オーケストラ!のレビュー・感想・評価
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なにこの涙は!
ラスト10数分の感動っていうか、なんかこうぐわっとくる感情はなに?
泣いちゃうのだけど・・・なにこれ!
ストーリーは知っていたので前半~中盤ですでに泣いてしまう(ラストへの仕込みだから)。
指揮棒のアップでさらに泣いた。
というか全てで泣いてしまったw
笑って泣いてスカッとしたい!人にお勧めできると思う。
観終わった後に残るこの感情、上手く説明できないのが悔やまれる・・
※のだめとは何から何まで違います。
BD買おっかなー
いや~泣けました。途中から既にラストを想像しながら泣いてました。
最後の演奏シーンも何度も見返し泣きました。
冒頭では、なんとなく「ん?やっちゃったかな!?」と
思ったりもしましたが、すぐに惹きこまれていき途中途中の
ちょこちょこと各演奏者の凄腕を匂わせる場面がクライマックスを期待させます。
チャイコフスキーの協奏曲と言うのも良かった一因かもしれません。
一度、生で聴きたくなりました。
ここ最近では、これはかなり印象に残ったとおもいます。
レンタルDVDでしたがブルーレイでもう一度観てみたいかな^^
ラストに向かう終盤の構成が秀逸
良い映画でした。
序盤は、かなりテキトーな作り。
おいおい、さすがにそれは無いだろう、的な。コメディタッチ。
色々な市井の人々を寄せ集め、個性的な職業の方々が登場。
数名はその個性も描かれている。
しかし、その方々がどれくらいの演奏能力を持つのかをもう少し掘り下げればラストの演奏に納得がいったかも。
中盤から、ちょこっと謎めいた家族の絆をスパイスにして味付け。
ヒロインが登場してくるあたりから映画はうまく回転し始める。
やっぱり女優さんがきれいだと回転がよいのは否定しない。
ラストのコンサートシーンは圧巻。
演奏のハザマにカットインされる映像も見事で、指揮者とソリストの台詞の無いアイコンタクトによる心のキャッチボールは、素晴らしいシーンだった。
音楽は言葉よりも時に雄弁であることを教えてくれる。
また、終わり方も良かった。
グダグダと後日談的な映像はカットインで済ませて、バシッと良いところでエンディングロール。
終わりが良いと良い映画に見えてしまうのは、全国共通。
序盤が惜しまれる。
確信のもとに、集え!!
フランス人監督、ラデュ・ミヘイレアニュ監督が、ロシアのベテラン俳優、アレクセイ・グシコク、「イングロリアス・バスターズ」のメラニー・ロランを迎えて描く、音楽を心から愛する者のためのクラシック映画。
「音楽がもつ、力」その一点への確信のみから動き出した映画のようにも思えてくる。撮影を重ねる中で突発的に生まれるアイディアを臨機応援に積み重ね、物語をかき回していくような自由な、そして予定調和の安定感を敢えて弾き飛ばす勢いが物語の中に充満している。
本作の軸となってもおかしくない主人公、アンドレイとヴァイオリンの美人ソリストとの間係も、思いつきで付け加えてみましたがいかがでしょうか?と言わんばかりの薄い味付け。だが、観客はその暴走とアドリブを笑顔で許してしまう。なぜか?
