劇場公開日 2010年7月17日

「映画の続き、アリエッティたちの新しい冒険と生活を見たい!」借りぐらしのアリエッティ aotokageさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映画の続き、アリエッティたちの新しい冒険と生活を見たい!

2010年7月22日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

幸せ

原作は1950年代のイギリスが舞台。それを2010年の日本に置き換えてる。
モデルとなったのは、ジブリのある小金井市らしい。
武蔵野の雑木林が残り、アニメに出て来る庭が木々で鬱蒼とした古い屋敷もたしかにある。
貞子おばさんが乗るのは、20年くらい前のベンツ。裕福だけど、贅沢はしない生活ぶりが伝わってくる。

原作が書かれたのは、まだ戦争の記憶も残る頃で、未来少年コナンのように、行き過ぎた文明へのアンチテーゼも込められていたようだ。
原作では、アリエッティたちは、防空壕のようなイメージの床下の家で耐久生活をしている。
アニメでは、それが西洋風のおしゃれな住まいとなり、人間の世界から借りたもので美しく装飾され、電線も借用して電気もある文明生活を送っている。

14歳になったアリエッティは、父とはじめて人間の住む家の中へ向かう。
父が作ったり、前の世代から受け継がれてきた仕掛けを通っていくが、壁に釘を打ち付けただけの通路は、一歩足を踏み外せば、ネズミたちのウヨウヨいる奈落の底に落ちてしまうなど、彼らの生活に必要なもの、砂糖とか紙などを人間の世界に借り(狩り)に行くのも、インディージョーンズばりの命がけの大冒険。

外出するときの髪を小さな洗濯バサミでとめたアリエッティもかわいいが、床下の家の中で髪を下ろしてくつろぐ彼女も美しい。

ただ、惜しむらくは、アリエッティと人間の少年翔との交流が浅いこと。
ポニョと宗介のような異人間の恋物語を期待してたのだが、翔のアリエッティに対する思いは、小人への好奇心だったり、手術を前にした療養生活の暇つぶしくらいにしか思えなかった。(生死が不安定な翔だから、人間には見られることのなかった小人のアリエッティが見えてしまったのか)

なお、米林宏昌監督は、滅びゆく小人族が仲間を探すというナウシカ的物語も考えていたようですが、宮崎駿監督から、今の時代に失われつつある人と人とのふれ合いを描くようにと言われたそうで、こういう話になったのは、米林監督のせいではありません。
アリエッティの物語は、40年前に宮崎駿監督と高畑勲氏が企画して、日の目を見なかった作品らしい。
ハイジや赤毛のアンを生んだ世界名作劇場でアニメ化されていた可能性もあった。
アリエッティは、ナウシカやラピュタの系列ではなく、ハイジやアンの流れで見るべき作品だと思う。
映画の続き見たいな…。

aotokage