アンストッパブル(2010)のレビュー・感想・評価
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サラリーマンなレビュー
映画は暴走する列車の話だが、映画自体は暴走していない。
むしろ時間どおりに必要なことを時間内に収めている。
カメラは特にすごく計算されている。そこがある意味、暴走気味。
本作は、ダメ社員がうっかりミスをしてしまい、その直後の対応がいいかげんすぎたため、ことが大きくなり、会社をあげて対応に乗り出すが、上手くいかず、近くにいたリストラ間際の親父とやっすい兄さんが対応にあたる、というおはなし。
愛社精神なのか、正義感なのか、死んだ知り合いのためなのか、オヤジたちの奮闘が、とにかく社内でケリをつけようとしているふうにも見えて、意外と感動的。
素晴らしいね。
ゴミみたいな社員のケツを持たされることほど、サラリーマンにとって腹が立つことは無い。
とくにデブ。たしかにデブ。職場に飛び移れないようではおしまいである。
本作なかなか巧妙で、舞台が列車なだけに進路を妨害するものが無いんで、車中いくらでも場違いなジョークや身の上話もできる。
考えたな、トニー。
でもあまりにも「レールに沿ったまっすぐな」映画なので、ちゃちゃが入らない分、そうはいってもやっぱり緊張感は削がれる。
しかし一方ハナから緊張感ある映画など撮ろうとしていなかったのでは?という思いもあるにはある。
デンゼルの娘がフーターズ勤務という設定は面白かった。
トニー・スコットの列車映画
映画は列車を描き続けてきた。初期の映画は、運動を再現できるというモーションピクチャーの特異さを示すために運動する媒体を欲したわけだが、当時もっとも大きく速い運動する機械だったのが列車だった。以来、列車は映画を彩り続けてきた。トニー・スコットの最後の作品である本作は、そんな列車の運動性能を最大限に活かした作品だ。
何しろ、無人で走り出してしまった暴走列車が相手だ。そんな列車は手が付けられない。その運動能力が街を脅威に陥れ、二人の男が命がけで列車の停止を試みる。無人の列車という、人間ではない相手であるのが本作の面白さだ。人間のミスから生まれた事故だが、その運動性能は人間の手に負えるものではなくなってしまう。それを二人の男が身体を張って止めるというのが熱い。常に走り続ける列車を映すので、画面も常に躍動感があり、原初の映画の感動がほとばしっている。デンゼル・ワシントンが列車を屋根づたいに渡っていくシーンのスリルがすごい。バスターキートンの「大列車追跡」を思い出す。あれも時折列車が無人で走り出してしまうシーンがあった。
【79.0】アンストッパブル 映画レビュー
映画『アンストッパブル』(2010)批評
作品の完成度
トニー・スコット監督によるアクション・スリラーの傑作。実話を基にした題材を、監督独自のスタイルで極限まで高めた完成度。2010年代におけるハリウッドの職人芸を体現した作品と言える。単純な暴走列車事故の顛末を描くのではなく、その裏側にある人間のドラマ、特にベテランと若手、それぞれのプロフェッショナリズムと葛藤を巧みに織り交ぜている。高速で展開する映像と編集は、観客の心拍数を絶え間なく高め、作品全体の緊迫感を維持。脚本はシンプルながらも無駄がなく、登場人物の背景を最小限の情報で効果的に描写。アクション映画としての爽快感、サスペンスとしての緊張感、そして人間ドラマとしての深さ、これら三要素が絶妙なバランスで融合。商業映画としての娯楽性と、作り手の作家性が高次元で両立しており、ジャンル映画の教科書とも言うべき完成度。特に、クライマックスに至るまでの見事な段取りは、観客を飽きさせることがない。
監督・演出・編集
トニー・スコット監督の集大成とも称される、まさに「トニー・スコット印」の演出。手持ちカメラによる揺れ動く映像、めまぐるしいカット割り、そして粒子の粗い独特のルックは、作品にドキュメンタリーのような臨場感と切迫感を与える。CGに頼らず、実際の列車を時速100キロ以上で走行させて撮影したというリアリティへのこだわり。特に、走行する列車とヘリコプター、そして地上からの視点を多角的に切り替えながら、刻一刻と状況が悪化する様子を立体的に描写。編集は、目まぐるしいカットの連続で、観客は息つく暇もない。しかし、単に速いだけでなく、列車の速度や危険度が増していく過程を、音響効果と合わせて体感させるようなリズムを生み出している。この独特のスタイルは、観客を物語の中へと深く引き込み、追体験させる効果を生み出した。