あくまでも、この作品は「自発的な音楽」が一本の図太い軸として屹立しており、その裏にある人間ドラマや、駆け引きは副産物に過ぎない。この唖然とさせる潔さ、作品への強い自信を観客は求めているからに他ならない。その点では、他の追随を許さない野生味溢れる「音楽映画」として存在感を打ち出している。
もっと広げていけば、ドラマ一本のテーマになりそうな家族の相関図も随所に垣間見えてくるのに、敢えてそちらには視点を向けていかない。「そっちはいいから、とにかく音楽、音楽!!」これは、作り手の音楽への情熱がもたらす誘導であり、道化である。だからこそ、観客は何も深い観察や疑念を抱く事無く演奏にのめりこんでいける。
何せ楽団員に求められるのは「寄せ集められた感じ」である。演者として嬉々として参加していきたい作品ではない。それでも、演奏する人間は心底音楽と向き合い、この作品を愉しもうとする幸福な表情を見せる。作り手が演者を選ぶ場面に立ち会いたかった。きっと作り手は笑顔で、幸せ一杯に演者に向かって叫んだのだろう。
「さあ、音楽がこの作品を支えている。貴方も音楽だ。この作品を奏でる音符だ。素晴らしい音楽のために、確信を持って、集え!!」
雑な途中はなんなんだ
すべてはラスト、感動の演奏シーンに集約されています。
FAXの横取り、寄せ集めの楽器、しかも逃亡しちゃう団員たち・・・
途中の創りはあまりにも雑なのは、
すべてここに向かうための仕込みに過ぎません。
演奏中に明かされるオチよかったです。
音楽好きなら絶対見るべき!
音楽好きじゃなくてもぜひご覧あれ!
スタンディングオベーションしたかったよ~~~
“『THIS IS IT』をおさえ、
パリでオープニングNo.1を記録!“
劇場配布チラシの最大の惹句はこちら。
面白い作品なんだろうなと期待しつつも
ハードルは、あえて上げず上映開始を待ちました。
☆彡 ☆彡
いやぁ、終盤から
エンディング、ボロ泣きですわ
次の作品に向かう道中も目、真っ赤だったと思いますよ(恥)
予告編から
『のだめカンタービレ』っぽいのかな、
わざわざ上映時期ぶつけなくてもいいのに。
それとも相乗効果を狙ったのか?!
なんてことを考えていました。
ところがどっこい、
『のだめ』とはまったく違う作りに
思い込みって怖いねぇ、と序盤にて猛省してしまいました。
◇ ◇
今作もモデルになったかたがいらっしゃいます。
また、ラデュ・ミヘイレアニュ監督御自身もルーマニアの
チャウシェスク政権の共産主義時代に屈辱的な体験をしたことがあり、
そのあたりも、今作を製作するにあたって、ベースになったそうです。
このように書くと
暗い作品なのかと
想像されるかもしれませんが、
ザッと流れを表してみると、、、
・序盤:コメディ
・中盤:コメディ+隠された事実
・終盤:隠された事実を明かす+オーケストラ演奏会
肌にあわない笑いもありましたが、
基本、中盤までは、予告編冒頭で
流れていたコミカルタッチな内容になっています。
その中でもチラチラと共産主義時代の
苦労には触れられるのですが、現在の
彼らの生きるパワーにかき消されてしまっています。
ただ、このチラチラが
終盤へ向けてボディーブローのように効いてくるのです。
“音楽モノ”
基本、エンディングは演奏が来ますので、
余程、とんでもないことをしでかさないかぎり
演奏シーンは5点満点では足りないくらい感動します。
調べたわけではないので記憶違いがあるかもしれませんが、
私の当サイトでの音楽モノのレビューは4点以上しかないはずです。
古くは、フジテレビドラマ『それが答えだ!』
最新は、フジテレビ映画『のだめカンタービレ 最終章』
そのいずれもでラストは涙を流し拍手をしています。
では、今作はどうだったのか。
“音楽モノ”に絡めた
前ふり&秘めごと、完璧です!
