛り上がりですが、あれは奇跡じゃなく、確率がハマった瞬間。
野球をドームに観に行くと、弁当やらグッズやら、とにかく金の匂いが充満しているのがわかります。
ドームの上部の部屋で野球観戦をしているリッチな人たちは、"野球"を楽しんでいるのでしょうか?
既得権益にすがりつくあまり、
過去の経験に縛られ、新しいもの、つまり💰️を奪うものに攻撃的になってしまう。そんな球界を変えたい、
というビリーの思いが、彼の過去ともリンクしてて、
要はビリーのキャラクター像が度を超えて人間臭い。
というかプラピがかっこよすぎる。
色々言いましたけど、やっぱり「楽しんだもの勝ち」なんですよね。
絶対ひとにオススメできる、鑑賞後の余韻が凄まじい傑作です!
💰️─────────🤾
ブラピを見るための映画。内容はあらすじで完結してる。
むかし映画館で見たと思うけど、今になって見直しました。概要レベルでは分かりきった内容ではあるけど、ブラッドピットのやりとりや、太めの新人くんとのやりとりも小気味よく面白い。Youtubeのクリップでやたらにおすすめされたので見ちゃいました。
とはいえ事実を元にした映画ではあるので、まさに事実は小説よりも奇なりといった感じ。完全フィクションならこんなご都合主義な展開あるかよ、って感じですが事実なので批判しようがない。
野球という伝統と歴史のあるスポーツの中でも、新たな理論を用いて強者に打ち勝っていけるのだ、という事実は本当に面白い。ただ、これだけでお腹一杯なくらいの内容なんだけど、そこにあぐらを描かずに映画としての面白さもあるのはとても素晴らしいところ。ただ、その面白さの大半はブラッドピットの面白さなのでは?と思える。
ブラピが好きなら見るべき映画。
「人材」とは“見抜く力”と“信じる覚悟”で輝く
ただのスポーツ映画ではなく、“人材マネジメント”の教科書のような作品だった。
「人材」は与えられるものではなく、信じて、見つけて、育てるものだと痛感させられた。データで才能を見出すという冷静なアプローチと、それでも人を“信じ抜く”という熱さのバランスがとても現代的でリアル。私自身、仕事でも「過去の実績」や「第一印象」で判断しがちだったけれど、この映画を通して「人を見る目」の本質を学ばされた気がする。
特に、「誰も注目していない人にチャンスを与える」という行為は、まさに未来をつくる人材育成そのもの。ビリーの姿は、経営者や人事担当者にとっても理想のリーダー像に映るだろう。
スポーツに興味がなくても、チームづくりや人材育成に関心があるすべての人におすすめしたい一作。
経済学と統計学‼️❓栄光の光の影‼️❓
弱小球団が奮闘するが、結局はボストンレッドソックスのように強くてカネも無いと優勝できない。
弱小球団のオークランドアスレチックスが、ブラピとイェール大学(本当はハーバード)で経済学を学んだ若者とセイバーメトリクス理論で快進撃をする。
ただ、地区優勝ではミネソタツインズに負けた。
で、セイバーメトリクスを使ってボストンレッドソックスは優勝した。ブラピはその数年前に5年1250万ドルと言う破格の条件で、ボストンから誘われてたのに。
ブラピはアスレチックスを何とか優勝させようとしているが、結局はある程度のお金も必要なんじゃないかと。だって、映画のタイトルは『マネー・ボール』だもんw
あと、石橋貴明が出て無かったのは良かった。あんな、大根役者は要らない。「恒例の、タカさ~んチェック!」でもやっとけ!って、それは『メジャーリーグ』だっつ~の!w
まぁ、人の人生にとやかく言いたくないから、ブラピは間違ってないと思う。優勝目指して頑張れ!
