トゥルー・グリットのレビュー・感想・評価
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All for Hailee
ヘイリーのあどけなさが残る頬と対照的な目力の強さと台詞の切れ味が序盤から炸裂する。大人と駆引きをし、名優共を脇に追いやる存在感。しかし、話のバランス的に突出しすぎているように思える。男達の生き様や背景描写が少し浅く、動機に引き込ませる推進力が薄い。俳優陣の演技が悪いわけでもなく、映像も音楽も良いのだが、どうも淡々と話が進む。これは大人物になる少女の話かと思いきや、それを感じさせないラスト。ここまでの役者を使ったのであれば、1シーンであっても存在だけで黙らせるような女優を起用して欲しかった所。
妙に凝った西部劇は苦手
見覚えあると思ったらジョン・ウェインの名作「勇気ある追跡(1969)」のリメイクだった、原作は同名のチャールズ・ポーティスの68年のベストセラー本、学校の教材にもなったようでコーエン兄弟ににしてみればリメイクと言うより原作に惹かれたようだ。
1880年代の南部の様子など知る由もないが黒澤の時代劇を観ているような殺漠さ荒涼さに似て映るのは不思議だ。
助っ人の老保安官(ジェフ・ブリッジス)の娘想いの行動は見えるが表情やセリフでは心が描けていないように見えたのは残念、むしろ敵の首領が娘の勇気を買ってくれたのは意外だった。マット・デイモンにはいいとこ無しかと気が揉めたがちょっとだが見せ場があってほっとした。
リアリティ志向かも知れないが公開縛り首や切断された指のアップ、毒蛇に食われた死体、愛馬の安楽死、腕を亡くした主人公と無慈悲な描写の数々、健気な娘の敵討ち物語で溜飲がさがるといったベタな映画にはするもんかとのコーエン兄弟の意気込みがほとばしる。
もはや好き嫌いの世界だが妙に凝った西部劇は苦手なのかもしれない。
にぎやかな旅
いやー、いいなぁ。西部劇ってなんでこんなにしみじみ良いんだろう。
アメリカの時代劇みたいなもんだから、
日本でいえば忠臣蔵みたいなもんだろうか。
いちばん印象的だったのは、なんと言っても「シンプル」なこと。
テクノロジーで複雑化した現代とは違って、
「生きること」が本当に生々しくって、だから力強く感じるんだろうか。
原作・過去作との違いは考察ブログとか読んではじめて知ったけど、
見た限りではコーエン版の本作が一番いいと感じられる。
主人公サイドのコグバーンもマティも完璧じゃなくって、
悪役まで過剰に悪役じゃないというか。
そういうリアルな機微みたいなものの塩梅がちょうどよく、
すっと腑に落ちるけどしっかり心に残るものがあるっていう。
ラストの「私も彼とにぎやかな旅をしたの」ってシーン、本当に良かった。
ロジャー・ディーキンスの撮影が美しい
これは何故か定期的に観たくなるんだよね。今回は1年ぶりぐらいに観た。
派手なアクションはない。ただただアメリカのだだっ広い荒野をあてもなく彷徨う。町は汚く、男も汚く、何日も風呂に入ってなく汗臭そう、昼間っからアルコールの匂いがぷんぷんと漂ってきそうな感じ?それに対比するように描かれる、アメリカの大自然が美しい。これでしょ。西部劇はこうでなくちゃ。ロジャー・ディーキンスの撮影が本当に美しい。
そしてジェフ・ブリッジスがカッコいいんだわ。これこそおっさんのロールモデル。
コグバーンみたく、いざというときに自分の身を捨てて、行動できるヤツを本当に尊敬すべきなんだぜ。
自分の身は極めて安全である、日本の中流階級の一般人が、「挨拶をちゃんとする」とか、「優しい」とか、「毎日規則正しい生活をしてる」とか、「定職についてる」とか、「結婚してる」とか、「年収XXX万円」とか、「友達がXXX人いる」とか、「良いねがXXX個ついた」とか、そんなもん尊敬とは全っ然関係ねぇからな!笑。俺はそんなヤツ一切尊敬しねぇ!
本物の勇気を持った女性の誕生
コーエン兄弟の西部劇
全てには代償が伴う
まとまりのあるきれいな作品
まとまりのあるきれいな作品、という感じ。下品でちょいグロもあるわけだが、本質は純粋そのもの。プラス、展開はシンプルなので素直に楽しめる内容。
いいシーンはいくつかあるが、食べ物投げて的当てを微妙に長くダラダラやっているところなんかは、アホらしくていい。
でもやっぱりラスト前、馬が倒れるまで走るシーンは残酷でありながらとてもきれい。
優しい大人たち
西部劇ならこれを刮目して見よ!
映画が本来あるべきエンターテインメント的な作品。
テンポが良くてとても観やすかった。
少女の頭のキレの良さが観ていて気持ちよかった。
時間も110分と、適度に短くて良かった。
西部劇はあまり観ないけど、これは観ていて面白かった。
スティーブンスピルバーグが監督をしているというのにも頷ける。
映画が本来あるべきエンターテインメント的な作品。
2011/03/16 @機内
優れたビジュアルと控えめな演出
コーエン兄弟とポスターのビジュアルから前々から見たかった
西部劇はあまたあるがかなりリアリティがあり、控えめな演出の作品
大概のアクション作品は序盤でタフガイが悪漢を叩きのめして、
その腕前を披露するが、本作では口頭でその腕前を語られるのみ
実際の腕前は中盤以降まで披露されない
全体的に直接な描写は避け
想像の余白を残し、視聴した者に委ねている
そのため人を選ぶ作品だろう
テンプレートに乗っからない作品づくりは好感を覚えるが
ど派手なガンアクションを期待していた身としては少々残念
しかしながら、キャラクターに血が通った素晴らしい作品である。
主人公たちは当然ながら悪漢、サブキャラクターに至るまで
ビジュアルと内面において作りこまれ
皆よいキャラクターである。
全体的に画面が地味で爽快感はないが
ゆったり鑑賞するには良い作品。
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