「70点」悪人 まぁと@名作探検家さんの映画レビュー(感想・評価)
70点
映画評価:70点
なんだこの作品………!?
めちゃくちゃ考えさせられる。
タイトルも秀逸
《悪人》
一見、このタイトルが地味だし、
作品時間も2時間を越えてしまう事から
ずっと気になってはいたのですが
観ていなかったのですが、
私と同じ様に、
様子見していた方は
すぐにでも観てください!!
これぞ日本映画の真骨頂です。
何かしらの行動には
何かしらの要因がある訳で
目の前に人がいるから殺しちゃお、
みたいなノリは現実に中々ありません。
その情緒というか、奥ゆかしさというか、
その日本特有の空しさが心に響く
そんな作品でした。
役者陣も天才ばかり、
樹木希林さんや、柄本さん、満島さん、
そして妻夫木さん。
全員演技の天才です。
彼らの他の作品を観ても
同一人物が演じているとは思えない程
別人を演じます。
最近、妻夫木さんの出演作品をよく目にしますが
彼はカメレオンですか?
今回のキャラクターなんて、
妻夫木さんの華やかさが邪魔していたにも関わらず、現実にいそうな(実際知り合いと雰囲気そっくり)人物を彷彿とさせます。
深津さんも
目線や口、声の震えやトーンで
憂いや、戸惑いの様な、
目には見えない雰囲気を表現していて
本当に凄い女優さんなんだと改めて実感しました。
まだ内容に触れていないのに、
こんなに文字数が(驚)
前置きが長くなってしまいましたが、
今現在の感想を書きたいと思います。
ここからは少しネタバレもあるかもしれませんので、上記の感想で興味を持った頂けた方は
作品を観てから、また読みに来て下さい。
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悪人。
どんな事情があるにせよ、
人を殺してはいけない。
当たり前
当たり前ですけど、
殺人を犯した人の中には
(身体的、精神的)防衛の流れで、
間違えてしまう人もいます。
誰もが殺意をもって殺す訳ではない。
これが前提です。
この作品のタイトルである
《悪人》は秀逸ですが、
ミスリードにもなります。
この作品が描きたかった事は
果たして誰が本当の悪人だったのか?
ではなく、
どんな悪人にも、
どんな奴にも、
大切な人がいたのではないか?という
巻き込まれていく人たちの情景を描きたかったのではないだろうか?
被害者について。
我が儘に生きてきて、
利己的で、嘘つき、あげく礼節に欠ける。
加害者について。
親に捨てられ、コミュニケーション障害を患い、
人への接し方や節度が判らない。
怒りに身をまかせ人を殺した。
女をドライブに誘っておいて、
その女がイラつくからと
無責任に山に置き去りにする男も
自分が満たされたいがために
依存や利用をしてしまった女も
端から見たらの話しですよね?
私からしたら、全員他人だし、
そもそも現実にいない映画の話し。
実際に起こった事件であったとしても他人事です。
そんな私たちから見れば
確かに上記の通りの人たちでしょう。
どう見ても、だいたい悪人ともいえます。
ですがね、
家族からしてみたら?
友人からしてみたら?
恋人からしてみたら?
そういう彼らを大切に思う人からしてみたら?
彼らはそう映りますか?
性格や態度、行動なんて
些細な事です。
でも、
世間的に見れば
殺人は悪い事だ。
どんな事情があっても。
例え本当は悪人じゃなくても。
殺された奴がどんな最低な奴でも。
世間様は起こった事しか知らない。
結果しかわからない。
でも開けてみると、
そこには大切に思っている人がいる
その哀愁が
この作品の肝だったと感じました。
作って頂き、
ありがとうございました。
ps.10年前ってこんな昔なの?
【2021.10.5観賞】