川の底からこんにちはのレビュー・感想・評価
全51件中、41~51件目を表示
主人公に満島ひかりでは、美人過ぎて「中の下」には見えなかったです。その他多いに異議ありの内容。
ぴあフィルムフェスティバルの優秀作からの作品ですが、他のレビューアーたちが絶賛しているほどの良さを感じられませんでした。
一介のOLが故郷に戻って、シジミ工場を立て直すという話です。愛すべき主人公が、父親の病気により、田舎に帰って父の経営する「しじみのパック詰め工場」の工場長に。漁師町のたくましいオバチャンたちに囲まれながら、あきらめ続けていた彼女に予想外の変化が起こるというもの。その立て直す過程があり得ないことなのです。
パッケージを変えたことで突如シジミがバカ売れ出す、なんてあり得ることでしょうか。加えて経営面でも、自分が駆け落ちしたことのある女であることを赤裸々に従業員にぶちまけるだけで、それまで澱んでいた職場が活性化するなんて、皆さんの職場で考えられるでしょうか。恐らくは、シナリオを考えた石井監督の社会体験の欠乏が、実際の仕事の現場感覚とのズレを起こしているものと考えられます。
自らシジミ工場でバイトしてみるとか、ドラッカーの経営の本を研究して、従業員のマネジメントについて極意を学んでみるとか、もう一段社会の実情に即した設定を考えて欲しかったです。
それにしても、本作の主人公佐和子の人生観が凄いのです。グーダラで妥協の日々を送っているだけならいいのですが、さらに口癖のように、自分のことを「中の下」だと言い、はなから、いろいろなことをあきらめて生きていたのです。まぁ、そのあきらめが妙に潔く、身の丈を知った行動の数々は地に足がついていて、清々しくさえも映るように、監督は、主人公に満島ひかりという美女を起用して、佐和子の人生観がそも成立するかのような演出に持って行っています。
そんな考えの佐和子に従業員も共鳴して、仕事に精を出した結果、倒産しかかった工場も立ち直るという、マイナス思考で全てがハッピーになれるという何とも倒錯した信条で展開された作品なのです。
監督にいわせれば、「本気で人と向かいあえば心が通じ合うものだ」といいたいがための、マイナス思考なのでしょう。しかしその本気とされているものが、劇中の木村水産社歌にあるような「金持ちひとりもいない」とか、「いざとなりゃ政府をぶっつぶす」という富めるものへの嫉妬心から、歪んだコンプレックスを忍ばせているのなら、それでは絶対に人の心は、通うわけないと思うのです。
集団の中で、人は皆プラスになる方向を求めています。リーターに対して、常に明るい未来に向けて打開する展望を求めているわけですね。そんなところへ、佐和子みたいな、もともと不幸なんだから、居直って頑張ろうよといわれても、そんな経営者では不安だからと言って、即刻従業員たちは辞めていくことでしょう。
もう一つだめ出しをすれば、予定調和にならない展開したいがために、不自然な設定が目立つことです。満島の起用自体も、佐和子の自虐キャラにはミスマッチです。どこが「中の下」なんでしょう。また恋人の健一がせっかく佐和子の故郷まで、追いかけてきていながら、職場の同僚の女の誘惑にはまって駆け落ちしてしまうのも不自然過ぎます。
さらに、佐和子の故郷の松江のおばさんたちは、過去に駆け落ちした人間を、人間失格者として村八分にしてしまうのです。でも、いくら地方都市のおばさんでも、駆け落ちしたぐらいで「人でなし」扱いをするほど、いまどき封建的な考えの人はいないでしょう。だから、駆け落ちした過去をバレないようにと、怯える佐和子の演技も違和感を感じてしまいました。
それでも、「愛のむきだし」などの映画で一躍、注目を集めた満島ひかりの演技力は、本作でも本領発揮しています。「わたし中の下の女ですから。大した女じゃないですから。でもみんなそうなんですよ!駆け落ちしましたよ。青春だったんですよ!」と従業員に開き直るところのキレた演技の凄いこと!瞬発力あふれる演技がのって、グッと心をつかまれました。
満島ひかりでは、美人過ぎるのですが、反面彼女の演技力に救われている作品だと思います。
生きる意味?なにそれおいしいの?
