「アカデミー賞は伊達じゃなかった」瞳の奥の秘密 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
アカデミー賞は伊達じゃなかった
これは流石にアカデミー賞は伊達じゃない…って内容でした。
25年前の出来事を振り返り、真実に辿り着く話です。
映画本編はほぼ全編にわたり、主人公が25年前を回想しながら進み。時系列は時々25年前と現在が交互に描かれるものの、戸惑う様な事はおそらく無いでしょう。
数カ所を除いて、主人公の目線で話が進んで行くのですが。その僅かな数カ所でさえも、前後には主人公が関与していたり、「こう考える」とゆう想像の部分が有ったりする場面の為に、それ程の違和感は感じない。
序盤は地味な展開が続く為に、なかなか話に乗って行けなかったのですが。被害者の夫の執念を感じた主人公とパブロの2人が、諦める事無く犯人へと辿り着く。
中盤での手紙の解釈から、サッカー場へのCGを駆使した場面。やがて始まる長廻しでの追跡から取り調べ。そしてエレベーターで…に至るサスペンス溢れる展開は実に見事でした。但し、追跡場面での主人公目線からいきなり目線が変わる演出は、ちょっとやり過ぎとも言える演出にはなっていましたが…。
そんな2人の捜査を見守るのが女性の上司。
彼女との関係が、お互いに対して本音で“好き”とは言えない、この関係がじっくりと描かれており。じりじりするこの恋愛関係が、捜査のサスペンスと平行に描かれる。
駅でのお互いにキスをしたいがどうにもならない感情の高ぶり。続いての列車の場面での別れの場面は、久し振りにクラシック調溢れる場面で感激しました。
クライマックスでの真実に辿り着く過程には、「嗚呼!そうだったんだ!」と思う人も居れば、「やっぱりな!」と感じる人も居るだろう…とは思います。
その意味では、中途半端気味に感じる人も居るだろうし、内容自体もちょっとやるせない最後です。
でもその最後の最後に、味のあるエンディングが用意されていて、素晴らしい余韻と“笑顔”だったと思います。おそらくパブロも満足してくれる事でしょう。
「過去は管轄外よ!」や、「君達は小鳥を捕まえるが、我々はジャングルで戦う…」等の粋な台詞が多く有るのも嬉しくなってしまいます。
(2010年8月17日TOHOシネマズ・シャンテシネ2