「うーん」瞳の奥の秘密 かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
うーん
拙ブログより抜粋で。
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アルゼンチン映画というとほとんど縁がなく、監督はもちろん、キャストに関してもまったく知らない人ばかり。
そんなわけで、本年度のアカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞したということくらいしか予備知識なしに観た。
映画の冒頭、提供映像(松竹でいうところの富士山みたいなの)がいくつも続いて、幻想的な回想シーンから始まる本編が始まっても、それが本編なのかしばらくわからなかった。
ああ、本編が始まったんだとわかってからあとも、意味深な回想シーン、劇中の現在、突如挿入される暴行シーン、現在と同じ俳優が演じる25年前、と、時系列を把握するのに手間取った上、日本と違うアルゼンチンの司法制度に関しても無知なため、ベンハミンたちが何者で、何をしてるのかもよくわからないという困惑で始まった。
ぶっちゃけ、なんだかわけわかんない導入部だったのよ。
その辺は映画が進むうちに追いついたけど、冒頭のおいてけぼり感があとまで響いて、社会派ミステリーな展開と、ほのかに漂う中年の恋心、重い内容のようでユーモアもまぶした軽妙な演出に、良く言えば絶妙なバランス感覚でまとめられているんだろうが、これまたぶっちゃけ、どっちつかずな印象も否めなかった。
特に犯人捜しの過程が、なんだかえらくユルユルの、偶然と決めつけに頼ったような捜査で、少なくとも本格ミステリーではないでしょ、これ。
そんな感じだったので、自分がどれだけこの映画を理解しているのか不安になるのだが、まあ、アカデミー賞も受賞したんだし、したり顔で誉めといても罰は当たらないだろう。
似たような状況で、評判は良かったのにろくに良さが理解できなった『愛を読むひと』(2009年、監督:スティーヴン・ダルドリー)に比べれば、遥かに面白かったし。