マネーボール理論を知ることができて良かった
メジャーリーグの裏側を観られて面白かったが、ビーンがレッドソックスに挑戦しなかったのは納得がいかなかった。実話だから仕方ないけれど、この映画から何を学べば良いか曖昧だった。だから何なの?という感じ。
以前アマプラでながら見したのを思い出して再見したが、…
マネーボール理論は夢溢れるマジックなのか、ファンを欺くまやかしのトリックに過ぎなかったのか
作品の冒頭、登場するのは2001年MLBポストシーズンマッチの実際の映像。
最初に大写しになるジョニー・デイモンは当時のオークランド・アスレチックス(長いので以下A's)の中心打者。実は、彼こそが本作の虚実を象徴する重要な人物でもある。
昨年TV放送で観賞して以来、レビューすべきか散々迷ったが(映画ではなく野球の話ばかりになりそうな気がしたから)、本格的に開幕する2025年のシーズンを前にやはり自分なりの考えを残しておきたい。
映画の舞台となったオークランドのMLB球団は今年、56年間慣れ親しんだ現地から姿を消す。
地元ファンからも自治体からも愛想を尽かされ、他地域への撤退を余儀なくされたからである。
作品の主人公ビリー・ビーンが採用した「マネーボール理論」は当時話題になり、打者を評価するOPS(出塁率+長打率)というあらたな指標は、今や日本のプロ野球中継でも当たり前のように用いられるようになった。
バントや盗塁を評価せず、長打に重きを置いた発想は、その後のフライボール革命にも少なからず影響を及ぼしている。
資金力に乏しい球団が如何にして金満球団を相手に頂点を目指すかというサクセスストーリーは当時のオークランドのファンのみならず、多くの野球ファンに支持されたが、四半世紀経った今に至るまでワールドシリーズ(以下WS)制覇という結果に結びついていない。制覇どころか、その間A'sは一度たりともWS出場にすら到達しておらず、リーグ優勝決定戦に勝ち進んだのも2006年の一回きり。
理由は育成して力を付けた若手を高額選手になる前に放出するという戦略を繰り返してきたせいで、チームに地力がつかないから。
マネーボール理論は金を掛けずにチームに栄冠をもたらすという当初の目的から、いつしか安上がりで球団を経営するための口実に成り下がっていくが、さすがにファンも気付き始め、MLB屈指の収容力を誇るオークランドコロシアムはいっそう閑古鳥が鳴く羽目に。資金力の不足と人気の低迷がマネーボール理論の虚像を暴き出した結果が、A'sの現在の着地点といえる。
作品の終盤、ビリーを引き抜こうとしたボストン・レッドソックス(以下BOS)が二年後、WSを制したことが字幕で紹介され、「A'sが挑戦した理論を証明した」と続くが、この時BOSで活躍した主力選手の一人がFA移籍でA'sから加入したデイモン。
作中、能力を疑問視される場面も見られるが、彼は本塁打20本前後、盗塁30近くを期待できるバランスのとれた好選手。ピーターから「点の取り方を分かっていない」と批判されるが、メンタルではなくデータで評価するのなら、点の取り方を分からせるのは使う側の責任であって選手の能力とは関係ない(余談だが、ピーターのデーモンに対する主張は、皮肉にもOPSの指標における問題点を代弁している)。
映画では如何にも長年チームを支えて来た中心選手のように印象付けられるが、デイモンは年俸で揉めて前年の所属球団ロイヤルズから放出されたのをリスク覚悟で拾ってきた選手。FA権を行使して一年で流出することは既定路線だった。
デイモンを獲得したBOSはその後もWS制覇を重ね強豪チームとなるが、実情は高額選手を次々獲得し、「赤いヤンキース」と化している。マネーボール理論の影響はほぼ無関係に思える。
作品中A'sと対称的な球団として扱われるニューヨーク・ヤンキース(以下NYY)は1980年代から90年代初頭にかけて資金力にものを言わせた補強が功を奏さず低迷していたが、その直後「90年代最強チーム」と称されるに至ったのは、コア4(フォー)と呼ばれる生え抜き選手のおかげ。再び補強路線に奔った21世紀に入ってからは、WS出場4度、同優勝1度という黄金期には程遠い状況。資金力とチームの成績が作中で強調されるほど比例していないことを証明している。
A'sと対称的なチームというならヒューストン・アストロズ(以下HOU)こそそう称されるべきだと思うが、本作が公開された2011年ごろはまだ弱小球団。
ナ・リーグからA'sと同じア・リーグ西地区に移動した当初は三年連続100敗を記録するほどの低迷を経験したが、試合実績の数値で選手の能力を査定したA'sと異なり、HOUは選手の身体能力自体をデータ化することで有望選手を発掘し、その後の躍進に成功している。
ホセ・アルトゥーベはHOUの戦略を象徴する代表的な選手。
身長168cmと公表されているが、実際にはもっと低く見えるし、走力はあっても長打は期待できなかった彼をA'sの指標は高く評価しなかっただろう。