キャスティング・役者の演技
フランク・バーンズ(デンゼル・ワシントン)
ベテラン機関士フランク・バーンズを演じるデンゼル・ワシントンの円熟した演技は、作品の骨格を成す。定年間近のベテランとしての疲労感と、プロとしての責任感、そして家族を思う愛情深さを、抑制の効いた演技で表現。無謀とも思える暴走列車への追走を決断するまでの葛藤と、決断後の静かな覚悟は、彼の眼差しやわずかな表情の変化だけで雄弁に物語られる。特に、若手であるウィルとの間に生まれる師弟関係のような絆を、言葉ではなく行動で示していく姿は説得力に富む。彼の存在感自体が、この極限状況をリアルに感じさせる説得力となっている。単なるアクションヒーローではなく、人間味あふれる等身大の人物像を深く掘り下げた演技の賜物。
ウィル・コルソン(クリス・パイン)
新人機関士ウィル・コルソンを演じるクリス・パインは、デンゼル・ワシントンという大ベテランを相手に堂々たる存在感を発揮。当初は無責任な若者として描かれ、フランクから軽んじられる役回りながら、次第にプロフェッショナルな自覚に目覚めていく成長を鮮やかに演じきる。フランクとの衝突、そして和解を経て、危険な任務に立ち向かう彼の内面の変化が、観客の共感を呼ぶ。特に、離婚問題や養育費といった個人的な悩みを抱えながらも、目の前の任務に真摯に向き合う姿は、彼の人物像に深みを与えている。肉体的にも精神的にも追い詰められていく様をリアルに演じ、観客は彼とともにスリルを味わう。
コニー・フーパー(ロザリオ・ドーソン)
運行管理者コニー・フーパーを演じるロザリオ・ドーソンは、現場の混乱と本社からの圧力に挟まれながらも、冷静沈着に事態を収拾しようと奮闘する姿を好演。女性管理者という立場から、暴走する列車を止めようとするフランクとウィルの無謀な行動を阻止しつつも、彼らの安否を誰よりも案じる複雑な感情を表現。冷静な判断力と、人としての優しさを兼ね備えたキャラクターは、緊迫した物語の中で観客が頼れる存在となる。彼女の的確な指示と、時折見せる人間的な弱さが、物語にリアリティをもたらす重要な役割。
脚本・ストーリー
実在の事件「CSX8888号暴走事故」をモチーフにした脚本。シンプルかつ明快なストーリーは、観客を飽きさせない。危険な暴走列車を止めるという一本の筋を軸に、登場人物たちのドラマを効果的に挿入。定年間近のベテランと家庭問題に苦しむ新人のバディという設定は、陳腐ながらも安定した人間ドラマを生み出す。特に、事件の裏側で繰り広げられる企業側の思惑や、メディアの無責任な報道といった社会的背景もさりげなく盛り込み、物語に奥行きを与えている。結末は予測可能ながらも、そこに至るまでの過程の緊張感とカタルシスは非常に高い。登場人物の行動原理が明確であり、感情移入しやすい脚本。
映像・美術衣装
映画全体を覆う、冷たく乾いたトーンの映像美。撮影監督ベン・セレシンによる、粗く粒子の立った映像は、作品のドキュメンタリー的な雰囲気を強調。実際に存在する鉄道車両や線路を大規模に使い、本物の迫力を追求。機関車や貨物車両の圧倒的な存在感、そして線路沿いに広がるアメリカの広大な風景が、物語に雄大なスケール感を与える。美術は、機関車の内部、管制室、そして現場の風景を徹底的に作り込み、リアリティを追求。衣装は、機関士や運行管理者のユニフォームが中心であり、それぞれの役割を明確にしている。
音楽
ハリー・グレッグソン=ウィリアムズによる音楽は、作品の緊迫感を高める重要な要素。シンプルながらも力強いリズムと、徐々に高まっていくメロディは、暴走する列車の速度や危険度を巧みに表現。特に、電子音とオーケストラの融合は、テクノロジーと人間の対決というテーマを音楽でも表現。主題歌は存在しない。
受賞歴