ラスト、パリでの演奏シーン。
気づくと右指で太ももをトントンとリズミカルに叩いている。
そしてこれまた気づくと、曲の盛り上がりに連れて、
涙が両目からあふれだし、止まらなくなる。
そして演奏終了。
もちろん作品内の観衆はスタンディングオベーション。
わたしも、邪魔にならない程度に、小さく座席で拍手をしてしまいました。
☆彡 ☆彡
序盤の笑いが肌にあわなかったときは
どないなることかと思いましたが、いつも通り、
ラストにお釣りが出るほどの、感動を頂いてしまいました。
別の作品で
“ラスト30分だけ観たい”と書いたことがありますが、
今作は、最初から観ないと、感動の大きさが小さくなってしまいますのであしからず(苦笑)
素晴らしい演奏と、素晴らしい感動を、ありがとうございました(笑顔)
フランス映画だね
予告観て借りたんだけど、内容が想像どうりの展開で少し残念でした〜(+0+)ぁゎぁゎ〜
フランス映画によくあるコミカルな部分もあって楽しかったけど… オーケストラ団員を召集するの適当だしリハーサル も適当〜で絶対ありえないって思っちゃうから 評価はイマイチかな⤵
でも最後の演奏は 素敵!!で 何故か 内容じゃない事思い出して少し泣いちゃいました(涙)
音楽の力は凄いよね
とっても素敵なエンディング
作品全体の雰囲気が素敵。クラシック音楽を題材としたフランス映画ってだけでも、素敵な空気がイメージできるかと。
最後のパリのシャトレ座での演奏は圧巻。
そこまでのドタバタはすべてエンディングのための前置きでしかなかったのではと思う。
割と地味なストーリーが淡々と続くんだけど、それもすべて最後の感動のための序章だと思って、フランス映画の素敵な雰囲気を味わいつつ、流してほしい。
その分素敵なエンディングが待っているのは保証!
ひさびさの涙を流した気がする。
関西では梅田のスカイビルの映画館でしか公開してなかったから、
ああ、ミニシアターなのね。地味かも。あんま期待せんとこ〜。
っと思って観に行きましたが、
これが意外とよかった。
「寄せ集めオーケストラが巻き起こしたある奇跡の物語。」
なんて聞いてしまうと、いかにもよくあるサクセスストーリー、
何度も観たような大逆転ハッピーエンド、かと思ってしまいますが、
実はそうではありません。
これがまず良かった点ひとつめ。
そして、現在と過去をからめながらのオーケストラの演奏シーン。
ここは凄かったです。まさに圧巻。
このラスト10分のバイオリン協奏曲のためにこの映画を作ったのか、
という感じ。演出がほんと上手い!!!
もうなんだか良く分かんない涙が出ました。
ここがむちゃくちゃ良かった点ふたつめ。
そしてそして、
ソリストの女の子がむっちゃ美人!!
これがさらにむちゃくちゃ良かった点みっつめ。
とにかくオススメです。
私は、映画で泣くのって多いほうなんだけど、
こういう類の感動が一番好き。
悲しいんでもなく、嬉しいんでもなく、
良いものに対する感動があふれて出てくるような映画が好き。
まあ、ミニシアターってのもあって、
万人受けとまでは言えません。
やっぱ派手なシーンはラストの演奏ぐらいだし。
そいうことで★4つ。
爆発どかーん!ポップコーンもしゃもしゃ!
っていう映画が見たい人には、タイタンをお勧めします。
ラストですべてが分かる名作。「砂の器」を思い出した。
観たのはだいぶ前だが、日本映画で酷評を書いてしまったので、絶賛したい作品もレビューすることにした。
初めはものすごいドタバタ劇。そんなわけないだろう!と団員達の無法ぶりに腹をかかえて笑いながら、ラストの演奏会のシーンに。
ヨーロッパの重い過去と登場人物たちの感情、オーケストラの名演が交錯する。
このあたりは日本映画の「砂の器」のよう。
最近の日本映画は殺人を絡めないとテーマが作れないのかと思うような中身のない作品が多いが、エンターテインメント性もありながら、考えさせられるテーマを盛り込んだ、このような作品を見習ってほしい。
しっかりしたテーマ、訴えたいことがある映画は、どんなに崩しても、作品として成立すると言う見本のような作品。
個性豊かな楽団員たちが最高!
かつて、ボリショイ交響楽団の天才指揮者として活躍していたアンドレイ。
しかし、ブレジネフ政権時代の圧制のために指揮者の地位を追われ、
以後は劇場の清掃員としてもんもんとした日々を送っていた。
清掃中に偶然、パリからの公演依頼のFAXを見つけたアンドレイは、
同じく楽団を追われ、冴えない日々を送っているかつての仲間を訪ね歩き楽団を再結成。
一同でパリに向かうが…
とにかく楽しい作品です!!!
