「急成長企業の裏側」ソーシャル・ネットワーク Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
急成長企業の裏側
総合80点 ( ストーリー:80点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
冒頭のザッカーバーグの傲慢で歪んだ性格を表現するための、本人が侮辱とは気が付かないままに行われる畳み掛けるような彼女への連続の侮辱ぶりがあまりにもわざとらしかったので、大袈裟でくだらなそうな作品なのかとも思った。
だが多少大袈裟だったり詰め込んだりしている感はあるものの、わずか数年で急成長したフェイスブックのごとく次々に展開していく早くて止まらない物語に引き込まれた。インターネットを縦横無尽に使いこなし、ハーバードという超名門大学の人的ネットワークを生かしてあっという間に物事を進めていくその疾走感に痺れる。多くの人々が羨む@harvard.eduのメールアドレスに代表される排他性を作品中に時々滲ませる高慢さも、この映画には会社設立と成功のための重要な要素だ。この手のネット系新興企業にありがちな、設立の経緯に関して問題がフェイスブックにも起きていることはなんとなく聞いていたので、それが映画という形で表現されると相当にわかりやすい。もちろん映画の全てが真実ではないのだろうが、こういうことってありそうだよなと現在の若者の起業家の生き様がとても興味深かった。
ただしザッカーバーグが10代のころからつきあっていた彼女で最近結婚した中国系の同窓生プリシラ・チャンのことが出てこなくて、ただの女にもてない偏屈なおたくとして終始描かれていたのは意外だった。これだけ女の話が出てきたのだから、そのあたりはしっかりと取り入れてほしかった。
テレビ地上波の放送で観たのだが、二時間の放送枠ではかなり短縮されているようだ。面白かったのでいつかノーカット版を観てみたい。