「☆☆☆★★ ※ 鑑賞直後のメモから 冒頭のクレーン撮影が魅力的。格...」オカンの嫁入り 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★ ※ 鑑賞直後のメモから 冒頭のクレーン撮影が魅力的。格...
☆☆☆★★
※ 鑑賞直後のメモから
冒頭のクレーン撮影が魅力的。格子戸を通って散歩に行く場面は。まるで溝口健二の『浪華悲歌』や、『祇園の姉妹』『祇園囃子』の舞台の様だなあ〜と感慨に浸る。
すると、画面にいきなり溝口健二の『雨月物語』が映った時は本当に驚いた。
やはり意識的な演出だったのだろうか?でも舞台は、溝口が得意にし描いていた京都祇園界隈ではなく大阪。(詳しい位置関係は、都内在住なので分からない)
突然母親が若い男と「結婚する!」と宣言し周囲が慌てる。
終始不機嫌な顔で画面に現れる宮崎あおい。映画の中の殆どでそんな顔をする。
宮崎ますみと言えば、笑顔の可愛さが持ち味なのだが。映画の中ではそれを最後まで封印し、終盤で一気に表情が変わる。その違いを演じさせるのが演出上の狙いでもあったと思う。
母親役の大竹しのぶと宮崎あおい。
この母親にしてこの娘あり…とゆう。似てない様に見えながらも、やはりその血は争えない関係。
面白かったのは、この母娘の2人を取り巻く人達。
大竹しのぶと結婚する若い男には桐谷健太。
大家さん役の絵沢萌子。
それに、以前大竹しのぶにプロポーズしながらも振られた経験を持つ。整形外科の医師の國村隼。
この3人を加えたアンサンブルがとても良かった。
この母娘共に問題を抱えていながらも、暗くなる訳でもなしに、お互いがお互いをきっちりと見守っている。その関係が実に好ましい。
題材的には暗くなりがちなのをカラッと処理しているからこそ、観ていても救われる。
ところでこのラストは?…ひょっとして《或る意味》とんでもない程の大どんでん返しだったの、かも知れない…と、観終わって暫くしてから思えて来た。
どうだったのだろう?人によっては様々な解釈が出来る秀逸なラストだったのではなかろうか。
世評は「2時間ドラマで充分…」との言われ方をしている様ですが。確かにその様な意見も分からないでは無いが、この作品の本当の面白さは、このラストシーンにこそあるのでは?
考えれば考える程に、数多くの解釈が可能なスリリングさがある。
あの朝、父親の写真は果たしてあったっけ?
もっと注意深く見るべきだったと後悔している。
因みに、酒井家の母親の友近が友情出演しています。
2010年9月4日 TOHOシネマズ西新井/スクリーン8