「主人公?!サムの物語、ここにきてどんでん返しか?!」トランスフォーマー ダークサイド・ムーン 中野祐治さんの映画レビュー(感想・評価)
主人公?!サムの物語、ここにきてどんでん返しか?!
サムの物語がさらに大人の領域へと踏み込んでいく一作!
前作で数奇な運命を背負い、オプティマスの信頼を得たサム
しかし今作では「世界を救った青年」が、日常の中では“ただの若者”として扱われ、自分の居場所を見失うところから物語が始まる。
このギャップがとてもリアル。
英雄と呼ばれても就職はうまくいかないし、社会の中で評価されない。サムが抱える“自分は役に立てるのか”という問いは、誰しもが経験する不安や劣等感に近いものだ。そんな迷いの中でも、彼は再び戦いに身を投じることになる。
今回の見どころは、サムとオプティマス・プライムの信頼関係がさらに試されるところだ。人類とオートボットの間で揺れる立場の中、サムは「自分にしかできない役割」を必死に模索する。力ではなく“信じ抜く勇気”で戦う姿は、巨大なロボットの戦闘以上に心を動かす。
また、オプティマス自身もリーダーとして苦悩し、仲間を信じ、時に裏切られる姿が描かれる。彼とサムが互いに支え合うように信頼を築いていく過程は、この映画の人間ドラマの核心部分だ。単なるロボット映画にとどまらず、「信頼とは何か」「自分の存在意義はどこにあるのか」を観客に問いかけてくる。
サブキャラかもしれないが、ディセプティコンに肩入れするディランの悪役からも目が離せない。カーリーとの関係がどう影響してくるのかそんな目線でも楽しめる作品だ。
ド派手なアクションはもちろん健在だが、それを支えるのはサムの等身大の葛藤と成長。
英雄でありながら居場所を探す青年の姿は、社会で役割を模索する私たちに重なる。アクションが苦手な人にこそ、「自分は何者か」と考えるきっかけを与えてくれる一作だ。