本作は、アカデミー賞や主要な映画祭での受賞・ノミネート歴はない。しかし、優れたアクション映画としての評価は高く、各映画批評サイトや観客からのレビューでは高い評価を獲得。特に、全米批評家協会賞のトップ10映画の一つに選出されるなど、批評家からも一定の評価を得ている。
作品 Unstoppable
監督 トニー・スコット 110.5×0.715 79.0
編集
主演 デンゼル・ワシントンB8×2
助演 クリス・パイン B8×2
脚本・ストーリー マーク・ボンバック B+7.5
撮影・映像 ベン・セレシン S10
美術・衣装 クリス・シーガーズ B8
音楽 ハリー・グレッグソン=ウィリアムズB8
『CSX8888号暴走事故』
監督は『トップガン』のトニー・スコット。
主演デンゼル・ワシントン、
2001年、オハイオ州で発生した、通称"クレイジー・エイツ(Crazy Eights)"列車事故をモデルにした作品。
【ストーリー】
ペンシルバニア州。
アレゲニー・アンド・ウェストバージニア鉄道フラー操車場。
無人のハイパワーディーゼル機関車・777号車が、貨車を牽引したまま、コントロール不能の状態で走行してしまった。
コンソールの操作ミスでレバーはフルスロットル、777号車は最大加速状態。
列車にはディーゼル機関燃料が満載され、さらに貨物として、大量の化学物質・溶融フェノールが積みこまれていた。
路線は都市部で大きなカーブがあり、そこは住宅や学校の密集地になっている。
州警察による通行規制、そして脱線器による強制停止作戦の失敗で、777号車はリアルタイムにマスコミの耳目を集めてしまう。
パニックにおちいる鉄道会社と事故対策本部。
衝突する会社上層部と現場監督。
そこに、旧式ディーゼル機関車1206号車を駆り777号車を追う、ベテラン機関士と新米車掌から、通信が入る。
「俺たちが後ろから貨車に連結して、あいつを止める」
実在の事故をもとにした、トニー・スコット監督の佳作パニックアクション。
デンゼル・ワシントンとのコンビで鉄道っていうと『サブウェイ123激突』を思いだす方もいるはず。
展開は早くてわかりやすく、ストーリーも一直線で、画面の迫力もドカンと重量感たっぷりにド派手。
キャラクターのつくり方や演出は、わかりやすさ重視のトニー・スコットスタイル。
画面の中でだれかが発言すると、ちょびっとアップになるの、お兄ちゃんのリドリー・スコットの『GIジェーン』思いだしますね。
発砲すると、一瞬画面がちょびっとアップになってもどるやつ。
どっちもマンガの集中線っぽいなって。
ディーゼル機関車で暴走列車を追いかける二人、機関士はぼくらハゲのかがやける兄貴弐号機、デンゼル・ワシントン。
今回はおなかの出た、解雇通知をうけとったばかりのロートル機関士。
そして二人の娘さんは今はなきお色気ダイナー、フーターズ勤務。
もう一人の車掌には『エージェント・ライアン』のクリス・バイン。
アメリカ作品でよくある、機能不全家庭になやむ旦那さん役。
両者とも現場のブルーカラーを好演してます。
さて、このクレイジー・エイツ暴走事故、鉄道事故としては、大惨事を回避できた数少ない事例。
『ハドソン川の奇跡』を思いだす人もいるかも。
Wikipediaをのぞいたら、英語版には細部までびっしり説明してくれててすごく便利。
でも日本語版は、英語版の翻訳にくわえ、この映画との関連項目も充実しててさらに便利。
日テレの『世界一受けたい授業』に、実際の機関士さんを呼んで、講師してもらってたみたいです。
やばいなー見たかったなーそれ。
描写としては、上層部からのコスト削減要求による安全軽視、からの事故発生。
『ディープウォーター・ホライズン』とおなじ構造ですね。
実際の事故の方では、車両そのもののレバー配置やこまかなフェイルセーフの不備による、エンジニアリング問題も指摘されてます。
どうにかこうにか惨事にいたらずにすみましたけど、
「こんな事例はめずらしくない」
じゃなくて
「こんな安全意識の低さで、今なお事故は起きてるんだ」
っていう方に、経営者ふくめ、鉄道関連会社は考えを改めてほしいです。
ええ本当に。
素人がえらそうに言いましたけど、現場からは以上です。
ハッピーエンドをこころ待ち!
はっきりいってストーリー展開は完全に観る前から予想できた映画。でも、それでいいんです!!!
