劇場公開日 2010年5月15日

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冷たい雨に撃て、約束の銃弾を : 映画評論・批評

2010年4月27日更新

2010年5月15日より新宿武蔵野館ほかにてロードショー

フランス人スターを客演させて描いた香港版殺し屋の仁義と掟

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」は、「ザ・ミッション/非情の掟」「エグザイル/絆」の流れ、つまり現在にいたる評価を決定し、ジョニー・トー・イメージを世界的に鮮明にしたトー<十八番>の演し物だ。香港版殺し屋の仁義と掟。

アイデアとユーモアが手早くハードに混ぜ合わされ、そこにつねにロマンティシズムの隠し味が存在する。フライパン扱いになぞらえると素材の放り込み、炒めのすばやい手技と具材の返しのタイミングが絶妙。

トーは食事場面をほとんどの作品に、しかもストーリーに味わい(意味)を充分に持たせる役割を負わせて登場させるから、調理の比喩が実に似合う。

今回、トーが投入した新奇のアイデアは、フランス人を客演させるということ。アラン・ドロンの代役として、フランスの国民的スター、ジョニー・アリディにオファーをしたとき、彼は国内の大規模ツアーを終えたばかりだった。<おそらくこれが最後の……>という言葉さえ囁かれたほどの空前の規模であった。この疲労と初めての香港という緊張がそのまま役柄となった。彼は過去の銃撃戦の後遺症で脳に障害がでて、記憶が加速度的に失われてゆく運命にあった。邦題の長さは<記憶>の範疇をはるかに超え、彼を困惑させるかもしれない。彼はギリギリのところで、もはや誰が誰ともわからないまま異国で殺された娘の仇を討つべく始まったガン・ファイトを重ねていく。ひょんなことから彼にリクルートされたアンソニー・ウォン他3人の殺し屋が彼を助け、復讐戦に命をかける。精神世界まで登場するぞ!

(滝本誠)

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