劇場公開日 2010年9月11日

「深津絵里がオバさんになっても」悪人 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0深津絵里がオバさんになっても

2022年1月9日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

興奮

原作未読
2010年9月頃イオンシネマ北上で鑑賞して以来5度目の鑑賞
珍しく映画館では2度観た
朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第二期の主演を務める深津絵里を観てたら久々に観たくなった
まだレビューを書いていない深津絵里出演作品ですぐにピンときたのはこの作品
当時深津絵里37歳
妻夫木聡や深津絵里より満島ひかりの芝居が強く印象に残った
あと岡田将生も
もちろん妻夫木深津はとても素晴らしい

深津絵里はなかなか出てこない
登場は開始30数分過ぎてから

監督と脚本は『スクラップヘブン』『フラガール』『怒り』の李相日
原作は『パレード』『女たちは二度遊ぶ』『横道世之介』『さよなら渓谷』『怒り』『楽園』『太陽は動かない』の吉田修一
吉田氏は今回脚本にも携わっている

長崎県在住で金髪の解体作業員清水祐一役に妻夫木聡
佐賀県在住で紳士服の販売員馬込光代役に深津絵里
久留米の実家から独立して博多で保険外交員をしていた石橋佳乃役に満島ひかり

祐一が出会い系で知り合ったセフレの佳乃を殺害してしまう
それを聞かされた出会い系仲間の光代が意気投合して一緒に逃亡する話

悪人とは誰なのか
考えさせられる名作

舞台が九州なので全体を通して九州弁が飛び交う

祐一の祖母役に樹木希林
祐一の祖父役に井川比佐志
祐一の叔父役に光石研
祐一を棄てた母役に余貴美子

久留米で理髪店を営む佳乃の父役に柄本明
佳乃の母役に宮崎美子

容疑者の1人として疑われた福岡の大学生増尾圭吾役に岡田将生

福岡県警の刑事役に塩見三省
部下の刑事役に池内万作

佳乃の同僚役に韓英恵
増尾の友人役に永山絢斗
光代の妹役に山田キヌヲ

理髪店の客役に河原さぶ
光代の同僚役に広岡由里子
バスの運転手役にモロ師岡
タクシーの運転手役にでんでん
交番のお巡りさん役に山中崇←これはわかりにくい

悪徳商法の販売員堤下役に松尾スズキ

祐一が増尾の車を追い掛ける直前の効果音が好き
逮捕シーンなどのBGMも良かった

葬儀で一人別室にてまだ幼かった頃の佳乃の映像を眺める佳乃の父の姿が泣けてくる

みんなガラケーなので時代を感じる

イカの目玉から回想シーンが始まるのは斬新で意味不明だが嫌いじゃない

増尾の車から蹴り落とされガードレールに激突する佳乃
その直後に追いかけてきた祐一を罵倒する佳乃役の満島ひかりが彼女の真骨頂

まだこの作品を観ていな男の人たちに重要なお知らせ
今回深津絵里に所謂濡れ場のシーンがあるがセミ程度でヌードはない
突先は確認できなかった
満島ひかりも今回はヌードがない
必然性を感じられなかったのだろう

灯台のシーンが良い

ああいうマスコミはみんな死ねばいいのに
どんな悪人より嫌悪感を感じる

優しいだけの男よりわりと強引な悪い男の方が魅力的だね(但しイケメンに限る)

深津絵里は今回の作品で年相応の役をやっている
ここから余談になるが最近彼女は48歳にして18歳ごろの役を演じている
舞台ならまあよくあることだしドラマや映画でも回想シーンでほんのちょっとならそれほど珍しくはないが朝ドラの主演でメインとして演じるのは異例中の異例
いくら美しい顔を丹念に磨いてアンチエイジングしたところで首元はどう見ても若者のそれではない
ネットでは意外にもあまり叩かれておらず概ね好意的だがそれはきっとネット民の多くが深津絵里と同世代の団塊ジュニアでたくさんの同情を集めたんだろう
オファーがあっても本来なら事務所の後輩の清原果耶を勧めるところだが前作のモネで主演をやったばかり
ひなた(川栄李奈)の母親も演じる兼ね合いがあるわけだし
詳しくは知らないが断りきれない状況になったのだろう
だいたいにして役者が実年齢より若い役をやるなんて当たり前のこと
スミレ16歳が腹話術のおじさんだったことを思えば雉真るい18歳が48歳のベテラン女優でも受け入れることができるはずなのだ
人間って割と適応能力があるものでもうだいぶ慣れてきた

野川新栄