「こんな女、どうなの?」悪人 プライアさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな女、どうなの?
3 こんな女、どうなの?
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主人公妻夫木は30前後で田舎暮らし、親孝行だが暗いしモテない不器用な男。
所詮お遊びという印象のある出会い系サイトに、本気で出会いを求める。
知り合った女とリアルで会うが、遊ぶ事、ヤる事しか考えてないバカ女だった。
しかも2回目に会う約束を破って、遊び上手な別の男と遊びに行く。
そしてバカなんで相手を怒らせ、夜の人通りのない道で車から下ろされる。
尾行してた妻夫木が助けようとするが、バカはヒステリーで悪態つきまくり。
挙句の果てに、お前にレイプされたって言いふらすとか言い始める。
不器用な妻夫木は追い詰められ、気がついたら首を絞めて殺していた。
次は深津と出会い、いきなりホテルに誘ったら応じてくれていきなりヤる。
そして深津は別れ際に、本気で出会いを求めていた事を告白する。
つまり2人とも似た者同士だった。深津以上に妻夫木は自己嫌悪に。
後日、我慢できなくなった妻夫木は深津に会いに行き、自分も本気だったと告げる。
2人は協調し始め、殺人の話も共有し、共に逃げることとなる。
そして長崎県の寂れた灯台にて生活を始める。
自分を理解してくれる女と出会ったことで自分の犯した罪の重さに気付く妻夫木。
それらを全て受け止めてあげようとする深津。
結局警察が来て突入されるが、妻夫木は女の首を絞めようとする。
あくまで女を「被害者」でいさせようとする思いやりであった。
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まず主人公は殺人犯だが、この人の心理はわからんでもなかった。
何せ不器用、で真面目。バカ女に出会ってしまったことは本当に不運。
殺人は無条件で犯罪だが、悪人か善人かと言うとむしろ善人だろう。
っていうか、ここまでバカな女いねーよww
周囲に助けを求めることのできない状況であの言動は頭悪過ぎ。
殺されるとまでは思わなかったとしても、ドツかれるのは確実やろw
長年信頼していた相手に裏切られて取り乱すならわからんでもないけど、
出会って間もない奴に裏切られただけで取り乱すんもおかし過ぎやし。
主人公への同情を誘うため、無理に有り得んキャラを作ったとしか思えん。
一方、バカ女を置き去りにした男はどうしようもない男ではある。
バカ女の死の間接的な要因やのに、無罪やからって、この話をネタにする奴。
でも男がバカ女を車から降ろしたシーンはめっちゃ共感できたけどなあ。
よく知らない男の車に簡単に乗るわ、ベラベラ馬鹿丸出しの話ばっかするわ、
誰の車にでも乗るお前なら、ここで下りても帰れるやろうがってさ。
下ろす場所はともかくとして、体目当てで調子だけ合わせる男よりはまとも。
で、これはおれが見逃しただけなんかも知れんが、深津が意味不明。
映画の中では美人ではない普通の人ってことになってるんやとは思うけど、
どう見てもそんなに不幸なようには見えへんのよなあ。
心に闇を抱えてなければ、あそこまで妻夫木を愛するなんてないと思うけど。
出会って間もない危ない人間に、平凡な人間が恋をしますか?
それともストックホルム・シンドロームに似た、理解しがたい心理があるの?
百貨店の紳士服売り場勤務という、むしろ人がうらやむような状況の女が、
妻夫木と出会って初めて幸せになれると思った、とまで言うのは何故?
アンタはそんなにモテなくないし、愛してくれる男だっているでしょうに。
そこがわからんもんやから、深津の方には全く感情移入できんかった。
だって、目先の破滅的な恋愛に酔ってるだけにしか見えんのやもん。
しかもその自己陶酔のために、妻夫木に自首を勧めずに逃避行を促す。
それによって確実に刑期は長くなっとるわけやからなあ。
20年位前のドラマで高校教師ってのがあったけど、
共に絶望を抱えている男女が破滅的な恋愛をするという内容だった。
そこに説得力があったために共感できたんやが、この映画はその部分がなあ。
理屈じゃないんやろが、根拠が弱いとどうしても感動が薄れてしまうよなあ。
深津絵里って別にタイプじゃないが、九州弁が可愛かった。
っていうか、九州弁って誰がしゃべっても可愛いよねw