「本当の「悪人」とは誰(何)なのか、原作同様に問いかけてくる秀作」悪人 めぐ吉さんの映画レビュー(感想・評価)
本当の「悪人」とは誰(何)なのか、原作同様に問いかけてくる秀作
これは、すごい、、、すごすぎでした。
原作も読んで、もう打ちのめされるくらい、感動…というか、
言葉を失うくらい衝撃を受けたのですが、
映画でもほぼ同じ感覚を受けるなんて、、、
とかく長編小説を映画化した場合、“はしょってる感”が出てしまって
物足りなくなってしまうことが常だと思うのですが、
そんな物足りなさが皆無。
(反対に、短編を映画化したほうが、 “膨らませられる”ので成功しているような、、、
『ショーシャンクの空に』とか)
「百聞は一見にしかず」
という映像の特性を完全に生かしきって、
原作では何ページも割いて説明した情景を
一瞬の映像でわからせてしまっています。
うーーーーん、すごい、、、
これも一重に、原作者の吉田修一さんが、
脚本にもしっかりとかかわっていたからでしょう。
これほど高評価なのに★5つにしなかったワケはただ一つ。
主演の妻夫木くんです、、、
どーみても、この主人公の、
「不器用で誤解されやすい、車マニアの土木作業員」祐一に見えません、、、
原作を読んだイメージでは、やたらガタイのいい、
見た目はいかにもヤンキー=黙っててもケンカ吹っかけられるタイプを
想像してたんですが、、、(TOKIOの長瀬くんとか山田孝之さんみたいな)。
他のキャストがいやになるくらいピッタリだったぶん、
似合ってない感が目立ってしまいます。
まあ、妻夫木くん本人がこの原作に惚れ込んで、
プロデュース的なところから関わってきたというから、
仕方ないのですが、、、
でもそれなら余計に、客観的な目をもって、
本人は別の役(あの最低な大学生・増尾の友達役がハマリ役のはず)を
演じて、作品を見守ってほしかったです。
ぴったりキャストの中でも
私が「ひゃ~~~っ!!」と喜んだんは松尾スズキさん。
うさん臭さ全開で、最高です☆