「久々にSFらしいSF映画」月に囚われた男 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
久々にSFらしいSF映画
月の裏側で、たったひとりの人間とコンピュータによる無機質な共同生活。
3年契約の期限が切れて地球に帰る日が近いある日、共同生活の歯車が狂いだす。まず、いつまでたっても地球との回線が回復しない。思い出されるのが「2001年宇宙の旅」だ。まず、コンピュータを怪しむのはHAL9000の叛乱を知る人だ。
予告篇を見た人ならば、本作の主題が××だということはおおよそ予想がつく。
だが、前半はそんなことをおくびにも出さず、それでいて何か怪しげな空気を漂わせ、月面での作業を淡々と進める描写が巧い。そして後半、新たな登場人物を迎えると、××であることを受け入れられない男、そして××である運命に抗う男の物語へと、俄然、話は急転、加速する。
そしてラストは、時間単位から分単位へ、そして秒刻みの興奮へと駆り立てる。間一髪のところで後任のためにある工作を行う粋な演出には脱帽するばかりだ。映画の醍醐味を感じる。
久しぶりにSFらしいSF映画を観た。音楽の使い方も巧い。オープニングのクレジットも凝っていて面白い。
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