劇場公開日 2010年7月17日

「借り?狩り?」借りぐらしのアリエッティ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0借り?狩り?

2019年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

 カマドウマとかダンゴムシとか、やっぱり『風の谷のナウシカ』へのオマージュなんだろうな。探せば色んな宮崎アニメへのオマージュがありそうな気がする。

 それにしても、ずっと気になるのが借りぐらし一族というか、仲間がどこかにいなければおかしい世界観。それも一軒家には一家族というルールがあるのだろうか。ネズミ、カラスといった天敵の存在も興味深い。と、思っていたら、スピラーという小人の少年が登場。これが風貌も性格も『未来少年コナン』のジムシィ似。 住み込み女中のハルの声を担当しているのが樹木希林。これがまた実に彼女の雰囲気にそっくりで、動きも似せてあるものだから、途中からは樹木希林にしか見えてこなくなる。そのハルが小人を捕獲しようと躍起になってることからストーリーは佳境に入るが、この緊張感があまり長く続かず、静かに別れのエンディングを迎えてしまう。

 絶滅種や絶滅危惧種に対する問題提起(?)もテーマになっているような気もするが、それに対する人間たちの心理が見えてこないのが残念。結局のところ、翔の大叔母の父から4代に渡って小人との出会いを夢見る、どちらかというと変わった生き物に出会えた喜びだけで生きていたような家族。ドールハウスなんかも凝ってはいるが、下手するとドールフェチのようなものに陥りそうなDNAを受け継いでいる家系なのだ。翔が心臓病のか弱い少年じゃなければ、吾妻ひでおの世界に入ってしまいそう・・・

kossy