「メガネをかけて眠くなる…。のび太の気持ちがわかる気がした」トロン:レガシー 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
メガネをかけて眠くなる…。のび太の気持ちがわかる気がした
『マトリックス』や『サマーウォーズ』etc.バーチャルリアリティを面白く受け止める才能がゼロの落ちこぼれ文系の私にゃ〜、コンピューター競争の理論はチンプンカンプンのハズであり、メガネを掛けたまま眠ってしまった…。
のび太の気持ちが何となくわかった。
そもそも予習・復習用に前作のDVDを観たものの、コンピューター社会のシステム構造が全く理解できず、20分足らずで挫折。
その時点で、理系に不向きな己のオツムを自覚し、他作品を観るべきだったのだ。
…にも関わらず、謎の相棒・クオラをミステリアスに演じたオリヴィア・ワイルドの神秘的な色気に導かれて、ヨシャあいいのに、ノコノコ出陣したもんだから、案の定、一瞬で玉砕する憂き目となった。
全体の感想は
「ピシッと締まる全身スーツを着こなすワイルド嬢の輝かしいプロポーションが、もっとボ〜〜ンと飛び出ればいいのに!」
ってぇぐらいだから自分でも呆れる。
パソコンの前に座り、数式に格闘する現実の人間と、プログラムの中で追っ手から逃れ、プランに侵入しようとする電子の世界で擬人化されたバトルを繰り広げるという2次元と3次元とのギャップについていけず、嫌悪感を抱いた前回同様、世界の創造者である父親同士の対立構造が、もうわからない。
『ドラゴンボール』におけるピッコロと神様みたいな関係だろうか?
今作では、人間自体が数式化されプログラム内にて生き残りを賭けたサバイバルに挑むアクションに重点が置かれているので、前作で苦手とさせた高度なコンピューター理論が飛び交う展開は和らぎ、だいぶ観やすくはなっている。
バイクレースや格闘バトルetc.迫力満点のアクションシーンを、TVゲーム感覚で接すれば楽しめるかなと切り替えようと試みたが、複雑化した親子の距離感や独裁軍事政権の成り立ちや宗教論etc.の難題な主題のニュアンスが濃密に畳み掛けて、結局、断念するハメとなる…。
オリジナルの1980年代では技術と物語が伴わなかったのに対し、
『アバター』の大ヒットを機に、3Dが浸透し技術が進歩した現在は、逆に物語の吸引力に劣化を実感してしまう。
映画史の流れを皮肉るには露骨過ぎて笑えない。
相変わらず偉そうな口を叩くメガネから、ポロリと涙が流れた。
嘆きではなくアクビの涙やけどね。
では最後に短歌を一首
『迷宮の 光を繋ぐ 脳の網 神の輪握る 未来の絆』
by全竜