劇場公開日 2010年12月4日

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「そろばんを家業とする三世代の家族史だが」武士の家計簿 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5そろばんを家業とする三世代の家族史だが

2021年5月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

当然といえば当然も、江戸時代末期、加賀藩にあれだけの経理担当武士がいて、あれだけの仕事量が有ったという映像に驚かされた。見栄を捨て、家財を売り払い節約に努力する武士家族の姿はかなり目新しく、興味深かった。

祖父の死にも関わらずそろばんにしか関心がない様に見えた堺雅人の父へ反抗し戦いに参加した息子が、結局父に仕込まれたそろばんで官軍から評価されるという史実も、面白い。

ただ、全体として淡々と家族史が描かれるが、起承転結的ものもなく、かなり退屈に感じた。最後の息子に城を見たいとのシーンから、金沢城で藩のために会計をすることに情熱と誇りを持っていた様だが、堺雅人演ずるそろばん侍の心意気の様なセリフ若しくは行動が脚本としてもう少しあった方が、良かった思ってしまった。

森田芳光監督作品であるが、亡くなる前年公開の映画ということもあってか、枯れた様な静かな演出。大島ミチルによる音楽は印象的で、まあ良かった。

Kazu Ann