「リアルと非・リアル」悪人 新宿キネコさんの映画レビュー(感想・評価)
リアルと非・リアル
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事件は結果だけでは判断できない側面があり、
「誰が本当の悪人か」を見極めるのは難しい、
という問題提起には成功していると思うが、
深津絵里演じる光代が主人公の祐一の告白を聞いて、
あまりにも簡単に「待つ」と言うのを不自然に感じた。
いや、即決してもらうのは結構だが、
出逢ってからそれまでの、
祐一に惹かれる経過がほぼ、無いにもかかわらず、だ。
自分の期待が打ち砕かれ、泣いていたではないか。
そしてその後、祐一が見せた誠意は、
<謝りに来た>、まだ、ただそれだけで、
「これから2人ははじまる予感」どまりだったではないか。
なのに次の瞬間もう「運命の人」のようになっている、
その思い込みが孤独な女の狂気の成せる技というならば、
エンディングは事故現場などへ行かず、
何事もなかったかのように元の生活に戻っていればいい。
祐一の罪を少しでも軽くしたいなら、
祐一の優しさに甘んじることなく
一緒に逃げたのは自分の意思だと言っているはずで、
なにやら女心はわからんのぉという中途半端な思いが残った。
けれども登場人物の設定がどうもリアルで、
そこには深く感じ入るものがある。
達者な役者さん達の功績は大きいと思うが、
キラキラおメメを封印した暗い目のブッキーの新境地に拍手。
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