中の下ですから
渋谷のユーロスペースとかハイカラな映画インテリみたいな人がいく映画館で上映されているらしいですね。
おじさんは、180度違ったレトロな館 川越スカラ座にて、近所の酒屋さんで売っている地ビール、コエドビール生を持参で鑑賞
思ったより大勢の人が来ていました。
映画評論にもあるように、監督、確かにう●こに対する執拗な執着があるようで、ちょっと幼児チックな感じがします。
ちょっと展開が急なところはありました
ストーリーはとても面白くできています
ぐーたら連れ子野郎は本当に駄目なやつだし、
佐和子も中の下ですし
エロ話も下品限界ぎりぎりセーフだし
最後の開き直りの象徴のような新しい社歌?は最高でした
評価は中の下にしておきますね
大した人間じゃないんだから
いま、日本映画界でノリに乗っている若手といったら、この石井裕也監督ではなかろうか。新人監督の登竜門「ぴあフィルムフェスティバル」にて「剥き出しにっぽん」でグランプリを受賞した彼が、そのスカラシップで撮りあげた痛快人生賛歌。主演はこれまたノリに乗っている満島ひかり。
鑑賞後、これは上質なコントのような映画だなと思った。人生ってシリアスになろうとも、どうしてもコントのようにおかしくなってしまい、噴き出すのを我慢できないことがある。そういうことを、この映画はヤっている。田舎特有の“あからさまさ” が、度を通り越して爽快。劇中に出てくる社歌の替え歌も、おかしくて最高。
「私なんて所詮、中の下ですから」が口癖の無気力なOL佐和子。彼女の人生に対しての期待の低さ、自分自身への期待の低さ、これはとても現代特有なものだと思う。私は監督と同世代なのだが、我々80年代に生まれたジェネレーションを形容するのに、”嫌消費”世代という言葉があるらしい。マーケティング用語らしいが、これはすごく的を得ている気がする。主人公は、欲しがらないのである。バブル世代のように、いい車、いい家と、富や名声を尽くして何かを欲するという傾向があまりない。だけど、私は佐和子の決断が好きである。「大した人間じゃないから頑張る」と言うと自分を卑下してるかのように聞こえるが、実際、我々のほとんどが大した人間じゃないのである。そこをきちんと自認して佐和子は強くなる。
巷じゃ「ナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別なオンリーワン」とかいう歌詞の歌が人々を励ましているようだが、「努力しなくても大丈夫というような誤解を与えるんじゃないか」「そういう甘えどうなの?」と私は時々思う。そんなナンバーワンだかオンリーワンだかを、真っ向から否定してくれる、佐和子のみすぼらしさと脆さにグっときた。
主人公の魅力
脱力系かと思いきや…がんばる姿に感動しました。
予備知識なしでポスターの見た目の感じから
(岩松了)さん出てるせいもあってなんだけど
勝手にユルいコメディかとナメてました。
ちゃんとしたドラマといい、笑いにいたる脚本も面白く、
(というか意味のある笑いで決してくだらなくない品質)
キャスティングの隙のなさもよく出来てて、
いやはやまいりました〜。
主人公の(満島ひかり)ちゃん。
応援せずにいられない輝きがあってとても可愛いです♪
仕事にも男運にもあまり恵まれない彼女の口癖。
「しょうがないですよね」「あ、ハイ、すみません」
「所詮、中の下ですから」「がんばるしかないでしょ」
この何とも脱力感満載のようでいて、突然キレてみたり
肝の座った一面で熱い闘志を見せてみたり。
実家の家業「しじみ」業を盛り返す為に作った社歌。
前半、彼女に冷たくしてた社員のおばちゃんたちも
一緒に鬼気迫る合唱がサイコーでした(笑)
ラストなんて人情味溢れる泣き笑いありでかなり良かった。
見終わって、あー元気もらった〜って感じ。
都内はユーロスペースの独占なんで平日でも大混雑ですが
たくさんの人に見て欲しいと思える作品でした♪
笑いのツボが・・・
こんにちは(いま5月3日6:48頃です)
連休の前半、渋谷ユーロスペースで見ました。
11:30からの開演だったので、10分前には着いたのですが、
もう会場はいっぱい。150席のうち、僕の切符は133番。
もうすこしで入れずという状態でした。
連休ということもあるのでしょうが、人気があるのですね。
なにが人気かといえば、僕の場合、満島ひかりだったのですが、
彼女が出ているのは間違いないだろうという確信かな?
