「西部劇のエッセンスがたっぷり」トゥルー・グリット マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
西部劇のエッセンスがたっぷり
久しぶりに西部劇らしい西部劇を観た。
父親の仇討ちというオーソドックスなストーリーに、ウデはたつが曲者のガンマンとならず者一味。大自然を背景にした追跡劇と、横やりを入れる新たな人物という具合に西部劇のエッセンスがたっぷりと注ぎ込まれている。
足りないとしたら、胸を締め上げるようなドレスを着たヒロインだけだ。ところが代わりに登場するのは14歳の少女。だが、それこそがこの映画がひと味もふた味も観客を魅了することになる。
芯が強く頭もいい少女だが、仇を追って荒野を旅するのは至難のことだ。長い旅の果て、心身ともに成長していくが、同時にふたりの男の人生観をも変えていく。人物描写にたっぷり時間を割き、人間ドラマとして充分な魅力を放つ。
それでいながら、馬で疾走しながらの撃ち合いや、遠距離からの狙撃など見せ場を用意して西部劇の醍醐味を提供することを忘れていない。
少女を演じたヘイリー・スタインフェルドは、顔立ちから賢さが滲み出ており、大人との駆け引きでは一歩も引けをとらない精一杯の強気とその裏に潜む不安な気持ちを見事な演技で表現した。
惜しむらくは、ジェフ・ブリッジス。アカデミー主演男優賞を獲得した「クレイジー・ハート」で酒に溺れたダメ男を演じてしまっているのだ。この作品での演技も素晴らしいのだが新鮮味に欠けた。
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