劇場公開日 2011年1月15日

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「VAIO?」ソーシャル・ネットワーク あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5VAIO?

2011年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

知的

2010年アメリカ映画。120分。2011年4本目の作品。SNSとしては世界中で約5億人の登録者がいるというFacebookの誕生の物語と人間模様を描いたデビッド・フィンチャー監督の最新作。

内容は;

1,ハーバード大学生のマーク・ザッカーバーグは恋人にふられたのを腹いせに、学内の女子生徒をネット上で比較評価するサイトを一晩で立ち上げ、驚異的なアクセスでサーバーをダウンさせる。
2,彼の名は学内に瞬く間に広がり、SNSでベンチャー企業をしようとする双子の兄弟にチームの一員になることを依頼される。
3、それがきっかけで彼はFacebookというサイトを立ち上げ、順調に拡大していくが。

色々なレビューで登場人物たちに共感できないという意見があるが、もともとこれは天才でしかも血気盛んな年ごろの男子を描いた作品であり、監督はこれまで異端児ばかりを描いてきたフィンチャー監督。だから、本作は観る人の共感を得ようという狙いなど最初からなかったように思う。

本作で描かれていることがどこまで事実なのかは疑う余地があるが(実際ザッカーバーグ本人がそのような主旨の批判をしたらしい)、今や世界最大のSNSの創始者であり20代で億万長者になったザッカーバーグが、本作で描かれているようにFacebookのきっかけが腹いせだったらとても興味深い、というか面白いし、皮肉がきいている。

世にはばかるサクセスストーリーといえばお決まりパターンや美辞麗句で終始する中、本作がまるでそれを鼻で笑うかのように描いている所が、フィンチャー監督らしい。再度書くが、本作は多くの人の価値観や道徳観をさかなでる力があります。

Facebookが広まり、色々な人がザッカーバーグの周りに群がり、分裂し、裁判沙汰になっても結局彼のやりたかったことはただ1つ。麻薬のようにとりつかれているプログラミングに打ち込むことだけ。こんな純朴な人間像こそがアメリカの1つの価値観であり、生きる指針となているような気がする。だから、これはアメリカらしい作品。

ザッカーバーグ役のジェシー・アイゼンバーグがハマリ役。

今までインターネットそのものを題材にした作品はなかったと思う。そして「ソーシャルネットワーク」という壮大な題名にした割には、群像劇にポイントがしぼられていたのが残念な点。

でも、本作がオスカー取るんじゃないかな。
時代を刻む作品だと思いました。

あんゆ~る