「サクちゃん最高。」オカンの嫁入り ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
サクちゃん最高。
これを観た日は「BECK」も観たので、桐谷健太祭りだった^^;
呉監督の作品は「酒井家のしあわせ」を観てまずまずだった
ので期待していたが、今回もしっかりとツボを押えてきた。
淡々とした笑いでアッサリと描かれていく母娘の話なのだが、
いきなり金髪の男を連れ帰り、このヒトと結婚します!なんて
そりゃ誰でもビックリしますわな~^^;
なんだろう、この母娘が住んでいる長屋?のような住まいが
とてもいい感じ。隣家には大家のサクちゃんが住んでいて、
なにかとこの母娘の世話を焼いている。演じる絵沢萠子の
自然なオバちゃん演技。今作は大竹しのぶと宮崎あおいの
共演が話題視されているが、私にはこのサクちゃんをおいて
この親子は成り立たない。助演賞を差し上げたいくらいだ。
煮物をもって縁側から上がってくる仕草、こたつと一体化し、
チラシ折りから編み物、みかん、グチ説教もすべてこたつで
こなす彼女^^;その存在感は、見事としか言いようがない。
絶対いるいる、このオバハン!と思う要素が揃いすぎている。
雑然とした部屋の散らかり具合も今作の魅力のひとつで、
ヒトが住んでいる、いろんなヒトが出入りする様子が伺える。
久しぶりに人間の匂いがする作品を観られた気がする。
さて、それにしても大竹しのぶ。相変らずキャンキャンと若い^^;
宮崎あおいと母娘というより姉妹のようにやりとりしていても
違和感がない。時に可愛く時に繊細で、後半はほぼ彼女の
表情のみでこちらは泣かされる。白無垢の演技は必見だ(汗)
ここでふと思ったのが、やはり女性監督。女性を決して綺麗に
撮ろうとしていない。年齢による皺もたるみもすべてさらして、
なお且つ満面の笑みで「しあわせよ♪」と言い放つ母の真意。
そこを理解したとたんに、あぁそうだったのか…とまた感動。
なにを於いても娘のこれからを想う母の祈りが、自身が例と
なって彼女に懸命に訴えているわけだ。幸せになるのよ!と。
はじめ、娘が抱えるトラウマを描く必要があるのかと思った。
なんであんなシーンを入れるんだろうと不思議だった。
人間はどんな不幸やトラウマを経てもまた、やり直せること、
歳に関係なく恋愛をして幸せになれるんだってこと、だから
アンタも前を向いて頑張って生きていきなさいという願いだ。
弱冠ぎこちなく聞こえた彼女らの関西弁が、巧く伝わらない
ものを懸命に伝えようとする努力に繋がり、かえって好感触。
いつも煩い?(爆)役の多い桐谷くんが今回はやや抑え目に^^;
いいヒト~を演じているのも好感触。(彼はいつもそうか?)
苦労してんのにヘラヘラ笑う、そこが好きだとオカンは言う。
確かにオカンもヘラヘラと明るい。そういう明るさでどれほど
周りの人間が癒されていることだろう…。明るい親は最高だ。
いつもは巧い演技をする宮崎あおいが完全に食われた感じ。
でも考えればそれはいい意味で、彼女が不完全な娘を演じた
にすぎないのかも。良い人間に囲まれて、彼女ほど周囲に
支えられて成長できる娘もいないだろうな。幸せになってね。
あ、オカンとケンちゃんもね。ついでにサクちゃんも…^^;
(日曜劇場とかで観たいタイプの作品。お茶の間はいいねぇv)