笑えて、考えさせられて、ラストには泣けました。
アンドレイが集めてくる、かつての仲間たちがもう最高♪
クラシックとはいえそこはミュージシャン。
空港でパスポートの偽造はするわ、
パリについてギャラもらったとたん、蜘蛛の子を散らすよに街に消え去り、
飲んだくれてリハにも来やしない、、、
かと思えば、いかにもユダヤ系(ウディ・アレンそっくり^^;;)なおっさんは
息子と一緒に本番にチコクするまで商売してるし。。。
みんな、社会性なさすぎーーーーっっっ!!
でも、そんなうさんくさーーーい団員たちも
演奏をはじめたらまるで別人。
中でも、いかにもヤバそうなロマのバイオリニストの演奏に
メラニー・ロラン演じる天才バイオリニストの顔色が「おっ??」と変わります。
そしてそんなドタバタ道中の中で、
そうなった政治的・思想的な背景が、
それぞれの立場で描き出されます。
マネージャーの、パリの共産党“同志”への憧れと
その夢が亡霊と化していたと気づくところとか、、、
すっきり楽しく万人受けするであろう作品なのに、
ベタな感傷に陥らず、不思議にヌケ感のいい気持ちいい作品でした♪
ラスト20分は感動的!、しかしロシア人とは付き合いたくなくなるねー
クラシックを題材にした映画は、音楽の好き嫌いにかかわらず、観客には好評を博するものが多い。この作品も、地味な映画にしては、わりに観客を多く集めている作品だ。しかし、言われているような感動作かというと、少々疑問も残る。
今はパリの劇場の掃除婦として働いている、元はボリショイ管弦楽団の指揮者だった男が、夢をもう一度とばかりに、昔の仲間をかき集めてふたたびステージに上ろうとする、ドリームズ・カム・トゥルーがこの映画の物語だ。その舞台にたつときに、昔の仲間だった娘である若手バイオリニストを招く過程が、観客の心にグッとくるものがある。
この作品であらためて知ることとなったのは、ソ連時代に吹き荒れた、ユダヤ人排斥の波だ。これで多くの芸術家が他国へ亡命したり、シベリアで命を失っていたかは知ってはいたことなのだが、有名人ばかりでなく、実際に多くの人たちが職を失うなどの苦しみを味わってきたのかがこの作品に描かれていて、少しショックをおぼえた。だからこそ、死んでしまった名音楽家の娘と共演を果たす最後の20分ほどの演出は、胸をうつものとなっている。
しかし、その感動が薄くなってしまうのは、昔の仲間たちのチャランポランさ。つまりロシア人たちのいい加減さだ。これもまた、監督が演出したがったものだったに違いないし、この作品のもうひとつの核の部分なのだが、私はまったく共感できないものだった。正直、そこの演出は強烈すぎたと思う。これが事実であり、本当にこんな連中ばかりならロシア人とは付き合いたくもない、というのが観終わつたあとの感想として残った。もう少し、演出のバランスを大事にしていれば、素直な感動作になっていたと思う。
クラシックが聴きたくなる。
最後の15分のチャイコフスキーを聴くだけでも価値がある。
確かにその通り!
途中、コミカルな団員に笑えたりもしますが、
最後は感動です!
泣いてしまいました。
観終わった後に、クラシックのコンサートに行きたくなる。
そのコンサートがもしチャイコフスキーならきっと映画を思い出してうるっときてしまうかも。
そんな作品。
リアルな世界と最高のラスト
遅くなりましたが、GWに観賞しました!
まず、悪い点から。
ストーリー展開が速いなっ。と思ったら、
仲間をあつめてパリへ行ってからが長い…とゆうか
そこらへんは見てて疲れちゃいました。
映画で飽きるってことはわたし、あまりないんですけどね。
フランス独特の世界観は慣れないみたいです。
でもでも!
次は最高に良い点。
後半にいくにつれ、何だかみんなの様子が怪しげになってきます…
そして、最後の最後に明かされる、このオーケストラの本当の真実と嘘!