我々は、困難に立ち向かうヒーローをがすきなんです!立ち向かう姿を見て、心離れている家族が一緒になる人間ドラマがすきなんです!凸凹コンビが最後は、心が通いあう友情がすきなんです!そして、ハッピーエンドを待ち望んでるんです!笑
実写の凄さ、見せてもらいました。リアルさを追求したが故の大迫力、醍醐味はすばらしい!やりすぎなくらいの音響効果により緊張感というスパイスを追加され、視覚と聴覚が引き付けられっぱなしです。暴走列車が馬車や貨物をぶっ飛ばすシーンやスタントンの急カーブを列車が傾きながらも通りきるシーンなんか、大興奮!
トニー・スコット監督とデンゼル・ワシントンのコンビは通算5作品目。それほど相性が良いのでしょうか?もちろん、デンゼル・ワシントンの渋さが至るところで目立ってました。その中に、若いクリス・パインとの駆け引きも大変面白く、見所ですね。
ただ、列車を停めるシーンが意外にあっさりだったと思ったのは私だけ?新米ウィルのことだから、「停め方が分からん~」ってひと騒ぎ有り、何かにぶつかるギリギリでストップなんて予想していたんですが、考えすぎでした~!
映画自体は、実際に2001年オハイオ州で発生した貨物列車暴走事故をもとに制作されたというのは驚きです。小さなミスが大きな事故にを思い知らされますねぇ。人間だから慣れ、怠りはしょうがないですが、些細な気の緩みがとんでもないことになってしまうという教訓になりました。(といっても、このミスはひどすぎ)
実話らしい🤔
暴走する貨物列車
ハイスピードで通過する貨物列車の迫力が凄い。
勤続28年のベテラン機関士をデンゼル・ワシントンが、新米車掌をクリス・バインが演じる。
暴走貨物列車の報告を受けた操車場長コニー( ロザリオ・ドーソン )か冷静に対処する姿がカッコいい。
「 力行 」( りっこう )・「 惰行 」などの専門用語も興味深い。
日々の事故のない運行は、鉄道関係者の皆さんの実直な作業が行われているからこそ。改めてその重要さを痛感した。
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕)
ヒューマンエラーの末路
頑張るおじさんたち‼️❓
スピード感満点
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超長い貨物列車がゆっくり走行中、運転手が電車から降りる。
手動で切り替えポイントを変更しようとしたのだった。
ところが振動で(?)アクセルがかかって高速走行になってしまう。
有害物質が貨物の中にあり、町では避難勧告が出された。
今のスピードでは曲がりきれないカーブがあったのだった。
電鉄会社はわざと脱線させようとするが失敗してしまう。
運転手デンゼルは偶然近くにいて、この列車を追跡する。
そして追いついて接続し、逆向きに引っ張ってブレーキをかける。
それでもうまく行かず、相棒と共に色々と工夫する。
最後は並走する車に乗り移り、運転席へ入ってブレーキをかける。
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スリルがあっておもしろかった。
アメリカの映画にはつきものやが、家族の話って必要?って思った。
単なる運転手と車掌に過ぎないのに、ニュースで顔つきで紹介される。
本人の承諾も無しにそんな個人情報がニュースで流れるか?ってのと、
それを見た別居中の妻が連絡をくれて復縁するとかいらんくない?(場)
デンゼルの演技は相変わらず存在感があった。
仕事に誇りを持ったベテラン運転手にしか見えなかった。
とっさの判断と決意の行動
暴走系
シンプルの極致
危険物を搭載した暴走列車を止める。それだけ。スピード感溢れる映像と俳優陣の力演で押し切る。実に潔い、そして面白い!
やっぱりデンゼル・ワシントンなんですよね。普通のベテラン機関士を違和感無く演じてる、説得力のある見事な演技です。あと、どなたかのレビューにも書いてありましたが、列車内の主演2人の映し方が印象的。ベテランのデンゼル・ワシントンは大半が後ろを振り返っており、ルーキーのクリス・パインは前を向いている。同じレールの上で積み重ねてきたキャリアを振り返るフランクとこれからの未来を見据えるウィル。何だか隠れた裏テーマがある気がしましたね。
でもまぁ、そんなことはさておいて、画面から溢れるスピード感と緊張感に身を委ねてトニー・スコットの遺作を堪能するのが正解かも知れません。オススメです。
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