それで「川の底からこんにちは」。
ストーリーも、面白いといえば面白い。
それぞれの役者さんたちも、
熱演してるといえば熱演してるだけど・・・
ただ、映像はといえば、ハリウッド映画主体に見てるひとには、
やっぱり、落ちると感じましたね。
映像が落ちるってことはわかっているのに、
劇場に足を運ぶというのは、
日本映画には、なんというか、ハリウッドにない何か、
切実なるストーリーというか、胸に迫ってくるものを
(それは決してシリアスというだけではない)
求めているんじゃないかと思います。
だけど、そういうものがなかったというのが率直な意見。
なんか、笑いのツボが外れているといった感じ。
これは僕だけかな?
大笑いでも、苦笑でもいいから笑わせてほしかったのですが、
ピンとくるものがなかった。
感情移入できなかったのです。
満島ひかりも「愛のむきだし」の時のような鮮烈がなかった。
まあ、あれほどのものはなかなか出てこないでしょうが・・・。
でも、僕は待っていますよ。
日本のアーティストが飛ばしてくれるのを、ね。
川の底からこんにちは
川の底からこんにちは
ユーロスペース・・不思議な小空間。
会員でも私は、たまたまチェックして面白そうな映画があると出かけて行って、そこそこ満足して帰途に就く。トータルでプラスが私のここで見た映画達の総評。
今回は新聞で志の輔さんの映画試写評を見たのがきっかけで少しだけ期待して出かけて行った。初日封切りとあって満員。意表を突かれたというか、「え?そんなにメジャーだったの?」というのが正直な印象。そのくらいニュートラルな気持ちで見ました。
ただ映画のポスターの白装束の方々の鬼気迫る表情から、「蟹工船」、「キューポラのある街」、「どぶ川学級」、「橋のない川」等々のエッセンスを期待した部分も正直あります。
映画の印象は、トータル++!。笑いの感覚や壷は人それぞれ、演出の仕方の合う合わないもその時の見る側の感情次第。アングラ映画館(失礼)での皮切りであれば、見手のボランティア的な寄付行為的な覚悟を持ってマイナス点は相殺してもいいかな。
日本映画は所詮、商業映画ではハリウッドには太刀打ちできるわけないし、といってドイツやイタリアの低予算の重苦しい映画よりは全然いいと思います。
私にとっては保育園でのシーン、佐和子が言った「お前も所詮普通の子なんだから(違ってたらすいません)、頑張るしかないんだから!」に深くうなづいた加代子ちゃんに思わずじーんときてしまい、それだけで1700円の価値はある映画でした。
最後に監督、出演者の方々の舞台挨拶にたまたま来た私にはサプライズプレゼントでしたが、演者の方々のコメントから石井組の雰囲気が伝わってきて、とても元気を頂けました。満島ひかりさんはとれもきれいな方で、中の下であるわけがなく、その一点が現実と映画のギャップを感じましたが、彼女には資本主義的商業映画ではなくこういった映画で演じていって欲しいというのが勝手な感想です。
全51件中、41~51件目を表示





