「やるせなく、切ない。」悪人 りりーさんの映画レビュー(感想・評価)
やるせなく、切ない。
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老いた祖父母の世話に、過酷な肉体労働。
癒えるのことのない、そんな変化のない片田舎の日常。
出会い系サイトで知り合った、若い娘の暴言にキレて、殺人を犯してしまう祐一。
自分をわかって欲しいと願い、
自分を受け入れてくれる人を探した。
他人の我儘はたいてい受け入れてしまうほど、優しい人間だ。
そんな人間が、殺人を犯してしまう。
世の中の不条理。
人を、外見で判断してしまうこと。
お金持ちか貧乏人かで判断してしまうこと。
祐一の場合にも、母親の存在の軽さがある。
自己中心的。
子供よりも自分だけ。
母親の愛って、無償のかけがいのないものだと思うけど、最近はそうでもない事件が多い。
バスの運転手さん、良かったなぁ。
親戚の矢島憲夫も良かったなぁ。
良い人もいれば、年寄りのナケナシのお金を奪う悪徳商法の悪い連中もいる。
相手次第で、善人にも悪人にもなってしまう。
裏表のある人間。
善悪合わせ持つ人間の妙。
苦しみや喜び、悲しみ、絶望、人恋しさ、いろいろな感情を、深く描いた作品。
「大切な人は、おるとね?!」
「殺人を犯した者は、本当に悪人だったのか」
「生きているんか、死んでるんか、わからんかった」
もう以前のような孤独には戻りたくない、そう願う祐一と光代。
妻夫木君の目の悲しみや憤り。
深津さんのくたびれた感、やるせなさ、情熱。
岡田君のイヤらしい身勝手さ。
柄本さんの娘を想う気持ちの強い頑固な親父。
この作品を見て、≪殺される理由≫について、考えてしまった。
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