しかしMLB昇格後の彼は最多安打4回、首位打者3回、盗塁王2回で通算打率3割超、おまけに右打者に有利な本拠地ミニッツメイド・パーク(昨年まで)の地の利を活かして30本塁打以上も複数回でスラッガー並みの通算OPS8割台(いずれも2024年終了時)と、今ではMLB屈指の名選手に登り詰めている。
映画の最終盤、アルトゥーベとはまったく正反対の、走れないが長打が魅力の体重108kgの巨漢選手が記録ビデオ(使われているのは再現映像)で紹介される。
実際にA'sがドラフトで獲得した選手だが、MLBで結果を残すことができず2008年に引退している。
彼とアルトゥーベの実績の差がA'sとHOUの現在を暗示しているというべきだろう。
それにしても、映画が製作された2011年時点で前述の巨漢選手の結果は分かっていた筈なのに、作品で実名まで出して取り上げる必要があったのだろうか。実際には移籍先のBOSで世界制覇に貢献したデイモンの扱われ方も含め、制作側の意図を勘繰りたくなる。
同じく実在するMLB球団を扱いながら、すべて架空の人物を登場させた『メジャーリーグ』(1989)と異なり、実話を元にした本作は登場人物のほとんどが実名。
選手起用をめぐりGMのビーンと衝突するハウ監督は作中では人間性や指揮能力を疑われる人物として描かれるが、実際の彼は人格者として慕われていた指導者。
GMと起用法をめぐって対立したのは事実だが、そのせいで解任されそうになった際には選手の間から嘆願の声が挙がった程。
映画が製作された約10年前を扱った本作。
ハウ監督を演じたP・S・ホフマンの怪演は称えたいが、登場人物の多くが存命だったことを考えると、もう少し演出への配慮があってもよかったのではと感じてしまう。
選手の補強を相談する編成会議で、古参のスカウト陣を能なし集団のように扱っているのも、あまりにも不遜で失礼。
作品の評価が星1.5なのは、同じくMLBの実話を元にしたデタラメな映画『タイ・カップ』(1995 レビューで星0.5しか点けなかった)よりはましという理由。
作品の解説で「下から数えた方が早いと言われたほどの弱小球団」とこき下ろされたA'sは、NYYに次いでリーグで二番目に多い9度のWS制覇を誇るれっきとした名門チーム。
本拠地移転に伴い、球団の方針が変わりかつての栄光を取り戻せる日は訪れるのか。MLBの球場では例外的に珍しいオークランド名物の鳴り物を使った応援も、移転先に引き継がれるのか心配。
2024年6月17日、NHK-BSにて視聴。
当時「なぜこの時期に?!」と思ったが(オークランドからの撤退は既に発表されていたし、マネーボール理論に基づく戦略の失敗は明らか)、今後放送される機会はあるのだろうか。
職業の実態(意義)を知れる作品
好きです。
(吹替版で視聴)
メジャーリーグにおいて選手が主役だとしても球団スタッフをはじめビリー(主人公)が務めるGMは裏側や裏方とは言えない大事な職業だったり役目だったりします。
裏側じゃなく中身・実態を描いた内容でとても興味深かった。
※実話を元にしてるそうだが実話は知らない
選手の評価を好き勝手語り合うシーンは「こんな感じで商品的な価値換算で選手を選択をしてるんだな~、自分はこうはなりたくない」と思ってしまいました(笑)
人には分岐点がありその選択によって当然未来は変わる。
選択した方より「しなかった方のほうがよかったのでは」と思うことも多々あるはずだ。
でも決断を道を進むしかない。
数々の分岐点を迎えた自分もそんな想いにさせられた。
そして娘の歌、良かった。
勝負の世界
野球のことはわかりませんが、
勝負の世界は厳しいというのはわかりました。
球界初か久しぶりの20連勝達成したにも関わらず、負けが続くとボロクソ❗️
どの世界も結果が全て、ビリーも言っていた。
勝たないと。
だけど、ビリーのやり方で優勝達成可能な
レッドソックスの誘いをなぜ断ったのか⁉️
それも高額契約金の提示を断って⁉️
話変わりますが、MLB現在。
ダ〇〇〇〇さんは、現在○○在籍ですが、
日本人メジャーリーガーが自分と同じ球団に
所属してもらい力を合わせて優勝を
狙いたかったそうです。
だから、大〇〇〇さん山〇〇〇さんが
来てくれることを願っていたそうです。
大〇〇〇さんは、優勝経験したかった。
その為には、確実性のある球団でプレーしたい
気持ちが強かったようです。
この違いかなぁ?と思って観ていました。
現在大変細かくデータを取っているからには
それを活かす方法もありうべきことです。
人間相手ですから微に入り細に入りのデータが
必要となり、その分析もまた人間。
頭脳明晰を駆使して考えていかねばならない
でしょう。
気になったのは、トレードはまだいいとしても
でも、あんな急なのでしょうか、ビックリです。
クビにするシーン、それも唐突に。
どないか雇って貰えないのかと思ってしまいました。
また修正するかも、です。
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