「うーん」ヒーローショー えらさんの映画レビュー(感想・評価)
うーん
井筒監督が暴力を美化する作品へのアンチテーゼとして制作したということで、僕は暴力描写が苦手なのですが、ジャルジャルの演技も評判だったので、覚悟を決めて見てみました。結果的に胸に迫るものはあまりなかったです。
まず暴力描写がそこまで大したことない。暴力に対する嫌悪感をあまり植え付けられてないと思うんですよね。その後の顛末含め。いやエグく痛そうにすれば良いってもんじゃないですけど。でも暴力を嫌々加えるあのチャラ男とかの描写は良かったかな。殺人途中でカラオケ誘われたり、小さい石ころ投げつけるところとか。巻き込まれて流れに乗っちゃう弱い人を描けてる感じはしました。あいつを交通事故で殺すのは意味不明ですけど…。勇気側を追い込みたかったということですかね。右翼ラップも意味不明です。監督の思想ってわけじゃないですよね?
前述の通り、最後に勇気は結局また報復を受けるわけです。それまでに恋人とかその子供の描写をしといて、「暴力の結果幸せな生活はできませんよー暴力嫌ですねー」的な?ことをやりたかったのかもしれませんが…。あの顛末を見て確かに暴力は嫌だなあとかやんわりした気持ちは湧きましたけども。あれを割とほのぼのした後半からの最後に持ってきたのも印象は残りますが。なんかやっぱり後半のトーンダウンにげんなりしてから見せられてもって感じしちゃいました。勇気関連でもう1つ。確かにジャルジャル後藤さんの寡黙な演技には味がありました。彼のキャラクターはかっこいい。が、どう見ても最強に見えない…。腕立て100回腹筋1000回(でしたっけ)毎日やってる風には…。喧嘩のシーンももっと強さを見せる演出しても良かったんじゃないですかね。
ユウキを演じた福徳さんですが、彼の空っぽ感は良い感じに出てました。彼絡みのシーンだとやっぱりサラ金のシーンが…。いきなりの自分語りはやり方が雑でタイミングが意味不明ですし、その後のギャグのシーンも見ててキツい。わざとなんでしょうけど。それで歯が取れていきなり発狂して走り出すのとかほぼ理解不能でした。いや知り合いが殺された殺人現場を見て精神が不安定で…とか理屈はわかりますけど。ヲタ設定も取って付けたような感じ。
音楽も何か浮いてる?というか気になるところがいくつかありました。ただピンクレディーのS.O.Sには不気味な余韻がありました。