この、最後の何十分かのためにこの映画があるんだ!って思うくらい感動させられます!素敵でした
音楽映画がすきなひとにはぜひ見てほしいです。
すばらしいっ
チャイコフスキーとユダヤ人って…
ロシアの名門交響楽団で清掃係をする男アンドレイは、パリのシャトレ座からの公演依頼を手にしたことで、ある計画を思いつく。
彼は30年前この楽団を追われた名指揮者であり、昔の楽団員を集めて、パリで公演するべく、奔走しはじめる。
元共産党員、ユダヤ人、ロマ人(昔のジプシー)など癖のあるメンバーの中で、アンドレイはなぜかソリストとして、29歳の若くて美しいフランスの売れっ子バイオリニストを指名する…。
ロシアを舞台にした喜劇。ソ連時代を小ばかにし、フランスに憧れる今のロシア人をうまく描いている。自ら商売をし、不遇の夫アンドレイを支えて、パリに送り出す妻のたくましさもいい。
ただ、終盤の展開が安易だったのと、あれ!?と肩すかしを食ったところもあったので、私としては、少し残念でした。
チャイコフスキーとユダヤ人って、何か歴史的因縁でもあるのか?、それともこの映画の中だけか、音楽に詳しくないのでそこはよくわからなかった。
ラストの12分で演奏される運命のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が、凄く心にしこんで、ホロリとさせられました。
“のだめ”に感激した皆さん、愉快でホロリとさせるオーケストラのお話しがパリにもう一つあったのです!
本作は、フランスで名作『コーラス』に匹敵するくらいの大ヒットを飛ばした作品です。一応コメディにはなっていますが、後半に明かされる主人公の指揮者が背負ってきた過去の重さはなかなかシリアス。だから、余計にラストの12分で演奏される運命のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が、凄く心にしこんで、ホロリとさせられました。この部分だけで、聞いたとしても、本作の醍醐味が味わえることでしょう。
現在の演奏シーンと、過去の経緯をつなぐカットバックの仕方が巧みで、コンパクトにネタバレをまとめながら、エンディングに持って行った演出手腕もなかなかのものだと思います。
冒頭からして、ギミックに満ちた始まりでした。モーツアルトのピアノ協奏曲第21番の第2楽章の練習風景から入ります。これが凄い名演奏なんですね。天にも昇る心地です。私服で指揮を執っているアンドレ。でも次の瞬間、彼は指揮台でなく、2階の観覧席の侵入して、勝手に指揮をするフリをしていたのでした。昔天才指揮者として名声を馳せたアンドレでしたが、この30年間というものの彼が指揮台に立ち続けたモスクワのボリショイ劇場のそうじ係に成り果てていたのです。
なんでアンドレがそうなったのか、明かされていくというのが伏線としてのお話しです。
しかし、アンドレは指揮者としての夢を諦めていませんでした。パリのシャトレ劇場から届いたサンフランシスコ交響楽団の代演依頼のFAXを盗んで、かつての楽壇の仲間たちを集めて偽ボリショイ交響楽団をシャトレ劇場に送り込もうと企んだのです。
コメディータッチで「あり得ないだろう!!」というエピソードの連続ではあります。 本当にバレないでパリ公演を開催出来るか、全員のパスポートや楽器はどうするのか、予告を見た段階から気になっていました。でも、きちんとした伏線があられており、なるほどそれならアリかも思わせてくれる展開で満足しました。
例えば、自分を追い落とした張本人の共産党幹部を交渉役に立てて、シャトレ劇場に信用させたり、アンドレの妻が持ってきたマフィアの結婚式の仕事から渡航費用のスポンサーを見つけたり。そして、昔の仲間たちも探し出したら、みんな30年間ブランクがありつつも、かなりのポテンシャルを持った演奏技術をキープしていたのです。
