「誰にでも悪は潜んでいる。」悪人 気ままうさぎさんの映画レビュー(感想・評価)
誰にでも悪は潜んでいる。
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「誰が悪人か?」とキャッチコピーにあるが、この映画から出した答えは「誰にでも悪は潜んでいる。」
心の奥深くに、日常の中に、いろんな形の悪がある。一見、何気無い瞬間瞬間に、悪があらわになる。
登場人物の全員に。嘘、エゴイズム、ナルシシズム、無関心、妬み、怒り、驕り、愚か、正義と言う名の暴力、悪意と無頓着…。
殺人という法的なる絶対悪を主題にすえながら、その周囲にある様々な悪をまざまざと映し出している。
「俺はお前が思っているような人間じゃない」と、相手の首を締めた彼の叫びは、彼女をかばうためではないと感じた。
盲目的に自分に執着する彼女によって、楽になれたらよいが、そんなに簡単に魂の痛みから解放されえるだろうか?
そんなに簡単に楽になれるなら、人を殺してしまうくらい激情したりしない。
それでも、観る人によって、タイミングによって、彼女が「悪人なんですよね」と遠い目で語る瞳に救いを見出すのでしょう。
監督はそのあたりも計算して、受け手に委ねているのではないでしょうか。
誰にでも潜む悪を、何とか押さえ込んだり、昇華させたりしながら
それでも生きていかなきゃならないのだ。
映画を観て2日かけてここに思い至りました。
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