「6人の女優達による命のリレー」FLOWERS フラワーズ 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
6人の女優達による命のリレー
これは予告編で既に、6人の女優さん達それぞれの年代が明らかにされている。その際蒼井優の出演場面だけがモノクロになっており、彼女からの命のリレーの作品で在るらしいのが解る。
そうなると興味は、誰が誰の子か?となるのだが、それは映画を観て行く内に徐々に明らかになって行くのだが…。
観終わってしまうと「あれれ?」ってところは在る。特に田中麗奈と竹内結子のその後が不明だったり…と。まあ!それはそれ…って感じか。でも田中麗奈の眉毛と、竹内結子の不気味な笑顔はちょっと…って、感じだが(笑)
基本的にこの作品で描かれるのは《昭和の女性》。時代は平成に跨ってはいても、昭和を生きた女性の《日本の母親》としての理想像を考えたと思って良いかと思う。
その昔は10代で親に決められた相手と、婚礼の式当日に顔を合わせて結婚させられる女性が多かった。それが当たり前の時代で、親の決定に逆らう事等有り得ない事だった。
それだけに、彼女の産んだ子供が、昭和の戦後から高度成長期に至る時期、男女の差別に懐疑的な性格の設定を施しているのには納得する。
この女性を演じているのが田中麗奈。おばあちゃんのお葬式の時に、「美人の家系だからなぁ〜」と語る螢雪次郎(←だったと思ったのだが…)が、後に結婚する河○にあたるのだろうか?となると、その傍に居たおばあさんが彼女になるのだろう?この辺りは、まだ映画が始まった始めの内だけに、たった1度観ただけでは理解出来なかった。
おそらく竹○結○にあたる女性も、その場には居たのかも知れない。
蒼井優が親に逆らい走り出す。時代は変わり平成。走っているのは鈴木京香。この時のジャズの音楽には少し腰が砕けた。意図が判らんわ(笑)
高度成長期の時代には明るい曲で、平成大不況の現在だから?それとも彼女の抱えている悩み事を反映して…なのだろうか?
そうこの作品の女性達は、それぞれでそれぞれの恋愛事情に悩んでいる。1番幸せな家庭を築いているのは広末涼子だが、彼女は彼女で母親の愛を知らずに生きて来た女性である。
彼女なりの悩み事をひた隠しにしながら、明るく振る舞って来た女性だ。
今は、お姉さんの子供が逆に父親の愛を知らずに産まれてこようとしている。彼女はその事を気に病んでいる。
鈴木京香は、今人生の帰路に立ち、どうすれば良いのか1人で悩みを抱えていた。
仲間由紀恵は、何不自由無く幸せな結婚生活を送っていた。そんな彼女に魔の手が押し寄せて来る。彼女はその不安を振り切って手紙をしたためる。
この作品で1番存在感が不明な女性が竹内結子だろう。彼女の悩み事は寧ろ1番分かり易い。
分かり易いだけに、その後がはっきりとは描かれてはいないので、やや不満が残る。彼女は彼女で、その後の人生で辛い思いは払拭したのだろうか?…と。
ところでこの作品はロボットが関わっている。それだけに昭和の時代背景に拘っている様ですが、所々に「あれ?どうだったかなぁ〜」と言った箇所が幾つか有った。
確信が持てないので、目くじら立てる程でも無いのかも知れないが…。
何だかんだ言いつつも、CMから発生した企画ながら、巧い事纏めたんじゃないでしょうか。最年少の蒼井優を上に据え、最年長の鈴木京香を下の世代に据える命のリレーのアイデアも悪く無かったと思いますよ。また新たなリレーも繋がった事ですしね。
個人的に1番良かったのが、頑固親父役の塩見三省。終盤での“あのセリフ”は泣けましたね〜。真野響子のお母さん役も凄く良かった。でも…。
ドリカムの歌は要らない。
(2010年6月15日TOHOシネマズ西新井/スクリーン10)