天才指揮者の復活を書けた大ばくちとしてのパリ公演。序盤はそんな話に見えました。しかし、アンドレにはメンバーにも内緒にしていたもう一つの目的があったのです。そしてシャトレ劇場の演目に選んだチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」には、アンドレにとって、30年前のある事件の因縁があったのです。
30年前にアンドレは、ブレジネフのユダヤ人楽団員追放に反抗したため、当時の楽団員と共に追放されてしまいました。しかも、絶頂期の海外公演の時に。その時の演目が、この曲だったのです。
この弾圧は、その公演で組んでいたソロバイオリニストも巻き込んでしまいます。捕まった彼女は、アンドレに生まれたばかりの一子を託し、その後死ぬまで収容所生活を余儀なくされてしまいました。それ以来アンドレは、ずっと彼女のことを見殺しにしてしまったことを悔やみ続けていたのです。
せめてもの償いとして、いつかもう一度「ヴァイオリン協奏曲」の指揮をして彼女にの無念に報いたいとアンドレは、思い描いてきたのでした。そう彼女の残された娘をソロバイオリニストに立てて・・・。
そんなアンドレが時折大切そうに、空き箱から取り出すのは、ひとりの女流バイオリニストの写真や記事、そしてCDの数々でした。その名前は、アンヌ=マリー・ジャケ。トップクラスの女流バイオリニストでして名声を確立していました。そのアンヌを当日のソリストとしてアンドレは指名しました。これにはシャトレ劇場も大喜び。実際に、伝説の指揮者アンドレとアンヌのカップリングは、チケットも完売となるほどの大きな話題となったのです。
しかしアンヌのマネージャーのギレーヌは、アンドレの共演を当初拒み続けたのでした。なにやら訳ありです。アンヌもチャイコフスキーを弾かないことにしている自分を巨匠がどうして選んだのか、その理由を迫ります。
アンドレは、アンヌにこの公演は、自分にとって『告白』なんだという謎めいた言葉を残します。そして、30年前に起きたこの曲の因縁を打ち明けて、アンヌに当時のソリストのような理性を超絶した演奏を要求したのです。でも、そんな演奏は無理と、アンヌは出演をドタキャンしてしまいます。
落ち込むアンドレを打開すべく、仲間の楽団員は、単身アンヌの事務所に乗り込んで、こう断言しました。出演したら、君の本当の両親が分かるよと。
アンヌがドタキャンしたくなった一因にもう一つ、リハーサルが出来なかったこともありました。
楽団員の多くはユダヤ人で、彼らは商売熱心。「パリに行く」ということにそれぞれの思惑があって、本気で演奏を成功させようと思っている人間は少なかったのです。本番ギリギリまで、姿も現しませんでした。
当然リハなしではじまった本番は、『書道ガールズ』もびっくりのバラッバラ!アンドレが観念したその時、天から舞い降りるかのように、アンヌの独演が始まり、付け焼き刃の楽壇にとんでもない「奇跡」を呼び込むのでした。
演奏中アンドレイとアンヌがアイコンタクトで意志を通わせていきます。それはまるで30前に起きた本作の背景を全て告白しているかのようでした。
本作は、「究極のハーモニーとは何か」がテーマになっています。社会からスポイルされて、一度は自信も未来も失っていた楽団員たちが、もう一度価値のある人間になろうとします。全員が自分自身の「究極のハーモニー」を見つけ出すために、たとえ一瞬でも、演奏を通じて、まだ夢を見る力があるんだと頑張ります。それが繋がって、奇跡を起こすハーモニーになっていくところが感動的なんですね。
指揮者のアンドレイが劇中でこう語ります。「オーケストラは世界だ!」本当に、そこにはあらゆる人生が潜んでいました。音楽ってすごいし、ミューズの美の女神の微笑みを感じます。
追伸
物語の伏線として描かれているブレジネフによるユダヤ人知識人への弾圧政策の元で、実際にボリショイ劇場のユダヤ人と庇ったロシア人楽団員の多数が映画のように職を失ったそうです。本作を書き下ろした監督は、楽団を解雇されて苦渋の人生を味わった人たちを励ます意味で、本作の脚本を描いたそうです。
全66件中、41~60件目を表示